ライブのご案内

これからのライブ・イベントのご案内です。

2023年 ライブ
2/11(土祝) 19cギター in カフェ・カプチェットロッソ(淡路町)
3/26(日)  深代朋子リサイタル with 長谷川郁夫 in ポトス(宿川原)
4/15(土)  古楽器ギターライブ(葉山)
4/16(日)  古楽器ギターライブ(葉山)
5/14(日)  中島晴美&長谷川郁夫 19cギター in GGサロン(要町)
5/21(日)  青木ひろこ(朗読)& ギター in 古民家カフェ・カフェマリオ(宇都宮)
5/27(土)  青木ひろこ(朗読)& ギター in ステッチ(玉川上水)
7/ 2(日)  建孝三 & 長谷川郁夫 ギターデュオ in ステッチ(玉川上水)
7/30(日)  小山葉子(ウクレレ)&ギター in ステッチ(玉川上水)

イベント=====================
2023
4/22(土) はせがわ音楽教室 第27回発表コンサート

 

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2023年1月17日 (火)

ビンテージ楽器弾き比べ~2014年クロサワ楽器のイベント用資料(台本)

ここ数日かけて部屋の片づけをしているのですが、

そのなかで9年前に作ったイベントの資料プリントが出てきました。

ご来場の方々にお配りするためではなく

自分で話すためのものですね、台本調で書いています(^^)

ああ、これはPCのどこかにファイルがあるはず・・・と思って

探したら・・・ありました、ありました(^o^)丿

ずいぶん昔とは言え、せっかく作ったものですので

ギター好きのみなさんのお役に立ったり、

いや、立たなくても(笑)楽しみになればと思い

ここにアップすることにしました。

長文ですが、よろしければお付き合いください。

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14.06.21 クロサワ店内イベント資料

「19世紀ギターの楽しみ」
  ・パノルモ 1838年
  ・ハウザー1世 1921年 19世紀ギタータイプ
「2つのサントス」
  ・1941年 ハカランダ
  ・1929年 メイプル
「ショートスケールの名器」
  ・Mラミレス 1908年
  ・Dエステソ 1929年
「新品ギターの音色」
  ・ハウザー3世 2012年
「知る人ぞ知る…」
  ・Gヤコピ 1946年


今回はビンテージギターをご紹介するということで承っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ビンテージとは古く価値のあるワインのこと。それが転じて価値のある古いものについてもビンテージと呼ばれるようになりました。ギターで言うビンテージの基準はあまりはっきりしていないのですが、私のイメージとしては20世紀が始まってから第2次大戦くらいまでの楽器が「ビンテージ」。それより古いものは「古楽器(19世紀ギター)」、第2次大戦以降の古いもの・・・まあ、60年代くらいまでは「オールド」、アメリカやオーストラリアの新型楽器が出てくるそれ以降は近代・現代くらいかなあと感じています。生活や気分が変われば楽器に対して求めるものも変化していきます。そういった意味で大きく味わいが変わる時代的なタイミングとして、こんな分類を考えてみました。

 

◆「19世紀ギターの楽しみ」

さて、では古楽器から参りましょう!
19世紀はギターの黄金期といわれ、特に19C前半にはカルッリ、ソル、ジュリアーニなど今でもよく知られるギタリストがヨーロッパにおいて時代を飾っていました。このころのギターはいろいろな地方によって特徴のあるスタイルや音色を持っていて、大きく分けてフランス型(ラコートやプティジャン)、スペイン型(パヘスやマルティネス)、イタリア・ドイツ型(ファブリカトーレやシュタウファー)などがあり、そういうことも19世紀ギターに触れる楽しみでもあります。パノルモはイギリスで作られていますが筋からいえばスペイン型になります。
19世紀ギターは今から200年近くも前、日本で言えば江戸時代の楽器です。そのころの人々が大絶賛しあこがれた楽器であっても、当時の価値観は今とはずいぶん違うものかもしれませんから、アプローチも現代の我々を基準にすると見えるものも見えなくなる危険があります。古い楽器は少し謙虚な気持ちで、わからない理解できないことがあってもすぐに答えを出そうと思わず、しばらくは我慢というか、様子見というか、楽器に任せて楽器から教えてもらうような気持ちで付き合うとよいですよ。その間に弦やそのテンションのこと、当時の作曲家のことやほかの楽器についてなど調べていくととても楽しい発見があったりします。

パノルモ1838年・200万円
さて、それではさっそくパノルモを見てみましょう。1838年といえば日本でいえば天保9年徳川 家慶(とくがわ いえよし)の時代で葛飾北斎や歌川広重、間宮林蔵らが活躍し、幕末の志士たちもそろそろ生まれていた・・・くらいの時代です。
ギター史でいえばソルの没年。翌年にはジュリアーニが、さらに翌年にはカルッリが亡くなるという頃で黄金期が一度終わりコストやメルツ(早死)、レニャーニ(長生)などが台頭してくるあたりで音楽史的にはショパンやメンデルスゾーン、シューマン、リストなどの時代になります。
楽器はというと典型的なパノルモの上級機種。松の表板、ハカランダの裏板、パールのつまみのベイカーの糸巻、パールの装飾、典型のラベル、7本の扇状力木と大変立派なスペックです。パノルモギターは1830年のソルの教本でラコートギター、マルティネスギターとともに推奨ギターとして紹介されました。当時としてはとても先進的なギターで、初めて19世紀ギターに触れる方にもその良さは分かりやすいと思います。私も初めての19世紀ギターは1840年のパノルモでした。
曲:6つのアイルランド民謡より ロビンアデア(ジュリアーニ)

ハウザー1世 1921年 19世紀ギタータイプ・37歳・250万円
さて、続いてもう一つ19世紀ギターを弾きましょう。・・・とは言っても実はこれは20世紀に作られた19世紀ギターなのです。

ラベルの1921年というと日本は大正10年で割と景気も良かった頃ですが、ヨーロッパは第1次大戦の影響がまだ残っていたでしょうか。ギター史ではリョベート、バリオス、プレイヤーではありませんがヴィラ=ロボスなど、音楽史ではラヴェルやファリャ、サティやラフマニノフ、レスピーギといった時代でした。

ドイツ圏では保守的というか20世紀中ごろくらいまでこういった19世紀型のギターがよく作られていました。現在、クラシックギターと呼ばれているものはスペイン型のギターの末裔になるのですが、実際にスペイン以外でスペイン型が作られる(各地でスペイン型ギターが求められる)ようになったのはリョベートやセゴビアの演奏旅行などの影響が大きいのでトーレス(1817-1892)があって、タレガ(1852-1819)がいて南米などにスペインギターを輸出していても1920年代あたりはまだ完全にスペインギターの時代とは言えない状態でした。

したがって、このようなギターは19世紀のレプリカではなく脈々と続いた19世紀ギターの歴史の最後にあたるもので20世紀製であっても19世紀のオリジナルギターと思ってよいように思います。

ハウザー1世は言わずと知れた当時の超名工で、もともとはこういった19世紀タイプのギターを作る人でした。今ではドイツというとメルセデスやポルシェ、あるいはライカなどピシッとした精度で優れたモノづくりの国といったイメージがありますが当時のドイツの楽器を見てみると意外と雑というか大味なものも多く見かけます。ですが、ことハウザー1世(とワイスガーバー)はとにかく頭抜けた精度、超一流のクラフトマンシップを持っていました。

ハウザー1世はセゴビアとの交流で有名な37年セゴビアモデルを完成させる話があります。その中で24年、初めての出会いの際「ハウザー氏は小さなおもちゃのギターを見せた・・・大変精巧にできていたので彼に自分の楽器のコピーを作らせることにした」というエピソードを自伝の中で語るのですが、当然一流のギタリストにおもちゃのギターを見せるとは考えにくく、きっとこのような19世紀ギタータイプのものを見せたのだと思います。いわゆる19世紀ギターをあまり好まなかったセゴビアらしい言い回しと思いますが、その一方でハウザー1世の腕前は一目で見抜いたのだと思います。

楽器のほうは松の表板とメープルの横裏板。内部構造もかなり違うので現代のギターに比べて低音など特に粘らず(それはそういう音がよいとされていた)タレガ以降のいわゆるスペイン型(モダン)ギターをイメージした曲にはちょっと物足りなさを感じるかもしれませんが、ソルやジュリアーニ、コストやメルツなどには気品あふれる音色で応えてくれると思います。また、これから弾くようなバッハのアレンジなどにもピッタリでしょう。
曲:バッハのメヌエット(ペツォールト)

◆二つのサントス

続いてはいよいよビンテージギターの世界に入っていきましょう。
最初にお話ししたようにビンテージギターを20世紀に入ってから第2次大戦前までとするならば腕前、知名度ともに東の横綱がハウザー1世で西の横綱がこのサントスという感じでしょうか。

ざっとサントスのことをさらっておくと
1874年スペインのマドリッド生まれ(1943年没)。幼少の頃からバレンティン・ビウデスやイーホ・デ・ゴンザレスに師事し製作を学び、その後マヌエル・ラミレスの工房に入りました。
そして1912年にマヌエル・ラミレス工房で製作した彼の楽器でアンドレス・セゴビアがマドッリッドでデビューし、その後も長年愛奏した事は良く知られています。
1921年には、マヌエル・ラミレスが亡くなったのを機に独立して、マドリッドのアドアナ通りに工房を開設。
当時レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサやセレドニオ・ロメロ、ラモン・モントーヤ、ニーニョ・リカルド等多くのギタリストが訪れ、演奏やギター談義に花を咲かせ、ギター文化の中心的役割を果たしたその工房は、現在ロマニリョスの尽力によりシグエンサの博物館に移転されていて、当時の雰囲気を偲ぶことが出来ます。
1943年に彼が亡くなった後は、弟子のマルセロ・バルベロがその後を継ぎ、更にアルカンヘル・フェルナンデスへと、マニア垂涎の楽器製作の技法は伝承され続けています。

さて、そんなサントスが2種類ありましたので今日はそのあたりの音色を比べていただけたらと思い、取り上げてみました。

サントス・エルナンデス 
1941年 ハカランダ(73年前・昭和16年・67歳)大東亜戦争勃発400万円
1929年 メイプル(85年前・昭和4年・55歳)ウォール街の大暴落 380万円
2つのサントス、どこが違うかというと年代も少し違うのですが横裏板に使われている材料が違いますね。黒いほうはハカランダ、白いほうは先ほどのハウザー1世と同じメイプルです。ハカランダはリオ・ハカランダとかブラジリアンローズウッドなどと呼ばれる硬く重たい木です。俗にいうローズウッド(インドローズ)は基本的には同じものらしいのですが産地によって木目や呼び名も変わってくるようです。ブラジル産のローズウッド=は今や希少材として取引も制限されていますね。
そして、この材料を使うと・・・なかなか言葉で表すのは難しいのですが重みがあり、腰があり、光沢感のあるような音と言えるでしょうか。ちょっと聴いてみてください。
曲:アデリータ(タレガ)

さあ、一方でこちらのメイプルですが、調べてみるとあのメイプルシロップのメイプルと同じ木のようでした。重く、かたい木ではありますがローズウッドほどは重くありません。古いリュートやギター族、ヴァイオリン族などにも使われている伝統的な楽器用材で、時に美しい玉杢、虎杢が出現しそういったものはより珍重されています。
こちらの材で作られたギターは低音など少し軽やかになり明るい響き、全体に品があって典雅なイメージがします。ローズ系の楽器より素朴な感じもあるかもしれません。この楽器で何を弾こうかなと思いましたが、バロックの曲などはやはり気分かなと思いますが、リュートの曲をそのまま弾くようなものよりもう少しこのスペインギター寄りにアレンジされたこんな曲はいかがでしょうか。
曲:ラモーのメヌエット

古い楽器というのは、どうしてもこれまでの人生(ギター生)の中で災難にあっていることも少なくなく、リペアや修復(レストア)はある程度仕方がないものです。タイムマシンに乗ってきたようなオリジナル&パーフェクトコンディションというのはなかなか見かけませんし、そればかりを求めているとよい出会いを失います。あまりヘビーなレストアは感心しませんが、適切な修理であれば問題ありませんし、少なくとも自分が持っているときに大きな問題にならないと思えば、あまり神経質にならなくてもよいと思います。
実はこの楽器については、中をのぞくともう一つラベルが貼ってあるのですね。これがなんと名工の呼び名高いマルセリーノ・ロペス。こういうことは時々あるのですがロペスが自信と責任をもってレストアしましたという意味で実際いろいろ眺めてみると手間のかかる修復を丹念にやったことがうかがえます。おかげで現在の健康状態は上々で安心して今後も弾いていけますし、こういうダブルネームも持っていて楽しいものだと思います。たくさん修理された楽器は「修理しても修理しても使いたかった」くらい良い楽器だったと思う・・・と私の友人の誰かも言っていました。

◆ショートスケールの名器

今は弦長650ミリが標準とされていて、それより短いものがショートスケールと言われています。ショートスケールは手が小さい人、体が小さい人、あるいは女性などに向いている・・・と、確かにそういう側面もありますが、ショートスケールにはショートスケールの音色や世界観がありますから必ずしも手や体の大きさだけの話ではありません。例を挙げると、19世紀ギターのころは630ミリくらいが当たり前の弦長でしたし、ジャーマンの楽器は610ミリとか590ミリなど、よりショートな楽器が一般的でした。これは手が小さいからではないと思うのです。ウクレレだって手の小さい人のためではないですよね。使われ方や音色や音楽を求めた結果の適正な弦長ともいえるわけです。

ハウザーも1世の時代から650ミリのセゴビアモデルに対して630ミリ程度の「ソロモデル」というものも作っています。今回取り上げた2台はM.ラミレスが620ミリ、D.エステソが635ミリですがそういう意味で歴史的に見れば伝統的なサイズの一つでもあります。

19世紀のころ600~630程度だったギターの弦長を650~660ミリに伸ばした時ユーザーや製作家が求めていたのはバーンと押し出しの強い音、つまりコンサートモデルという世界観でした。同じ弦で同じ音程に合わせるわけですから弦長が長いほうが張力は上がります。弦長に伴ってボディも大型化しますからさらに効果は強まります。やや緊張感があり、でも強く輝かしい音がコンサートモデルの求めるところですが、逆にショートスケール・・・あえてソロモデルと言ってみますが、こちらのほうはある意味昔ながらの暖かく柔らかくリラックスした響き、近くの人に語り掛けるような世界観が特徴と言えるでしょう。
つまり、ショートスケールを求めるときは、弾きやすさと音量だけではなくこういった要素を感じられる楽器が良いですね。手が小さくなくてもそういう楽器が欲しければショートスケールを選ぶのは全くおかしくありません。
650ミリ前後が標準となったあとはどうしても手や体が小さい人のための楽器というイメージが付きまとうためかなかなか名器と言えるショートスケールは多くはありません。そんな中で今日取り上げた歴史的な名工による作品はとても貴重なものでしょう。

マヌエル・ラミレス 1908年(明治41年) 266万円 弦長620ミリ T型フォードが発売された年
マヌエルラミレス(1864-1916)はホセ・ラミレス1世の弟であり、ギター製作の弟子でもありました。兄はどちらかというとポピュラー志向のギターを作ったのに対して、マヌエルはトーレス(1817-1892)を研究しクラシカルな楽器を目指しています。工房にはサントス、エステソ、ガルシア等の有能な弟子がいて「マドリッド派」の根幹を築くことになりました。M.ラミレスのもっとも注目すべき点は、そのギター製作における彼の役割にありました。 彼は、自分自身ギター製作はしないで(もちろんした時もあったでしょうが)、楽器を設計し、弟子を教育して意のままに作らせ、完成した楽器に署名してその品質に全責任を負い、結果として極めて優れた楽器を世に送り出しました。 このような役割はマエストロと呼ばれますが、このレベルで成功したのは、20世紀のスペインではM.ラミレスとその兄の孫であるホセ・ラミレス3世だけだったと言えましょう。
曲:聖母の御子(リョベート編)

ドミンゴ・エステソ 1929年(昭和4年)・47歳・323万円・弦長635ミリ
ドミンゴ・エステソは1882年スペインのクエンカ県サン・クレメンテ生まれ。サントス・エルナンデスと同様マヌエル・ラミレスの工房に入り修行し、その後1917年には独立してマドリッドのグラビーナ通りに工房を開き、同門のサントス・エルナンデスと並ぶ天才と謳われ、数多くの名器を生みだしたことで知られています。
曲:キューバの子守歌(ブローウェル)

◆新品ギターの音色

ここまで紹介したギターは製作から80~90年~それ以上経た古い楽器ばかりでしたが、ここでひとつ新品の楽器の音色を聴いていただこうと思います。ギターは一台一台かなり違うものですから、この一台をもって「新品の音色」というには少し乱暴かもしれませんが。。。

ギターの経年変化については、ニスのこと、接着のこと、木材の中の樹脂の結晶化のことなど、いろいろ話は聞きますが、わたしには科学的にどういうことが起こっているかはあまりよくわかりません。ただ、弾いているときに感じる感覚的なことを言えば弾いて時間が経つ・・・いわゆる「弾き込み」をすることによって
・張力が弱くなったようになる(鳴らしやすくなる・弾きやすくなる)
・音量のコントロールがしやすくなる(バランスがよくなる、伸びが出るなど)。
・音色は角が取れて円やかになり色彩的な幅が広がる。
というようなことが感じられます。弾きやすく感じるのは自分自身が慣れてくるということも十分あるでしょうが、それを差し引いてもごれはプロのギター仲間でもそういう話になりますし、こういうお店の中で新品と中古を試奏しても新品は特有の状態を感じますから、実際にそういう変化があると私は思っています。

新品や時間が経っていてもあまり弾かれてこなかったようなギターは、弾き心地に少し硬い感じがあって、わたしはそういう状態のことを「生硬い」と呼んだりしています。弾き込むことで全体にバランスがよくなったり音の伸びが出たり、鳴らしやすい(コントロール性)というようなことは感じても生まれ変わったように音量が増すというのはあまり感じたことはありません。鳴るギターはやはり、最初から鳴るようにも思います。

ヘルマン・ハウザー三世2012年(新作)・54歳・リョベートモデル
ヘルマン・ハウザーI世(1884-1952)の技術はII世(1911-1988)、更に1958年生まれ(現在56歳)のIII世に受け継がれ現在も愛好家垂涎の的と言うべき楽器の製作が続けられています。三世は、ドイツのギター製作展示会で初のゴールド・メダルを受賞。その技術と楽器としての完成度の高さは誰もが認めるところです。

このリョベートモデルは1世がセゴビアに先んじて1920年ごろリョベートに会った際にリョベートの持っていたトーレスをベースに作ったモデルでセゴビアモデルと並んでハウザー家の伝統的なスタイルです(2世も作っています)。セゴビアモデルに比べるとボディも弦長も少し小型です。このギターは優しく澄んだ透明な音がします。
曲:魔法のセレナーデ(ヨハンソン)

新品ギターの生硬さは青春時代のようなものである時期特有の状態ですから、それ自体が悪いということはありませんから、そういう状態を楽しみながら楽器と一緒に過ごすのも中々オツなものではあるでしょう。よく弾いて2年~3年くらいでかなり変化が感じられて、その後もゆっくり熟成するように変化していきます。そして、50年くらいたつと立派なオールドギターの仲間入りということになるでしょう。 

 

◆「知る人ぞ知る…」

ギターに興味を持っていろいろ見て回っていると、時々面白いギターや珍しいギターに出会うことがあります。例えば、どこかの図鑑に載っていたそのものとか、有名な製作家が何かの理由で作った特別なギターとか。また、見たことのない名前であってもよく調べてみると興味深い筋だったりなど。
楽器は音や弾きやすさで選ぶのはもちろんですが、調べていろいろ情報が出てくる「名のある」ものだったりするとより愛着もわきますし、そういうことも楽しみの一つです。
そして、あまり知られていない楽器で「これは良い」というものを見つけるととても幸せな気持ちになったりします。あまり知られていないということは、価格的にも購入する側に有利な場合がありますしね!

今回はそんな1台を見つけましたので、最後にこれをご紹介しましょう。

Gヤコピ 1946年(昭和21年)・スペイン・68歳・100万円
G.ヤコピはガマリエル・ヤコピという名前で有名なホセ・ヤコピのお父さんです。。(イタリア・トスカーナ州セラヴェッツァ、23-XI-1878生、アルゼンチン・ブエノスアイレス・サンフェルナンド没 - 10-III-1951)スペインのバスク州ビトリアに住み1949年サンフェルナンド、アルゼンチンの町に定住した。内部の逆扇形の力木は1947年に父子で開発しのちに特許を取ったというデータがありました。

この楽器はスペイン在住時代に作られたものなのでスペイン製ですが、ヤコピの名前はアルゼンチンのイメージが強いですね。しかし、ホセの(70年代前半辺りまで)方もそうですが、実際に弾いてみると全くもってスペインのギターという音を感じます。しかも、マドリッドでサントスやエステソが活躍していたような、ある種のノスタルジックな味わいを持った古き良き時代の雰囲気があります。クロサワ楽器の回し者ではありませんが(今日は回し者か(笑))、こういう雰囲気を味わえる良いギターがこの値段ですから、ビンテージギターに興味がある方の入門にはお勧めしたいと思います。
曲:アラビア風奇想曲(タレガ)

 

◆まとめ 

人は時代によって何がよいかという考え方(価値観)も、聴きたいもの、弾きたいものも変わってしまいますが楽器はその時代の様子や要求をそのまま色濃く残して現代のわたしたちに伝えてくれます。ですから、ビンテージ楽器と相対するときには現代の視点から良し悪しを言ったり、現代の要求をどんどん突きつけたりしてもあまりよいことはありません。作られた時代や作った人の思い、周囲の作曲家や演奏家のことなどいろいろ思いを馳せながら奏でることで、きっとわれわれの目が開かれ深い楽しみを得ることができるようになるとおもいます。少なくとも今日ご紹介したどの楽器(製作家)もその当時から高い評価があったいわゆる名人・達人の作ったものです。この後の時間は皆さん試奏されていかれるかと思いますが、どうか尊敬をもって弾いていただければと思います。

本日はどうもありがとうございました。
スタッフの皆様にも大変お世話になりました。
わたしも大変楽しく取り組ませていただきました。
またの機会にお会いできたらと思います。

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2023年1月 3日 (火)

ライブ告知:3月26日(日)宿河原

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ギター・ウクレレ・アラモードVol.4
“ギタリスト長谷川郁夫氏を迎えて”

2023年3月26日(日)
15:30 開場 16:00 開演
料金 2500
円+オーダー (定員35名)
※お飲物お料理のオーダーをお願い致します

会場:ポトス 044-932-5091
JR南武線宿河原駅前 まいばすけっと2階

お問い合わせ & ご予約(ふかしろ)
tel. 080-5456-6301
guitermimi@yahoo.co.jp

《プログラム》
★ギターデュオ
セレナーデ(トセリ) 愛の夢(リスト)
ミスターロンリー(アラン&ヴィントン)
おてもやん(熊本民謡)
三千院(ヨーク)

★ギターソロ 深代 朋子
名もなきワルツ(パウエル) MIYABI(佐藤 弘和)
サンバースト(ヨーク)

★ギターソロ 長谷川 郁夫
ホーム(ヨーク) シーベグシーモア(オカロラン)
ワルツop.8-4(バリオス)

★ギター & ウクレレデュオ
星に願いを 天使のセレナーデ
ティコティコ 茶色の小瓶 ほか 

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深代さんにお手合わせいただくのは4年ぶり。

先回は19世紀ギターをフィーチャーしたものでしたが

今回は深代さんのア・ラ・カルトというシリーズに

お呼ばれする形でご一緒することになりました(^o^)丿

クラシック~ポピュラー、ウクレレまで

笑顔の素敵な深代さんと

楽しく賑やかに演奏したいと思っています。

みなさまのお越しをお待ちしております。

以下、関連情報

ふかしろギター教室HP(クリック!)

ほぼ毎日更新の
深代ブログ(クリック!)

会場は説明不要の宿河原駅前!
ポトスさんのブログ(クリック!)

 

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2022年12月31日 (土)

2023賀正 メヌエット(バッハ) アルペジョーネとワッペンギター

2023

あけましておめでとうございます。

2022年は大変お世話になりました。

おかげさまで無事に新年を迎えることができました。
世の中の情勢は安定とか安心とかには
まだまだ遠い感じもしますが
とりあえず、自分自身とその周囲については
心穏やかに、また日々を自由に楽しく過ごせるよう
微力を尽くしたいと思っております。

ギター関連の音楽活動については
レッスンや演奏、そしてこちらのYouTubeチャンネルを通じ
いろいろな方とのご縁が生まれ
活動の幅と楽しみが広がりました。

ライフワークとして続けている
19世紀ギター、ガット弦、指頭奏法などは
マイナーともいえるアプローチではありますが
興味を持ってくださった方から
質問や応援のメッセージをいただく機会もあり
嬉しい手ごたえも感じています。

音楽は美
音楽は愉しみ
そして、音楽は社交

今年もみなさまとのご縁を深め
また、新たなご縁にも出会えたらと思っております。

みなさまのご多幸をお祈りしております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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今年の演奏はバッハにしました。
横尾幸弘編のギター二重奏曲集に収録されていたもので
わたしが中学生でギターを始めたころ
部室にこの楽譜があったので、曲に馴染みはあるものの
残念ながら原曲の出典がわかりません。
おわかりの方がいらっしゃいましたらご教示ください。

簡素ながら品よく美しく可憐な小品。
弾いていると懐かしいギター部の部室の
景色や匂いや友達の顔・声が
ふと脳裏をよぎったような気がします。

アルペジョーネは以前に比べるとだいぶ慣れてきて
弾く楽しみが大きくなってきました。
まだまだぎこちないですが
今回はハイポジションに挑戦!
このあたりが弾けるようになってくると
今後レパートリーの幅も広がります(^^)

アルペジョーネ(arpeggione)は19世紀初頭に発明された
ギターとチェロのハイブリッド楽器で
ヴィオロンチェロ・ギターなどともよばれていました。
この楽器は長野の名工、石井栄氏に作っていただいたもので
2019年製レプリカです。

ワッペン型ギターはラベルがありませんが
ドイツ・オーストリア系でおよそ100年から向こうのものです。
シールド(盾)型などとも言われ、
ハウザー1世やワイスガーバーなども作っていました。

この個体はヘッドもスクロールしていて、指板もスカロップ加工と
当時のイカしたギターって感じでしょうね。
演奏はうちのカミさんです。

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2022年12月23日 (金)

きよしこの夜にみる19cギターの調弦のはなし

今日は19世紀ギターマニアからクリスマス夜話をひとつお贈りします(^^)/
グルーバーさんの自筆譜を眺めて19世紀ギターが1音下げで調弦されていたのかも❓❓というおはなし。妄想たくましく考察しております。
(10年ほど前の自身の記事をアップデートしました)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウィキペディアによると
この曲は1818年オーストリアにて、
クリスマスの直前に教会のオルガンが壊れてしまい
急遽、ギター伴奏による賛美歌として作られたとのこと。
わたしも昔、そんな物語を聞いたことがありました。
ギター伴奏がオリジナルなのですね。

そしてそのサイトには
作曲者グル―バーさんが書いた自筆の譜面がありました。
これはこの時にはじめて見ました。

Sn00001_20221223230901

6番まで歌詞があるのも驚きましたが、
今われわれが良く耳にする「きよしこの夜」とは
ちょっと違った部分があって新鮮な感じ。
ギター伴奏の他にもフルートかヴァイオリンあたりと思いますが
なにか器楽が入っていたと思われるフレーズも
歌の合間にメモ書きのようにみられます。
オルガンが壊れたからギターでやろう!という発想ですから
ピアノが入っていたということは無いでしょう。
サウンドはいかにもクラシックっぽい雰囲気です。

これが正調「きよしこの夜」ってところでしょうか。

で、話を戻しますが
グルーバー自筆譜は
ギターパートがヘ音記号で書かれているのと
映像がやや不鮮明で見にくいので
音符のみ写譜したのが添付楽譜の1段目と2段目です。

画像クリックで大きくなります。
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※注:3段目は2段目を1音上げたものです。
   これを全体に1音下げたギターで弾くと
   2段目の音程で鳴るというわけです。
   ギターを弾く方であれば3段目の楽譜の方が
   ずっと自然ということがおわかりになると思います。

PDFでご覧になりたい方は以下よりどうぞ
正調きよしこの夜.pdf

さて、この楽譜なんですが
一瞬、あれ?とおもうのが
第12小節や最後の小節に出てくる低いD。
確かにドロップD のチューニングで弾くことはできますが
この曲で、この個所のために
変則チューニングをするのは考えにくいし
番外弦があったと考えるのもどうかと思いながら
しばし見つめていると

…あぁ、これギターが1音低く調弦してあるんじゃないかな
と思いました。

つまり、譜面はDdurで書かれていますが
実はこれ、ギターの実音(実際の演奏で出てくる音)で
ギター奏者の方は調弦を1音下げて
楽譜は1音あげてEdurで演奏したのではないでしょうか。
そう考えると、低いD音はノーマルチューニングで
第6弦の開放となり
それ以外も実に弾きやすく自然で、納得がいきます。

19世紀ギターにガット弦を張ってみると
テンションを上げると弾きにくくなったり
音が悪くなったりするし
かといって(テンションを下げるために)細い弦を張ると
切れやすかったりします。
わたしの経験を書くと
1弦で言うと直径0.6ミリよりちょっと太いくらいの弦を
440ヘルツでいうところの半音から1音下げくらいで調弦すると
弾きやすさと良いサウンドが
バランスする点があることを感じます。
弦も切れにくくなるので経済的にもありがたかったり(^^)

アンサンブルにおいて基準ピッチの設定は大切ですが
ギター独奏などではそのギターの6本弦の宇宙の中で
調和がとれていれば基準ピッチなどは何でも良いわけで
むかしはもっと自由というか
流動的に考えられていたのではないかと思います。
この楽譜はアンサンブルですので今回はその応用編?

ま、いずれにしてもグルーバーさんの手書き譜は
当時のギターが今(A=440Hz)より
1音くらい下げて調弦されることが“普通にあった”
という一つの例なんじゃないかなと思いました。

グル―バーさんはその教会のカントル(音楽指導者)
であることから
作曲を依頼されたのだと思いますが
「あいつのギターは、確か1音下げで
 チューニングだったな。。。」
などと思いながら楽譜を書いたのではないでしょうか。

楽器はやっぱり名器シュタウファーだったりすると
気分ですかねえ(*^_^*)。

おまけの妄想…オルガンが壊れたらピアノで・・・と思いやすいですがたぶん運び込めなかったんでしょうねえ、外が雪とか。で、あの楽譜を見てもコーラスはデュエットですし聖歌隊が歌い、集った方々も歌うとなれば、当然伴奏は1台のギターでは間に合わないでしょう? ギター伴奏で作るということはギター伴奏部隊を編成することだったかもしれません。「よし、ギター伴奏で作ろう!」「こ、これから??まじっすか!?」「おーい、この村でギター弾けるやつ、どんどん集めろー!」「曲は?」「まだです、今カントルさんが作ってます」「もう時間ないよ?大丈夫かな」・・・曲ができたのは礼拝の数時間前とか、かなりギリギリだったようですから、ものすごくバタバタして間に合って→語り草になったというのはいかがでしょう。既成の曲をギター伴奏にアレンジして3曲やるより、易しい新曲を6番まで繰り返すほうがいいという判断とか。なんか、一人で妄想していたら盛り上がってしまいました(笑)。

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2022年12月 7日 (水)

Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲 立川市ギター倶楽部 2022年 定期演奏会より

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https://youtu.be/WQE_KBbR5TE

立川市ギター倶楽部 定期演奏会より
2022.12.4 たましんRISURUホール(小)にて
指揮:長谷川郁夫

Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲

立川市ギター倶楽部は
創立が1971年という歴史のあるギターサークルで名前の通り東京都立川市は高松町の会場にて主に練習しています。わたしは2006年より音楽指導と指揮をしています。例年12月の第1日曜日に定期演奏会を開催しており、今年(2022年)もしっかりと一年の集大成を披露していました。
メンバーも常時募集しております。
立川市ギター倶楽部HP https://tachikawa-guitar.org/

Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)
同名のタイトルで別な曲がいくつかありますが、こちらは小柳ゆきさんの歌で2002年にリリースされた楽曲です。わたしにとって2002年はつい最近のイメージですが、もう懐メロの類でしょうか。ボサノバ調のポップミュージックですが冒頭のメロディはアミルカレ・ポンキエッリ(1834-1886 伊)の作った「時の踊り」~歌劇「ジョコンダ」より~が用いられています。
このアレンジはわたしがつくったものですがその昔、生徒にこの曲が良いから、ガンバルから!とせがまれて腕によりをかけてギター3重奏に仕立てたことを懐かしく思い出します。
楽譜は現代ギター社より発刊された「ポピュラーギター・アンサンブル曲集〈12〉長谷川郁夫編曲」に収録されました(2005年)。

Lovin’ youは「あなたに夢中」くらいの意味になるでしょうか。オリジナルの激甘い言葉を赤裸々に語るような小柳ゆきさんの歌唱はオジサンには少々刺激が強く、聴くといつも赤面してしまいます(笑)

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2022年12月 6日 (火)

4つのヴァイオリンのための協奏曲(テレマン) ギターサークル カノン 第21回 定期演奏会より

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https://youtu.be/I0xTKM5aImU

4つのヴァイオリンのための協奏曲(テレマン 1681-1767)
Concerto in D major, TWV 40:202 (Georg Philipp Telemann)

ギターサークル カノン 第21回 定期演奏会より
2022.11.23 南大塚ホールにて 指揮:長谷川郁夫

ギターサークル カノンは
豊島区は雑司ヶ谷に練習の拠点を置くギターアンサンブルのサークルです。わたしが講師を務めた1997年のギター初心者講習会をきっかけに発足し、98年よりサークルとして活動をスタート。わたしとの縁もかれこれ四半世紀となりました。サークル活動の根幹となる定期演奏会は例年11月に催しており、今年(2022年)も賑やかに楽しく演奏を行いました。
練習や普段の活動の様子はFacebookページでお知らせしていますので是非「ギターサークル・カノン」で検索していただければと思います。
また、仲間となって一緒に演奏するメンバーも募集しております。

ゲオルク・フィリップ・テレマン 1681-1767
テレマンはドイツバロックを代表する作曲家の一人です。多作で知られ、86年の生涯で現存するものだけで約3600曲ほどと膨大な数の曲を作っており『ギネス世界記録』においても、クラシック音楽の分野で最も多くの曲を作った作曲家として正式に認定されているそうです。

4つのヴァイオリンのための協奏曲 第2番
通常“協奏曲”というタイトルの作品はオーケストラと独奏あるいは小アンサンブルとの対比によって作られるスタイルを指しますが、この作品は4台のヴァイオリンのみの、つまり4重奏で協奏曲的な世界を描くという、テレマンのアイデアが生きたユニークなものとなっています。
原曲が同じ音域の楽器による合奏曲なので、楽譜はほぼそのまま4パートのギター合奏に置き換えることができました。曲中は各パートが常時対話的にフレーズをやり取りしており、奏者は室内楽的で親密な音楽を満喫できます。
テレマンはこのタイプの作品を4つ残しており、どの曲も味わい深いものですが、中でも明るく華やかな響きを持った第2番は人気が高いように思います。緩急緩急の全4楽章の構成です。

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2022年11月20日 (日)

原善伸先生とセッション ランクラージュマンop.34(ソル)より ワルツ

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2022年11月17日収録
この日は良い秋晴れの中、横須賀は原善伸先生のお宅を訪ねました。
原善伸先生は活発な演奏活動、CDの出版そして日本大学芸術学部や洗足音楽大学他でのギター指導で知られるギター界の重鎮です(現在は退官され2021年洗足学園より名誉教授の称号を授与されています)。

原先生宅はこれで3回目の訪問となりますが、いつも気さくに迎えてくださいます。
この日もギター談義・音楽談義から原先生の元気の秘訣にせまる健康談義まで様々な話題で盛り上がりました。
そしてこちらの1828年作同年のラコートによるギターデュオのセッション!
お手合わせいただきながら「200年前の愛好家たちもこんな風にギターを持ち寄って楽しんだでしょうか・・・」そんな思いを馳せながら弾いています。
せっかくなので、記念に!と思って収録した動画ですが原先生よりご快諾戴きセッションの中の一曲をアップしました。

おかげさまでとても有意義で貴重な時間を過ごさせていただきました。
楽しい時間はあっという間と言いますが、この日はまさにそんな一日でした。
原先生、そして奥様、ありがとうございました。

演奏と使用楽器
原善伸 ラコート1828年パリ
長谷川郁夫 ラコート1828年パリ (同年!)
ともにガット弦を使用し、指頭奏にて演奏しています。

原先生ホームページ
http://www.hara-guitar.com/

ワルツ ランクラージュマンop.34(フェルナンド ソル)より
19世紀のオリジナルギターデュオ曲としてよく知られるランクラージュマン。日本語訳のタイトルでは「はげまし」といわれています。
構成は序奏~変奏~終曲という3つのパートからなります。序奏部はカンタービレ(歌うように)の指示があり文字通り歌謡調の美しいメロディを持っています。続く変奏はアンダンティーノ2拍子、明るく軽やかな主題に続いて表情豊かな3つの変奏がありコーダ(結尾部)を経て継ぎ目なく終曲のワルツに接続します。
この動画でご覧いただくのはその終曲の部分です。楽しいリズムと運動性のある旋律、そして華やかなエンディングに向かう様子が魅力的な佳曲です。

ランクラージュマンの楽譜は頻繁にパートが入れ替わる協奏風スタイルのものが圧倒的に知られていますが、実はそれはソルの弟子として知られるナポレオン・コストの編曲によるもので、ソルのオリジナル(原曲版)としてはこのようにパートがシャッフルされない版があります。
今回はソルの原曲版として Hamburg: Jean Aug. Bohme, n.d. Plate 34. を使いました。
楽譜はペトルッチ楽譜ライブラリーで無料にて見ることができます。

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2022年11月 5日 (土)

デュエット op.20(カル) Guitar Duet, Op.20 (Call, Leonhard von)

Op20
デュエット op.20(レオナルド・フォン・カル 1767-1815墺)

《使用ギター》
小川:ルイス・パノルモ1848年(ロンドン) ※角田真氏提供
長谷川:ルイス・パノルモ1844年(ロンドン)

2022.10.15
小川和隆 長谷川郁夫
19世紀ギターの楽しみ クラシックコンサートより
ホームギャラリーステッチにて

Guitar Duet, Op.20 (Call, Leonhard von)
Kazutaka Ogawa(Panormo 1847)
Ikuo Hasegawa(Panormo 1844)

レオナルド・フォン・カル
読み方はレオナルド=レオンハルト、カル=カール=コールとドイツ読み、英語読みでしょうか、いろいろに発音されています。知る人ぞ知るかの菅原潤さんはむかし「ド・カル」と呼んでいましたっけ。さっき調べていたら~「レオンハルト・デ・コール」と呼ばれることもある~なんていう記述も見つけましたので、これのことかなと懐かしく菅原さんを思い出しました。ここでは「カル」で進めていきますが…。
作曲者のカルは18世紀終わりから19世紀初頭にかけて活躍したオーストリアの作曲家です。ほぼベートーヴェンと同時期くらいですね。マンドリンとギターの教師でさらにフルートも良くしたとされ、主にアマチュアのための室内楽作品が多くあります。そういうわけであまり技巧的にならずに品の良いウィーン古典派の気分を味わえる貴重な存在と言えるでしょう。
わたしはギターを始めたきっかけが中学のクラブ活動(合奏)でして、初めて弾いた合奏曲はop.26のギタートリオでした。今回お聴きいただいたop.20のデュエットも横尾幸弘編の二重奏曲集に収録してあったこともあってなじみがありました。
カルの作品はペトルッチ楽譜ライブラリーで、この曲も含め閲覧することができます。

 

デュエットop.20
タイトルにはFacile(易しい)という表記もあり、ハ長調。全体には平易なテクニックで書かれていますが全4楽章で演奏時間15分ほどにもなる、割と立派な形をしています。

第1楽章
アダージョ ファンファーレ的な導入と続くおだやかなメロディで祝祭的なイメージがあるでしょうか。

第2楽章
メヌエット タイトルこそメヌエットですが冒頭部などダンスというよりむしろ歌謡調の印象です。この頃の「メヌエット」は単に「中庸なテンポの三拍子の曲」くらいの存在だったのでしょうか。時代を見渡すといろいろなメヌエットが散見されますからそういった時代の過渡期的なものなのかもしれません。トリオも付属します。

第3楽章
アンダンテ 鳥のさえずりがあちらこちらから聴こえるような効果を狙った楽しいアイデアの楽章。曲の最後はさらにさえずりが満ちてまるで大きな森の中にいるようです。

第4楽章
ロンド・アレグレット 爽やかに通り抜ける一陣の風。こういう終わり方は当時の典型ですね。途中Fに転調した部分も大変効果的です。

※ 第3楽章で鳥のさえずりを感じた「ファソファソファソ…」というモチーフ、実は第1楽章と第4楽章でも使われていますがこれも意図的なものと思います。

おがわホームページ
https://suertona.com/

おがわブログ
https://suertona.com/archives/category/blog

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2022年11月 3日 (木)

はじめてギターを持つ方に贈る、ギター管理のポイント

先日、わたしの指導するギターサークルのメンバーさんで
はじめてギターを購入する方がいました。

はじめてのギターって興奮しますよね(笑)!
わたしもいまだにギターを持って帰った晩などは
眠れないくらい眺めたりしてしまいます (^^)

「はじめてのギター」って何度も書いちゃいますが
いい響きダナァ~ (#^^#)
ぜひ大切に、良く弾いてあげてほしいものです。
いい音に育てて
かけがえのないパートナーにしてください。

・・・というわけで、その方に
ギター管理のアドヴァイスをしたのですが
せっかくなので
ブログをご覧のみなさんにもご紹介しましょう

===================

ぶつけない・倒さない
持って歩くとき、どこかに置いておくとき
いつも気をつけるようにしましょう。
“かもしれない” 動作を身につけることが大切です。
こうして置いたら倒れてしまう “かもしれない”
こう持ったらぶつけてしまう “かもしれない”
と思うことが未然にそれを防ぐことになります。

特にサークルでは多人数が動き回るので
人がぶつかったり蹴飛ばされたりしないように
危険から遠ざけることも必要です。
いつか倒れるような置き方をしていたら
倒されたあなたはもちろんですが、
倒した方も気の毒なんですよ。
あ、ケースに入っていても
バッタンと倒したり落としたらダメですよ。

ポリポリしない (^^ゞポリポリ
あと、塗装面に爪を立てないようにしましょう。
単純にキズになるからです。
小さなキズの一つ一つが楽器に悪影響を与えることは
それほどないとは思いますが
付いたキズが自然に治ることはありません。

基本はからぶき
ギター用のワックスやクリーナー的なものも売っていますが
それよりも基本はサービスで付けてくれた布があったでしょう?
あれで優しく(押さないように)からぶきをするようにしてください。
ケースにしまう際にササッと拭く習慣をつけるだけでも
後々綺麗さがずいぶん違います。
指紋や手の脂がベタベタつかないように、
ついたら拭き取るようにするというのが良いでしょう。

高温厳禁
ギターにとって高温はかなりダメージを受けます。
車内放置はもちろんのこと、ストーブの前、
部屋でも直射日光は避けてください。
ケースにしまった状態でもダメですよ。

乾燥厳禁
過度な乾燥もダメージが大きいです。
だいたい湿度計で40-50%あたりが適度と言われます。
瞬間的に下がったと言ってすぐ壊れることはありませんが
長期にわたって低い状態が続くと割れや故障の原因になります。
だから、関東の冬などは注意が必要です。

練習する部屋に湿度計を置いて湿度を見るようにするのは基本。
その値によって加湿器やその他で適度に加湿するのはとても良いことです。
エアコンやヒーターの風が当たる所は乾燥が酷いので避けましょう。
また、ホットカーペットや床暖房の上に直接ギターを置くとたいがい壊れます。
さらにしまった際のケース内の湿度を調整するのも良いことです。
冬場、ケース内のギターに仕込んで使う専用の加湿グッズがあり、
サークルのみなさんもよく使っています。
加湿グッズは下にAmazonリンクを張っておきます。

練習が終わったら
下げた方がいいかどうかは諸説ありますが
わたしは弦を下げて保管するようにしています。
だいたい3~4回クルッ、クルッ、クルッと回すくらい。
ケースの内壁にあたらないよう、
つまみが直線に並ぶようにするとよいですよ。

ギターは赤ちゃん
ギターはどんな環境でも自身でどうすることもできないし
いずれ鍛えられて強くなるなんてこともありません。
だから我々オーナーがいろいろ良くしてやることが大切なのですね。
はじめは面倒と思うこともあるかもしれませんが
それこそがギターの楽しみってものです!
とにかくほっぽっちゃダメ。
いつも愛器が無事に過ごせるように気を配って。。。
イメージとしては赤ちゃんを扱うようにって感じでしょうか。
わたし、子どもはいませんが (^^ゞ
そして、たくさん遊んであげる・・・つまり、弾くってことですね
それでいい子に育ちます。

修理はできる
まぁ、木製品ですから経年の中では
気をつけていたって割れたりはがれたり
それなりにいろいろなことは起こります。
でも実はそれを直すことはできます。
しかも、名人に頼めばほとんど音や操作性に支障なく
使用を継続できるようにやってくれます。
(痕は残ったりしますよ)
古来から木製品や木造建築などもそういうものですよね。

なので割れた、壊れた→もうダメだと
そこまでがっかりする必要もありませんが
修復には費用も掛かりますし、
なるべくならそうならない方がいいに決まっていますから
日常の気遣いはするに越したことはありません。

それでは、楽しいギターライフを (^o^)丿

以下、わたしがよく使っているケース内加湿用のグッズです。
冬場はあった方がいいですよ~

Oasis オアシス プラスヒューミディファイアー Plus+ Humidifier OH-5

 


D'Addario ダダリオ ギター用湿度調整器 サウンドホール装着用 Acoustic Guitar Humidifier GH




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