« ライブ告知:3/30(日)国立 | トップページ | コンサートご案内メール »

2008年3月20日 (木)

ガット弦のインプレッション

Photo
最近手持ちのギターにガット弦を使い始めたので少しご紹介します。
ガットとは腸のこと。
ガット弦とは羊などの腸を撚ったり加工して作った
天然素材の楽器用弦です。その昔のギターはみんなこれでした。
今のナイロン弦が普及したのは戦後でしょうね。

そもそもガット弦については
ブログにもたびたび登場する友人で
古楽器のスペシャリスト=竹内太郎さんが
敬虔なるガット信奉者であることから
ガット弦そのものに触れたり、いろいろな情報ももらって
以前から興味のあるところではありました。

ただ、クラシックギターの世界って
セット弦を銘柄選んで買ったりしますよね。
専門店に行けばたくさん売ってるし
1000~1500円くらいで買えちゃうし
それに慣れていると
ガット弦を張ってみたくても選択も入手も価格も
実際に張るまでは結構めんどくさいんですよねー(^_^;)
ライアやワイスガーバー2号を手に入れて
最近ようやく重い腰が動きました~。

そうそう、国立界隈には自分で作ったリュートに
自分で作ったガット弦を張るつわものもいます。
私はなかなかそこまではいかないので
一応、出来上がって売っていた楽器を使い、
売ってるガット弦を張ってみます。(←ふつう)

ではまず買うところから。
竹内さんによると、ガット弦にはいろいろな種類があるけど
19世紀ギターなどに張ってみるなら
そんなに細い弦にもならないだろうから切れにくいし
とりあえずフレットガットを使えば?
ということでした。

なるほど。
弦として売っているものに比べ
フレットガットとして売っているものは価格が安いです。
フレットガットとはリュートやビオラダガンバの
フレットとしてネックに巻きつけるガットのこと。
使い古しの弦なんかも使うらしいですが、
それ用の新品も売っているのですね。

弦用ガットと何が違うかというと、巻きつける都合上
なじみがよいように「撚り」が少々緩めだったり
太さの刻みがおおざっぱ(まあ、それでも0.05刻みですが)だったり
また、その品質(太さのばらつき)管理が弦ほど厳しくなかったり
ということがあるようです。
とは言えこれらは昔に比べれば品質は格段に上がっているから
ローツイスト弦として使ってもいいんじゃない?ということなんですね。

さて、太さに関しては弦長や基準ピッチを考慮して
適度なテンションがかかるように選びます。
それには弦計算尺なんかを使ったりするのですが
アクイラ社のサイトからリンクされている弦計算尺サイトなんかもあります。

で、私の場合これまでもおおよそ一本当たり5キロ弱の
テンションがかかるようにしていましたから
だ~いたい0.6ミリよりもう少し細いくらいのところから
1ミリ位のところまでが1弦~3弦の太さです。
ただ、張ってみないとあとはわからないし、
張ってみたい弦を買い損ねているのもストレスですから

ここは大人買いします

つまり今回買ったパターンは
0.55ミリから0.05刻みで1.10ミリまで全部ください、という注文。
ちなみに一本2mでしたから
普通のギターなら2本分取れます。

今回はアクイラから買ったって、これは言いましたっけ?
アクイラ社のサイト
買い物かご方式にはなっていないので
オーダーフォームにほしいものを書いていかないといけません。
注文例がでているのでそれに沿って。間違いのないようにね!
支払はペイパルが使えます。便利~♪
住所に日本の郵便番号も忘れずに。
これ入れそびれていたら
「なんか郵便番号ぽいのがあるよね?
 それ教えてくれないと送れないよ」
と後からメールが来ました。
VATナンバーっていうのは日本の場合記入しなくていいようです。

さて、それで注文してから1週間くらいかなあ、10日くらいかなあ
それほど待たずに到着しましたよ。ドバッと(写真)。

そういえば、今回はフレットガット以外に
いくつかのセット弦も注文してみました。

日本で売っているアクイラの弦と言えば
ナイロンの1~3弦+ナイルガットのコアに銀メッキの銅線
…silver-plated copperってそういう意味でいいんですよね?
の巻弦をもったペルラと
ナイルガットの1~3弦+ナイルガットのコアに
純銀線の巻弦をもったアルケミアですが
実はそのほかにも本国ではいろいろ作ってるんですね。

例えばヒストリカルギター用として
ガット&シルクという
高音弦がハイツイストのガットで低音弦が絹糸がコアの巻弦のものと
それをナイルガット(化学素材)で再現したもの、
それらはロマンティックギター(19世紀)用と
19世紀後半から20世紀のトーレス系用のもののありました。
太さ(張力)が違うようです。それで計4タイプということですね。
ペルラとアルケミアはアクイラ社では
クラシカルギターつまり現代のギター用の弦なのですね。
19世紀ギターに張ったら強いわけです(^_^;)。

さてラコートやセンチョルディに張ってみましたが
発音がはっきりとし、明るい響きになります。
弦を触り、リリースした瞬間に発音するんだということが実感されます。
爪があるとカスカス言うし
むしろ弦に触りたい気持ちになるので
爪はどんどん短くなりました。
ま、もともとかなり短い方ですけど。

高音はケン!低音はコン!と鳴るイメージ。
余韻は確かにありますが最初の発音がしっかりしている分
短く感じますね。

比べるとナイロンはノイズが少なく
いわゆる甘い美音で余韻が長く感じます。

でもですね、どちらがいいかというと
ガット弦の方が好きかも知れない。。。

あえてガット弦寄りの言い方をすれば
ナイロンは音も感触もムニューっと伸びる、
いかにも化学合成っぽい感じがします。
余韻が過多な響きでの演奏は
リバーブの効いたカラオケのマイクで話をするような
ちょっとフワフワ、もごもごした感じ。
みんなが大好きな味付けで甘くておいしいんだけど
そう、やっぱり合成っぽい。

ガットの方がシンプルだけど正直な感じ。
響き(リバーブ)は楽器内部(や弦)ではなく
実は演奏されるホールや空間の役割なんじゃないか
そもそもそういうものだったんじゃないか
そんな気もしてきました。

セゴビアがオーガスチンとともにナイロン弦を普及させたといわれています。
つまりセゴビアはガット弦もナイロン弦も両方使い
ナイロン弦を選んでいった人になるわけですが、
どうも、こうして両方弾いてみると
ナイロン弦はガット弦の代用ではなく、全然別なもの。
そんな風に思えるのですよね。
ええと、何が言いたいかというと違和感というか
ナイロンに移行する時に抵抗あったんじゃないかなと。
なんでナイロンがいいと思ったのかな。

そのあたりを先日竹内さんに話してみると。。。
「やっぱりさ、セゴビアって世界中を回って
あらゆるコンディションで演奏した人だろうから
湿度でものすごくチューニングが狂ったり、ささくれたり、切れたり
あるいは会場の響きが悪いと鳴らなかったりするガットには
辟易していた部分もあったんじゃないかな?
ナイロンはそういう意味ではものすごく安定しているもの。
君もこの先ガットを使っているといろんな局面に出会うと思うよ」

なるほどなー。
そういえば、この前のライブでも竹内さんのガット張りギターは
チューニングに苦労してましたね。。。

それでもガットを選ぶか
それだからナイロンにするか
確かにセゴビアくらい飛び回っていれば
好き嫌いの問題ではないかもしれませんね。
事実、それ(ナイロン弦)によって
ギターそのものも飛躍的に身近なものになったということも
容易に想像つきます。

さてさて
アクイラの弦ですがサイトを見てもらうとわかると思いますが
セット弦の場合、ヒストリカル用の弦でも割と強めなんですね。
ま、すくなくとも私にとっては。
ですから、トーレスタイプのギターに張るのにも
ロマンティック用で十分なんじゃないかと思いますし
19世紀ギターに張る場合も440Hzまで上げると結構きつく感じます。
半音か、あるいはそれ以下に下げて弾いています。
少し太めの弦で低くチューニングする方が音も良い感じがします。

あと、
もっとも簡単にガットを試してみるなら
ギタルラで売っているピラミッドのフレットガットを試してみるのはどうでしょう。
あそこの場合は0.1ミリ刻みですから
0.6から1.0くらいまでを買っておいて
1弦を0.6、2弦は7か8で3弦に9か1.0を入れてみる。
いま、ライアの高音弦はそんな風にしています。
実はアクイラが届くの、待てなかったんです(^_^ゞ。
0.5も張ってみたんですが切れちゃいました。

ちなみに低音の細い巻弦は(ナイロンの話ですが)
ダダリオのライトテンションより下げていくとなると
ハナバッハのテルツ用
ダダリオやハナバッハのアルトギター用
ラベラのレキント用などを試してみるのがいいと思いますよ。

とにかくガット弦を張ってみてからは
ギターを鳴らし、音を聞くのが
今まで以上に楽しくなってきました。
とりあえず、ヒストリカルな楽器については
まあ特に高音弦に関して
もう化学合成の弦には戻れない体になってしまったかも。。。

|

« ライブ告知:3/30(日)国立 | トップページ | コンサートご案内メール »

コメント

こんにちは。
毎年 この時期、長い休養に入る 先生のブログですが(^^)
今年は 復活も早く、特に今回のは プロの「こだわり」が
ひしひしと感じられて 実に楽しく読ませていただきました。
以前から疑問に思っていたことがあります。
なぜ、クラシックギターのネック幅は、52mmで、アコギは
44mmなのか。手も 体も大きさの違う人が弾いているのに
ここに落ち着いてしまうのは、なぜ?
クラシックギターを作る場合、澄んだ張りのある高音を
出すのが課題となり、アコギの場合には、低音のレスポンスを
確保することが重要、だそうです。
つまり・・ ギターの形を決めているのは 弦!!
まぁ、ガット弦は、素人には手に負えないとしても、
スチール弦と、ナイロン弦の長所をあわせ持った弦って
できないんですかねぇ・・・・

投稿: 子囃子 | 2008年3月22日 (土) 21時36分

子囃子さん、どうもどうも(^_^)/

「なぜ、クラシックギターのネック幅は、52mmで、アコギは44mmなのか」

52,44というサイズはともかくとして、クラシックは太く、フォークは細いという傾向は先祖が違うからなんじゃないかと思っています。

フォークは主にジャーマン、イタリアン系の19世紀ギターが先祖に当たるでしょう。そのころのジャーマン系はいわゆるガットギターですがネックが細いです。そしてフォークの人がよくやる左手の親指で6弦を押さえるようなテクニックも普通に要求されます。

一方、クラシックギターの先祖はスパニッシュでビウエラの昔からあちらの楽器ってネックが太いように思うんです(←やや弱気(^_^;))。アグアドやソルの曲でも左親指を使うテクニックは見られないように思うし。

左手親指のあれ、あれをやるかやらないかでネックの太さや形状が変わったりするんじゃないかな。

まあ、でもギターなんてあるところから上は手作りの一本ものですから希望がはっきりしているならそういうのを作ってもらっちゃうのがいいですけどね。

「クラシックギターを作る場合、澄んだ張りのある高音を出すのが課題となり、アコギの場合には、低音のレスポンスを確保することが重要、だそうです。」

そうなんですか。まあこれも作る人それぞれいろいろあるでしょうが、弦について長所かどうかはともかくとしカーボン(フロロカーボン)弦とかは使ったことがありますか?

あれ張ると音が金属っぽいなあと感じます。あ、もちろん金属と間違うようなほど金属ぽくはありませんが。個人的には好きじゃない音質ですが、使ったことがなければ試してみてはいかがでしょうか?有名なところではサバレス社のアリアンスとか。最近ではこういったナイロンに何か別な素材をブレンドしたようなものもたくさん出てきてますから片っぱしから試してみましょう(^_^)!

あ、アクイラのナイルガットなんかも試してみると面白いかもしれませんよ。

投稿: はせがわ | 2008年3月22日 (土) 22時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165138/40570257

この記事へのトラックバック一覧です: ガット弦のインプレッション:

« ライブ告知:3/30(日)国立 | トップページ | コンサートご案内メール »