
今日は日中よく晴れてました。
空気がひんやりしながら、陽射しがポカポカなのは
一番過ごしやすいかもしれません。
さて昼過ぎに桑さんがギターを持ってやってきました。
彼は17~18年くらい前ですかねー、
山で知り合ったアウトドアつながりの友人なのです。
ついこの前も一緒にキャンプしてきました。
こうやって写真を見ると
まるでギターが上手そうに見えますが
全然弾けないようです(笑)。
実はこれ、奥さんのギターで
しまいこんでいたものを最近少し弾いていたら
糸巻のつまみが経年変化で割れてしまったということ。
たまたまうちにある楽器から外した同じ糸巻があったので
交換してあげたというわけです。
糸巻(マシンヘッドともいいます)は
ピカピカしていて彫刻みたいながらも入っていたりしますから
「なんかすごく高いんじゃないか」とか
「同じものは二つとないんじゃないか」とか
知らないとちょっとドキドキしそうなパーツですが結構何とかなります。
糸巻は1セット10万円を超えるような超高級品もありますが
普及品は数千円~一万円前後でありますし
国産ならゴトーの510(社名のゴトーから来てるらしいです、親父ギャグ系)
なんていう高級タイプも3万弱くらいからだったように思います。
問題は軸間の寸法で最近は35ミリがほとんど。
写真の楽器は39ミリでしたが、これはゴトーで出してます。
つまり新品に交換も可能。
困るのは36ミリとかで昔の国産にも割と多く使われていたサイズですが
今1万前後の普及品が無いんですよね。
スペインの高級糸巻「フステーロ」とか
ドイツの「ライシェル」などは36ミリ有名ですが
昔の国産に付けるにはちょっと予算がオーバーだったり…。
パーツ関係はギター専門のショップ等に行くと相談に乗ってくれます。
古い糸巻の壊れたのとかをパーツ取りとして持っていたりして、
そこからパーツを分けてくれたりすることもあるので努力はしてみるかいがあります。
ちなみに
池袋から少し歩いたところにある専門店
fana(ファナ)さんなどは
糸巻関係にめっぽう強くて、普及品から超高級品まで、パーツも結構頼れます。
あ、もちろんクラギ専門です。念のため。
糸巻の取り外しは弦を外した後、小さな木ねじを抜きます。
サイズのあったドライバーを使ってねじ山を壊さないように気をつけて!
全ての木ねじを外せばスポッと抜けます。
再度嵌める際、木ねじの溝が壊れていたら
マッチ棒とか楊枝とかで一度埋めてから木ねじを入れます。
もちろん下穴をあけてからですよ!
今回、桑さんのギターは穴埋めの作業は必要ありませんでした。
弦をまきつける白いプラスチックは
ヘッドにあけられた穴と微妙に干渉すると
ギュギュギュと音がすることがあります。
こういう時は穴の周りにシッカロール(天花粉)を塗りつけるといいですよ。
さてさて
そんなこんなで糸巻も交換して
少し磨いて、弦を張りなおした桑さんの(奥さんの)ギター。
なんかピカピカして楽器も嬉しそうでした。
製作家は中出阪蔵さんで1969年作。
中出阪蔵さんは確か90年代に他界されています。
輝明さん敏彦さんや幸雄といった息子さん達が製作を引き継ぎ
また他にも多くのお弟子さんを輩出しました。
当年40歳となるこのギターは
松ハカで細めの5本の扇状力木があり
横の力木とのクロス部分はトンネル構造など
少し凝った作りがされていました。
音は思いの外しっかりした鳴り。
中出阪蔵ギターはわたしの中では
全体にやわらかい感じで音が出しやすいけれど
はっきりした明るさとかボリューム感などは
1歩譲るイメージがあったのですが
それをいい意味で裏切る感じ。
ああ、こういうのもあるんだとちょっと発見でした。
それと、ずっと弾いていなくてしまいこんでいたらしいですが
ネックの状態もよく、各部のゆがみなんかも殆ど無くて
材がいいのかな、そういうところもなかなか立派です。
結構グレードも高い良いギターですよ、これ。
中をのぞくと今ではあまり見なくなった為書きラベル。
「○○嬢ノ為ニ之ヲ製作ス」
みたいなやつですね。
奥さんの名前かと思えばそうではないらしく
聞けば奥さんが小学生のころ
子供用ギターからの買い替えで
教室の兄弟子(この場合姉弟子?)から譲ってもらったとか。
これをきっかけに是非またギターを弾いてくださいね。
良いものを見せていただきました。
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