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2006年6月 3日 (土)

ホセ・ヤコピ 1968年

Yacopifホセ・ヤコピ(Jose YACOPI)はアルゼンチンを代表する製作家です。1916年スペイン生まれ。先代のG・ヤコピ(Gamaliel Jacopi)からギター製作を引き継ぎアルゼンチンに移住しギターを製作しています。今でもヤコピブランドの新品ギターを見ますが、90歳になるわけですから今のギターは本人が作っているとは考えにくいですね。フェルナンドという息子?がいるようなのでそちらが製作の指揮をとっているのでしょう。ホセに関しては訃報は耳にしていないので今もご健在かとは思うのですが。。。

さてこの楽器。ヤコピ52歳、製作家としてアブラの乗りきったころのモノですね。昔のヤコピはアルゼンチンとの通貨の関係か楽器の良さの割に入手しやすい価格でラミレスと並んで結構人気でした(ヤコピの方がほんの数万安かった)。今50〜60代あたりのギタリストの方々で「ああ、昔持っていたねえ。イイ楽器だったねえ」と懐かしそうに語る方も少なくありません。

表面板は赤いニスを使っていることもあって杉?と言われそうですが松。そして裏板は見事に完全な柾目のハカランダ。材の枯渇も叫ばれるようになり、ワシントン条約にもかかってハカランダの入手も難しくなっている昨今では中々お目にかかれない良材でしょう。少し大きめのヘッドには美しい彫刻が施され、楽器全体をエレガントに見せています。弦長は650ミリでボディサイズや弦幅も当時の輸入楽器としては小さめ(今としては“普通”くらい)だったので、664ミリのラミレスではどうも大きすぎるという人がヤコピに流れてくるパターンもあったでしょうね。クオリティとしては60年代のマーク付きラミレスに全く引けを取らないと思うのですが、あの頃のラミレスは特に「セゴビア様」のご用達でしたから、そういう意味での認知度・人気はラミレスに相当分がありました。ただ、今ホセ・ヤコピのHPを見ると、ヤコピ使用ギタリストの筆頭だったアニードの他にもイエペスやブリームの名前などもユーザー欄に見られますね。あとHPを紹介ついでに。。。トップページにイラストがあると思うのですが、ヤコピのオリジナルモデルは力木が逆扇型なんです。なんでこういうことになっちゃったのか(笑)良くわかりませんが、実際楽器の中に鏡を入れて覗いてみると少なからず「おおっ!ホントだ」と思いますよ。ラベルにはいくつかの賞を受賞した事が印刷されています。こういうのも昔っぽくて好き。マシンヘッドは現在ゴトーの510を入れていますが、デフォルトはハーフカバードでホタテガイの形を模したプラスティックのつまみがついているようなちょっと変わったモノが付きます。アルゼンチン製なんでしょうね、他ではあまり見かけませんが以前ヌーニェスの写真に同じものが装着されているのを見たことがあります。

Yacopib音は正にスパニッシュ!それも1930年代とかそのころの銘器を彷彿とする音がします。それもそのはず、30代半ばまではスペインに居たわけだし先代はイタリアに生まれ、スペインで作っていたわけですから作っている場所がアルゼンチンだというだけで、イメージ的には全くスペインの正統派と考えていいでしょう。20世紀半ば、アルゼンチンに移った事で以前の楽器スタイル(音とか雰囲気とか)が70年代ごろまで(そのままの形で)生き残った・・・なんて考えるのはロマンティック過ぎですかね(笑)。。。いずれにしても太く豊かに響く低音とどこまでも甘く歌う高音・・・。弾けばムッと香ってくるようなギターらしさはいわゆる現代的なギターとは正反対のもの。でもこれがイイんですよ。調弦の音を聴いただけでも味を感じるような楽器です。音量も粘りも充分で鳴らしやすい楽器でもあります。ポジションごとに色があるのはある意味“クセ”でもあるのですが、こういう楽器を弾くとむしろこのクセや色こそがスパニッシュギターの良さだし、それをドライブする楽しみがあるのだとも思えるのですよね。

この楽器は機会があれば「ヤコピの1970年前後(もしくはそれ以前)・ヘッドに彫刻のあるタイプで音の良いもの」を弾いてみたいとずっと心に思っていて3年くらい過ごしたころに出会いました。かなり酷使された感じのところもあるし、表面板の接ぎのところは修理跡もある(持病かな?この部分の修理はよく見かけます)のですが、プロの持ち物だったんでしょうかねえ、扱いは丁寧で百戦錬磨の武将というところか。音はちゃんと生きていてイメージ通りの楽器だったことに満足しています。今のヤコピは明るく良く鳴るしそれはそれで良さがあるのですが、この頃のものは全く別物と言った風格を感じますよ。

*この記事を書いたあと2006年の8月11日にホセ・ヤコピ氏は永眠されたようです。いい仕事を残してくれてありがとうと言いたいです。ご冥福をお祈りいたします。

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コメント

JOSE YACOPI のファンとお見受けいたします。朗報があります。
2007/9/25 JOSE YACOPIの甥が来日します。彼は私の友人です。唯一甥が技術を受け継いで、現在もギター製作してます。息子とされているフェルナンドは養子で、ギターは作ることは苦手で、寄せ集め販売中父YAKOPIとは血縁がありません。以上いかがですか?

投稿: kazuya | 2007年9月11日 (火) 03時02分

どうかギター製作の方がんばってくださるよう、甥子さんにお伝えください。

投稿: はせがわ | 2007年9月11日 (火) 07時02分

はじめまして。最近、人のヤコピ(年式は不明だが彫刻がされていた。)のサウンドにゾッコン惚れ込みまして、自分もと思い立ち、良品を物色している者です。そんな折、貴殿も記されているとおりの、彫刻があり、さらには何の彫金もない無粋な糸巻きにホタテガイのプラスティックスティックが付いているものでした。ただ、年式が比較的新しく1982年(ヤコピ氏66歳)のものです。そこでお尋ねしたいのですが、この頃の作はいかがなものでしょうか。音はいい様に思われるのですが、商品番号から推察して半年くらい売れ残っている様子。値段は68万です。アドバイスのほど宜しくお願い致します。

投稿: 大山 賢 | 2009年1月 4日 (日) 22時56分

大山さん、こんばんは。
こちらのブログもそろそろ復活させねばと思っていた矢先の投稿でした。記事を読んでいただきありがとうございます。

80年代だと横裏板のハカランダはどうでしょう、柾目を使ってますか?まあ楽器に関しては最終的には「音」ですから、そこに惚れ込んだヤコピサウンドが感じられるなら手に入れるのも良い判断だと思います。

ただ、気をつけなければいけないのは「欲しい気持ち」が募ってしまうと目が見えなくなってしまうことがよくあります(自戒)。ひとつ言うと私の持っている60年代後半とかそれ以降のヤコピは比較的タマ数も多くあるように思いますので、いま目の前の楽器が「それしかない」と思わず冷静な判断をされるのが良いと思います。

ホタテ貝型つまみのマシンはオリジナルです。ものとしてはそれほど良くも悪くもないというものですが今は手に入らないようですからちょっとイイですよね。

ボディの状態は良く修理してあるならば多少の傷や修理痕、ふくらみ(凸凹)とかは気にしなくていいでしょう。気にするともう選べません(^_^;)。ただし、ネックに関しては(ヤコピに限らず)曲がってると厄介なのでそれなりに気にしたほうが良いと思います。小さな順ぞり程度はいいですが、ヤコピのブリッジは形状からあまりサドルを下げられないと思います。

売れ残りかどうかは我々購入する側はあまり気にしなくてもいいと思います。むしろそれで安くなるならラッキーくらいに思っていいです。実際にはある程度の時間弾かないとそういう楽器は本来の鳴り方をしないものです。店員さんと話でもしながら少なくとも1時間くらいは弾いてみて、どういう方向に鳴りが動くかを感じながら素性を判断するというようなイメージでどうでしょう?

是非ぞっこんの一台を入手できますよう、お祈りしております。

投稿: はせがわ | 2009年1月 4日 (日) 23時41分

長谷川様、こんばんわ。早速の御返事ありがとうございます。また、御丁寧なアドバイスをいただきましたこと、厚く御礼申し上げます。御教え頂いたことを深く胸に刻み、素晴らしいヤコピを追い求めたいと思います。
ありがとうございました。

投稿: 大山 賢 | 2009年1月 5日 (月) 19時42分

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