聴き比べ フィガロ弦 アルミ巻と純銅巻 練習曲op.51-1(ジュリアーニ)
フィガロの19世紀ギター用低音弦試作品をテストしています。
《これまでのはなし》
ナイロンが開発され、一般化する以前のギター低音弦は
絹糸(ナイロンではなく)を芯線に使用し、細い金属線を巻いたものでした。
19世紀ギターにはもちろん絹芯がデフォルト仕様で
その音色こそが本来の19世紀ギターの音色と言えます。
そこで、2018年の11月半ば、国内の弦メーカーフィガロの藪社長にお会いした際に
「国産で19世紀ギターが喜ぶ絹芯の低音弦があったら嬉しい」
と話したところ、興味を持っていただき試作品を送っていただき
インプレッションを返すということが続いています。
先回の様子
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聴き比べ 低音弦ナイロン芯のハナバッハと絹芯のフィガロ
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先回の試作品では第6・5弦が銀メッキをした銅線を巻いたもので
第4弦がアルミ線を巻いたものでした。
アルミは軽い金属なので弦が太くなります。
およそ6弦と同じくらいの太さでした。
弦が太くなると音色も太くなります。
4弦のみを弾いている分にはそれもよい感じなのですが
やはり、6・5弦からの繋がりは音色的にも感触的にも違いを感じるので、
第5・6弦と同じ仕様の第4弦を試したいとリクエストしたところ
メッキ線では重くなってしまう→線を細くしないといけない→耐久性下がる
ということで、純銅を巻線にした第4弦が送られてきました。
冒頭の写真はアルミ巻と純銅巻の第4弦を並べてみました。
太さの違いがお分かりになると思います。
今回の動画は4弦のみが違います。
(高音弦はガット、第5・6弦はフィガロ絹芯銀メッキ銅線巻)
さて、お聴きになってどのようにお感じになるでしょうか。
わたしのファーストインプレッションは・・・
アルミ巻きは時間が経過することで先回より
メッキ銅(第5・6弦)との音色の違いが出たように感じました。
銅巻4弦はそれに比べれば6-5弦からのつながりは良いと思います。
張力については鳴りも確保できてますのでこれでも大丈夫ですが、
もう少し強くしても良いかもしれないとも感じました。
銅巻は柔らかさがあり、シルク芯と相まってとても豊かな音色を出します。
わたしは(ナイロン芯で)銅巻とメッキ銅巻の違いを経験していますので、
この柔らかな響きは銅巻の音だなと感じます。
メッキ銅の方が比べれば響きにも感触にも硬質な感じるとお伝えしたところ
藪社長から
「前回の銀メッキ銅線の弦は純銅ではなく銅合金なんです⭐️
フレットの洋白の硬さを考えて合金のものにしていました。
メッキ巻線は黄色のグループの弦と同一です。」
とお返事をいただきました。
私個人の見解を言えば銅巻の音は好みなので、いっそのこと第5第6弦も銅巻にして
フィガロの19世紀ギター用低音弦は銅巻ということでも良いような気がします。
・・・とお伝えしました。
純銅は金属も柔らかいため、より硬い洋白のフレットに負けて
巻線が磨滅し耐久性が落ちるという事でしたが
逆に言えば、フレットは減りにくく、軽く柔らかな左手を要求される
という点ではいいかもしれないとも思いました。
弦が減ったら換えればいいのですから!(^^)
耐久性については今後の様子を見ていきたいと思っています。
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