ラウテ後日談
リュートギター改め“ラウテ”と呼ぶことになった私の楽器。ロンドン在住のリューティスト、竹内太郎さんから「ね、ドイツリュートでしょう?」とこんな写真が送られてきました。19世紀当時のカタログですね。写真をクリックすると大きくなります。
よく見ると「ドイッチェ ラウテ(マンドーラ)」とあります。しかもうちのとほとんど同じような11フレットジョイント仕様。なるほど、やはりこれからはラウテで行こうと決心。ただ、隣の(マンドーラ)がちょっと気になるんですよね。だって、マンドーラといえばマンドリン合奏とかでビオラパート的な役割のマンドリンの親分みたいな楽器でしょう?マンドリンとギターがどう繋がってるんだぁ?早速それについてメール。
「写真ありがとうございます!
なるほど、ドイツリュートですね。
しかも、11フレットジョイントで
うちのラウテに酷似してます。
しかし、なんでカッコしてマンドラなんでしょう??
マンドラって“大型マンドリン”の意味でしょう?
昔の小型リュートがマンドリンと呼ばれていたことと関係があるのでしょうか」
すると待望の返事が。。。
「ラウテをマンドーラと呼ぶのは・・・
昔々リュートは6コースか7コースでした。
沢山のひとがそれを楽しんでいました。
フランスでは弦が増えて11コースにまでなりました。
でも人々は頑張って練習しています。
でもドイツのひとたちは欲張りで13コースにまでふやしました。
弾ける人はほとんどいなくなりました。
でもリュートをクール!と思う、でも練習嫌いな人たちは
密かに6コースか7コースの楽器を作って弾き始めました。
リュートと呼ぶと13コ−スを得意に弾いている人
に怒られるので「マンドーラ」という名前にしてみました。
調弦は下からミラレソシミ(!) 弦の長さは70センチくらい
この楽器はちょっと馬鹿にされながらも案外人気を得て、
またリュートと勘違いする人たちもでてきました。
たとえばバッハさんなども受難曲やカンタータに使ったということです・・・
この楽器は弾きやすかったので、リュートが滅んだ後も生き残り、
19世紀になると人々はやっと「リュート」と呼んでくれるようになりました。
めでたしめでたし・・・・
わかった?実は古楽器の一種の生き残りで、
リュートともギターとも直接の関係はなかったんです。」
へーえ!へえ、へえ、へえ!
マンドラと書かれていた理由がわかったのもともかくとして
この楽器はある種オールドタイマーというか、懐古趣味的なノリで作られたと思っていたのですが、どうやら20世紀初頭までは生きる化石だったんですね。ラウテ君にちょっと感心。竹内さんの知識にも多いに感心。
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コメント
北欧のトラッド(伝統音楽)を独自のスタイルでやっているミュージシャンはブズーキを自分たちの音楽に合うように改造し、それをマンドーラと呼んでいる。
複弦で5コースまたは6コース、人によって仕様は違う。
特に低音側の3コースはより低い音を出せるようにフレットを5つも余分に付け足したりしてる。
さらにクオーターのフレット何箇所にも打ってあったり、スポットで使えるネジ式カポを取り付けたり。
今度会った時になぜマンドーラと呼ぶのか理由を訊いてみたいと思ってる。
元々マンドリンの低音楽器の名称なのに不思議だよね。
そういえばマンドセロなんてのもあるね。
投稿: YO-RI | 2007年1月23日 (火) 01時24分
YO-RIさん、どうもどうも(^_^)!
マンドリンって語源はアーモンドから来てるんでしたっけ?マンドーラは大型マンドリンって感じでしょうか。マンドセロはマンドリン+チェロの造語かなあ?この辺って結構面白いですよね。
そうそう、ビバルディのマンドリンコンチェルトなんかで言うところの“マンドリン”は今の(ナポリ型)マンドリンではなく、小型のリュートをそう呼んでいたなんて話も聞いたことがあります。
投稿: はせがわ | 2007年1月27日 (土) 06時30分