トーマス・ジョンソン作 6コースギター 2011年 弦交換
Thomas A Johnson (トーマス・A・ジョンソン)作
6コースギター (ジョセフ・パヘスのレプリカ) 2011年製
オリジナルをつぶさに研究した、限りなく本物に近いレプリカです。
2本の弦を一対として1本分の役割を持たせるギターは
複弦と言いますが、複弦の場合はその一対を「コース」と呼びます。
つまり、このギターは6コース12弦。
ただし、いま第1コースはシングルとしているので
合計では11本の弦を張っています。
いま「バロックギター」と言われるギターは
5コースの複弦の楽器で18世紀まで使われていましたが
いわゆる19世紀以降のギターの主流、6単弦ギターに進む過程で
このような6複弦ギターも使われていました。
スペインやフランスで多かったようで
オリジナル楽器もこの元になった楽器パヘス(スペイン)や
プティジャン(フランス)のものなど見たことがあります。
さて、今日はこの楽器の弦を交換して
ガット弦仕様にしてみます。
張ってあった弦はナイルガット。
この楽器に張る弦はキルシュナー社のものから選んでみました。
弦の太さのデータを取るためにデジタルノギス。
本来ならこういうのを計るのはマイクロメーターなのですが
弦はコロコロしててホントに測りにくいので
最近はこれで何か所も計っちゃいます。
小数点以下2桁まで表示なのですごく便利です。(^o^)
あと、ペグコンポジションも用意しました。
今回の弦交換はナイルガットをリアルガットにすることと
4~6コースをオクターブにすることにしました。
4~6コースの巻線はまだ使えそうなのでそのままにします。
以下データ(おぼえがき)========
弦長646ミリ ピッチ415Hz~430Hzを想定
張ってあった弦(ナイルガット)
1 : 051(シングル)
2 : 063
3 : 080
新たに張った弦(実測値)
1 : DL 046 (048)
2 : DL 056 (060)
3 : FDL068 (069)
4 : DL 048x (050)
5 : DL 058 (062)
6 : DL 079x (079)
Xはバーゲン価格の2級品の弦だが
悪い感じもそれほどない。
音色は上々。思った通りの感じ。
音に色あいを感じる。ここがガット弦の良さと思う。
全体に以前の弦より細くなったので
440Hzの調弦も可能になった。
低音弦がオクターブになると響きが華やかになる。
特にラスゲアードなどに顕著。
ただし、スケールのときや
2声の動きで下の声部が上の声部を飛び越えたりすると
一瞬ぎょっとして手が止まる(笑)
やっぱり、ここでも「慣れ」かと。
(ブリッジ部、サドル無くバロックギターやリュートのような弦の取り付け)
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この楽器は昨年、アンティークフルートとのアンサンブル「シードルズ」で
一曲だけ演奏した際、「すごく良かった!」とうれしい感想をいただきました。
1曲だけだったのは、実はわたしが複弦の操作に全然慣れていなかったから。
2本で1対の弦はなんというかきし麺のような?
昔のパンツの平ゴムのような?(笑)
こう、平べったいものの上っ面をひっかくような感触で
ずいぶん戸惑ったものですが最近は少し慣れてきました。
今後はいろいろなレパートリーを試してみます。
明後日、フルートの朝倉氏が来るので
ライブに取り込めるよう相談してみたいとも思います。
こうご期待!(^o^)丿
【後日談】
上記の弦交換のすぐ後に
フィランディエレの6コースギター教本を見たところ
弦は6コースのみオクターブを張るという記述を見つけ
そのように変更しました。オクターブ上弦はガットで。
オクターブが鳴るキラキラ感は下がりましたが
落ち着いて弾くことができます。ヨカッタ(#^.^#)
ま、最初に見てからやりなさいということでもあるのですが(^^ゞ
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