19世紀に「チェンバロ」 その2 脱線編
さっき書いた記事をFBに上げたところ
チェンバロを勉強している知人からコメントいただき
楽譜のことやら、モダンチェンバロのことやら
少し盛り上がりました
そこで、また少し調べてみると
・・・ああ、一つわかると、わからないことが2~3個出てきちゃうアレだ。
もうキリがないので見えたことだけ、自分のために書いておこうと思います。
まず、先回出した「ギターとチェンバロ」とある楽譜のほかに
「ギターとピアノフォルテ」という版がありました。
チェンバロ版はテクラのジュリアーニ全集に収録されているもので
リコルディ社のもの。
出版年は楽譜に記載されたプレートナンバーで見るのですが1823年。
テクラの楽譜の解説文にもそう書いてありました。
もう一つ見つけたピアノフォルテ版がフレデリック・ホフマイスター社のもの。
出版年は1826-1828年なのでリコルディ社よりはあとになっています。
ちなみにこちらには作品113と書かれていて、一つピン!ときたことがありました。
それは・・・
これに収録されている、ジュリアーニの同曲が作品113となっていて
テクラでも他で調べても作品113はフゲッタという小品になるので
不思議だなーと思っていたところでしたが
なるほど、この楽譜を使ったんだなと。
さらに内容を比べてみると・・・
曲は一緒なんですが、ピアノフォルテの方が演奏上の指示が格段に多いです。
では、ちょっと見てみてください。
楽譜がこれ。
ちょっとツルーンとしてます(笑)
続いて、ピアノフォルテとあるホフマイスター版
作品113となってます。
そして、楽譜がこちら。
どうでしょうか。
だいたい似た感じの曲想に感じることはできますが
ホフマイスター版の方がニュアンスが細かいですね。
リコルディ版では曲の始まり部分に指示がない(ホフマイスター版でピアノ)。
実はこのイントロでは最後の部分にも指示がないのです。
ちなみにホフマイスター版ではフォルテでした。
そうすると、気になってくるのは
鍵盤用よりも前にできていたというギター五重奏版でしょう?
はたしてどうなってるかな・・・。
あ~っ!はじめフォルテで終わりピアノ!?
うわー、逆だなー、どうしましょう(笑)。
っていうか、何があったんだろう。
結論はまあ、この曲を弾くことがあったらその時に
あらためて考えればいいかなと思いますが(笑)
まず、この曲はもともとギターと弦楽カルテットの組み合わせて作ってますから
がっぷり四つに組むとギターがうっちゃられちゃうと思ったんだと想像しますが
ギターが弾いている時はバックがおとなしく、
バックが目立つシーンではギターが休んでいたりします。
こういう構成が、音量的ダイナミクスが苦手なチェンバロと組むときも
いいんじゃないかなーと思った、なんてことはあるでしょうか。
・・・あるかなあ、ホントにチェンバロ説。ちょっと考えすぎかもしれませんね。
ホフマイスターのピアノフォルテ版は
そっけないリコルディに比べて
かなりロマン派的というかピアノっぽい楽譜の感じがします。
ジュリアーニは1781-1829年ですから
出版の頃はナポリにいたと思いますがまだ存命中でした。
作品番号はややこしいので65ということにしていただきたい!
そして・・・もう、これ以上考えるの大変なんで
この話はここまでっ!
《後日談》
チェンバロって、19世紀のオペラでも使っていたんだろうか、
もしそうだとしたら、ピアノに押されていたチェンバロの
最後の活躍の場はオペラだったのかな、とか。
逆にそういうことで、チェンバロが19世紀でも身近だったなんてことはあるのかな。
なんて思いながら、また検索を続けていると。。。
根本卓也(指揮・チェンバロ・作曲)さんのブログにまつわる記事を見つけました。
「昔から、なんで19世紀のオペラでチェンバロ使うんだろ?と
実は不思議に思っていたのです。少なくともフォルテピアノなんじゃないか・・・?」
あとはこちらで。
http://nemototakuya.info/secco-recitativo-in-19th-century/
根本さんはわたしの友人の友人でした
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