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2021年6月23日 (水)

2台のギターのための24の漸進的なレッスン~第16曲(カルッリ)

2台のギターのための24の漸進的なレッスン~
ギターのための総合的教則本Op.27より(カルッリ)

演奏
小川和隆(パノルモ1847年)
長谷川郁夫(ラコート1828年)

第16曲:アンダンティーノ ト長調 6/8拍子
この曲はA-B-Aの3部構成になっています。Aの部分はカルッリらしい爽やかな音運びで実に平和な世界を描いていますが転調しBに進むと様子が少しずつ変わってきます。いや、はじめの方こそ穏やかな日差しの中歩いているのですが、第34小節(
01:29)あたりで二人はどこへ続くかわからない不思議な入口に出会います。「行ってみようか?」「うん、行ってみよう」…そこは階段になっていて二人は吸い込まれるように奥へ奥へと進んでいきます。気がつくと外の音はもう何も聞こえない深い深い地下へ…第52小節(02:07)。「もう戻ろうよ、そうしないと曲が終わらないよ、、、」「そうだね、僕もちょっと怖くなってきた」「大丈夫かな?」「…うん、来た道を間違えずに戻ればきっと」二人はゆっくり出口に向かいます…第61小節(02:31)。そして…「やった~!出てこれた」「よかったねー!」とうとう無事に地上に出ることができたのでした、めでたしめでたし…第70小節(02:57)。

実は楽譜には曲想に関する指示はほとんどありませんでした。それで「はて、どうしたものか」と思っていたところ、小川さんから「どんどん沈んでいく感じで・・・ここから浮き上がってくる感じで」というサジェスチョンがあり、こんなイメージをもってアプローチしました。こういう作品はついつい平板に弾くと「なんだ、繰り返しばかりでつまらない曲だな!」で終わりがちですが、こんな風に“本を読むように”感じることも大切と思いその一例として解説に書いてみました。ヘンゼルとグレーテルが森に迷い込むシーン、はたまた息を止めて潜水泳したときのことなどが脳裏をよぎりました。

カルッリ先生、あの途方もない応答の連続には意表を突かれましたが、われわれのこんなイメージはいかがでしょうか。

もちろん、解説に描いたのは一般的なものというよりは個人の感想的なものですから、この演奏を聴いてわたしだったらこう感じるとか、楽譜を見て自分ならこう弾いてみたいなんていうのをいろいろ巡らせてみるのも楽しいと思います。

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