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2016年1月19日 (火)

クラシックギターにガット弦を張るはなし

先日、いつもガット弦でお世話になっている
ムシカアンティカ湘南のHPを眺めていたら
掲示板に新規の話題として
「ギターで弾くリアルガット弦」
というコーナーが新設されていました。

で、さっそく記事を書いてみました。
上記タイトルをクリックで掲示板に飛べるようにしましたが
わたしの書いた記事はこのブログの「弦のはなし」「指頭奏法」ともリンクするので
こちらにも転記しておきます。(少し編集しました)

==============================
普通のクラシックギターにガット弦を張るというのは
わたし自身も過去に何度か試し、
現在も一部のギターでそのようにしています。

考えてみれば
戦前のギターはガット弦の時代にあたりますし
あるいはオーセンティックなトーレスモデルやハウザー1世モデルなどでしたら
当然オリジナルの楽器はガット弦だったわけですから
(結果的に気にいるかどうかはともかくとして)
それらの製作された頃に想定されていた音色を体験してみるのは
とても面白いことだと思います。

事実、わたしもやってみてとても興味深く感じました。
ちなみにわたしはいくつかの楽器に試したのち
現在いわゆるクラシック(モダン)ギターはとしては
トルナボスの入ったトーレスモデル(2004年アメリカ)に
ガットを張っていますが、渋く深い音色がして気に入っています。

閑話休題。。。

ガット弦を試すに当たっては痛い経験をした先人として??
一つアドバイスを書いておきます。

大概のクラシックギターでは初めてガットを張ると
ナットのエッジによって弦が切れたり削れてしまったりします。

・・・文章で書きにくいですが頑張ります。。。(^_^;)

ナットの溝の中はだいたい大丈夫なのですが
溝の入り口と出口の部分は鋭角になっている場合が多いので
そこにガット弦が当たると
スクレイパーで削られるように弦が傷んでしまうのです。
軽くでよいので、紙やすりなどで面取りをするとよいです。

ガット弦は単価が高いので
張ってすぐに傷んだり切れたりすると
心も痛んだり切れたりしますからねえ(笑)

切れるといえばガット弦はテンションをあげると切れやすくなります。
逆に低めのテンションでも結構音になりますし、
思いのほかそれで良い音がしたりしますから
初めは1音下げ(A=392、つまり440でいうところの1弦D)くらいで試し
調子を見ながらもう少し上げてみるとか
そんな風に進むとよいと思います。

ナイロン弦に慣れた我々は
弦は強いものと思っていて意外と雑な扱いをしています。
ですが弦はもともと痛んだり切れたりするもので
昔の人は様子を見ながら丁寧に扱っていたと想像します。

爪もナイロン弦を扱う時のように鋭いエッジを押しあてるようにタッチすれば
たちどころに繊維が切れ、ささくれがおこり
音の劣化を促進し、弾きにくくなります。

とは言え、そういうことも含めて試行錯誤というか経験ですから
興味を持たれた方はあまり怖がらずに?
鷹揚に構えていろいろ試してみるのが面白いですよ!

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コメント

長谷川様

ブログ、興味深く拝見させていただいております。突然のメールですみません。高知県在住のアマチュアギター弾きで、Yと申します。もし、不都合なければ教えて欲しいのですが…

僕、ギター弾きですが、古楽系の音楽も好きでして、ゆくゆくは羊腸ガット弦を試してみたいと検討しております。今のところ、スペイン式(モダン)ギターで、ピッチをA=420〜430Hzくらいに下げて、ソルの曲を中心に楽しんでおります。

羊腸ガットの導入にあたって、少し不安なのは、オクターブピッチ調整です。ナイロン弦を張るギターにおいて、サドルを削ってオクターブ調整(エレキギターのように)しても、アクイラ社のナイルガットを張ると1弦や4弦がハイポジションでだいぶ上ずります。サドルでの調整には限界があります。一方、ジャズ系ガットギターは、サドル厚みと高さに余裕があったり、そもそもネック仕込み角度のおかげか弦高を低めに調整しやすいものがあり、対応できるものがあります。

ナイロン弦も羊腸ガットも、スチール弦に比べれば、6弦相互のゲージ差は小さく、オクターブピッチへの影響は小さいと思います。だから、「クラシックギターでは、細かいオクターブ調整は必須ではない。ハイポジションでの音のズレは気にならない」という意見もうなずけますし、決して批判するつもりはありません。

ヒストリカルな19世紀ギターを触ったことのある方が言われるには、「19世紀ギターは弦高がすごく低い」とのことで、低めの弦高であれば、押弦時のピッチ変化も少ないように推察します。僕は、高め(♯気味)に出るのはマズイと考えています。低めに出るのは押弦の工夫で上げることは比較的容易だからです。羊腸ガットですと、湿度変化によるピッチ変化も大きいとのことですので、「そもそも、そんな細かいことは気にしていられない」という考え方もあるかもしれません。

やはり、ナイロン弦を前提としたスペイン式(モダン)ギターに羊腸ガットを導入するのは、ピッチにおいて厳密なところでは最適ではないと言えるのでしょうか?仕様が弦高低めの、ヒストリカルな19世紀ギターか、それに準じたレプリカを手に入れた方がよいのでしょうか?楽曲や楽器に対する好みもあるので、一概には言えないとは思いますが…

投稿: Tone BC | 2016年3月 1日 (火) 20時47分

Tone BCさん、いらっしゃいませhappy01

今ちょっと自分の楽器も見てきました。
モダン楽器にガットを張っているものが一つあるのですが
それは2004年製のトーレスモデルでトルナボスが入っています。
弦高は1弦で3ミリ程度。
弦は今はサバレスのセット弦になっています。
12フレットでピッチを計ると5セント以内くらいに入っていましたから
まあ、実用上はそんなものかと思います。

オクターブ等のピッチについては
楽器が何であるかということよりも
・フレットがあっているか
・弦高が高すぎないか
・弦が均質か
で決まるような気がします。

つまり、まずは弦を換えてみることだと思います。
製造メーカーも試しに変えてみてはどうでしょうか。

ガット弦はナイロンに比べると高価ですから
不良はちょっとショックですが
こればかりは試行錯誤の連続なので
(わたしの場合は)浮かんだ疑問は腹をくくっていろいろ試す、
ということが結局近道に感じます。
経験は宝ということで(^^ゞ

ガット弦から楽器選びに入ってくのは
割と珍しいような気がしますが
でもガット弦にご興味をお持ちでしたら
ガット弦を想定された楽器を持ってみてはいかがでしょうか。
ナイロン弦はほぼ戦後ですから
いわゆる黄金期の19世紀ギターでなくても
20世紀初頭(30年代くらい)まではガット弦です。

きっとまた何か思うところ、感じるところがあると思います。(^o^)丿

こんな感じでお答えになったでしょうか。


投稿: はせがわ | 2016年3月 1日 (火) 22時21分

ああ、わたしは少し勘違いしていました。
Yさんは今はナイルガットを使っていてオクターブが悪く
ガット弦に進むときに大丈夫だろうかという迷いなのですね。

そうしたら、まあともかくガットを張ってみることです(^o^)丿

弦はムシカアンティカ湘南が扱っているトロ社とか
上で書いたサバレスなどはセット弦として売られているので
セットになれている我々には大変便利です。
その先にいろいろな思いが浮かんだらカスタマイズしてゆけばよいのです。

トロのセット弦は低音弦がシルクの芯なので
よりアンティークな仕様といえます。
(サバレスはナイロン芯の銅巻き線)

ピッチについては「厳密」というのがどこまでの精度かとも思いますが
あまり突き詰めて考えていくとフレット楽器は特に難しくなります。

昔の人はチューナーなんて使っていませんが
でも、音程の感覚は鋭かったと思います。
まあ、多少不都合があってもどこにその歪みを持っていこうかなあ
くらいの感覚で納得できると言うか、良いところを探ってやっていたのではないかと想像します。

投稿: はせがわ | 2016年3月 1日 (火) 22時35分

長谷川様

ご返事、ありがとうございます。お忙しいところ、すみません。

羊腸ガットというと、とてもマニアック(昔はこちらが普通でしたが)な印象を受けていましたが、日本でも色々と手に入るようですし、海外の通販を利用すれば、さほど入手困難なものでもないようですね。

セット、バラ、ゲージ、値段も高い分だけ選択肢も多いように見受けられます。

>良いところを探って
なるほど、確かにあまりキッチリ精度を求めても仕方がないかも…。管楽器やフレットレス弦楽器も、音程は不安定な面がありますもんね(凄腕の人は別として、一般的に)。それに比べれば、オクターブ調整云々は固執するほどのことではないかもしれません。

ありがとうございました!

投稿: Tone BC | 2016年3月 1日 (火) 23時51分

Yさん

お役にたてば何よりです(^_^)/

ナイルガットとガットはやっぱり違うものなので
リアルガットを使ってみるとまたいろいろなことに気が付かれると思います。

音程のばらつきについては
ありすぎるといけませんが、
固執し過ぎてしまうとその先に進めなくなりますから
難しいところですね。

チューナーがやはり目で見えてしまうので
真ん中に合わせてしまいたくなるのですよねー(^_^;)

チューナーを使わないチューニングっていうのも
良いかもしれません。
たとえば、おおもとの基準ピッチから使わないで
指先の感触がいいところを基準とするとか。

投稿: はせがわ | 2016年3月 2日 (水) 08時11分

長谷川様

明けまして、おめでとうございます。昨年、ガット弦についてアドヴァイスをいただいた者です。その節は、ありがとうございました。

やっと、年明けにTORO社の牛腸ガット弦を購入しました。心配していたようなオクターブ(12フレット付近)での音程のズレも大したことがなく、ギターに張ることができました。

音色は、高音・低音の両極で大変音抜けが善く、驚いております。ゲージがナイロン弦よりも細くなるせいか、左手も押さえ易く、張った甲斐がありました。音量も自宅で弾くぶんには十分ですね。

わりと大型のギターにも相性が良いようで、ホッとしています。小型のギターにはピッタリですね。

お忙しいところ、相談に乗っていただき、誠にありがとうございました!

投稿: Tone BC | 2017年1月 9日 (月) 18時40分

Tone BCさん
今年も記事を楽しんでってください(^o^)丿
よろしくお願いします。

ピッチをいろいろ動かしてみると
・・・つまりこれはテンションを変えてみるということですが
鳴り方が変化しますから、またいろいろな発見があるかもしれませんよ。

ガット弦はテンションを下げても結構鳴るんだな
なんてことも実感すると思います。

また何かありましたらご遠慮なくどうぞ!

投稿: はせがわ | 2017年1月 9日 (月) 20時23分

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