クルト ホイヤー 1964年 ウインナー&スパニッシュ・ハイブリッドギター
クルト・ホイヤー 1964年(ドイツ) 弦長625mm
スプルース・メイプル
R.Kurt Hoyer 1964
ちょっと面白いギターです。
ホイヤーギターで調べてみると
こんなサイトが当たって(クリック)
19世紀からあったメイカー、ホイヤー家の一派ではないかと想像するのですが
Kurtの名前は出てきません。
このギターについてはシュタウファーからの流れのウインナーギターと
スパニッシュクラシックギター・・・つまりモダンギターとのハイブリッドを感じます。
加えて言えば、このフォルムが
ドレッドノウトなどのフォークギターとも重なって見えます。
弦長は625mmと短め。
でも、ボディが大きめなのと、ネックも四角くゴツいので小型には感じません。
高音は20フレットまで延長されています。
横裏板は綺麗なメイプル。
ウインナーギターの流れを感じさせるのは
シュタウファーのレニャーニモデルにある、弦高調整システムを持っていること。
この穴にウオッチキー(時計のぜんまいを巻くカギ)を突っ込んで回すことで
弦高が変化します。
12フレットから先は表面版に接しておらず、浮いています。
前出のキー操作によって、ここが動くからです。
キーを最後まで緩めると、ネックを外すことができます。
表面版の力木はモダンギターにあるようなファンバーリング(扇状配置)。
低音側に1本短いのが追加された8本バーでした。
ボディがスパニッシュ、ネックがウインナーというのは
20世紀前半のドイツなどでは
他のメイカーでも時々あるようですが
わたしも試奏したことがあります。
これは都内某所にて拝見させていただいたもの。
メイカーはハウザー1世1926年。う~ん、良い音だぁ~。
この頃、セゴビアからの依頼を受けて、様々な形を実験していたのでしょうか。
後のスパニッシュほどは粘りませんが
それまでのウインナーよりはずっと円やかな方に傾いている
スパニッシュギターとは何なのか、
その神髄を探っているようなハイブリッドでした。
閑話休題・・・話を戻しますと
ホイヤーギターもやはり少しスパニッシュ離れしています。
時代的には1964年ですから、
世の中のクラシックギターは十分スパニッシュ化されています。
なのでこのモデルは、あえてスパニッシュを目指さなかったというか
やっぱり、ジャーマン的なものとのハイブリッドを
目指していたのではないかと思います。
ハウザー1世のような凄みや格調こそありませんが
やや硬質で品の良い透明な音がコンコンと響く感じ。
単音も和音も爽やかな気分を持っています。
アコースティックギター系なんでしょうか。
こんな感じ。
R. Kurt Hoyer - Lauten und Geigenbauer - Mannheim S 2,11 Anno 1964
とありました。
Lauten und Geigenbauer は
リュートとヴァイオリン製作者と訳すようですが
ルシアー(ルーティエ)みたいな、弦楽器製作家みたいなことでしょう。
割と、クラシカルな表記のラベルです。
このギターは今度のアイリッシュハープとのライブで使うことにしました。
アイリッシュハープとの時は、あまりねっとり粘らないギターの方が気分です。
19世紀ギターのレプリカも試してみたのですが、
どうも少し音色が優しすぎる傾向があって、
もっと音が張っていた方がいいかな、と思ってこれを選びましたが
なかなかイイ感じで響きあっています。
アイリッシュハープとのライブは5/13(日)
よろしかったらぜひ、このギターの音色も楽しんで行ってください
ストラップボタンもあるので立奏でいこうと思っています。
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