練習曲 op.35-3 ラルゲット イ短調 (F.ソル)
練習曲 op.35-3 ラルゲット イ短調 (フェルナンド ソル 1778-1839)
Etude op.35-3 Larghetto a-moll (fernando Sor 1778-1839)
使用ギター:野辺正二作 シュタウファーレプリカ(2000)
イ短調のラルゲット。ラルゲットはラルゴの意味を少し軽くしたような言葉です。ラルゴは学校ではたしか「幅広く緩やかに」と教わりました。ラルゴはLargo。大きいを意味するLargeラージから来ています。だから「幅ひろく」とつくわけですね。遅いということだけではなく幅ひろいから→ゆったりとなるんだ、ということなんでしょう。
Amの曲は一般的に「つらい悲しみ」というより「ロマンティックな甘さ」みたいな曲が多いような気がします。この曲のわたしのイメージもそんな感じ。ふと出てくるCの和音は深い森に光が差し込んでくるような美しい光景を感じました。そして心奪われるのはリピート記号を過ぎたところにあらわれる、コード進行でいうとC→G、B♭→Fのところ!ドラマチックですよね。そして最後の山形の音型。拍が切り詰められて切迫するように登り、息を吐くように降りてラの音だけになる・・・これは渋い。さすがソル先生!と思う所です。ソル先生はエンディングに一ひねり加えることが多いですよね。
演奏ギターについて
こういう曲(カルッリやアグアドもそうですが)は19世紀ギターで演奏するとまた味わいも格別なのですが、このサンプル演奏シリーズではナイロン弦と440Hz調弦縛りにしているので今回はレプリカギターを使いました。野辺正二作アントン・シュタウファーのレプリカ2000年製。このレプリカの元になったギターは溝カルで知られる、かの溝渕浩五郎し所有だったもので昔野辺工房でオリジナルも拝見したことがあります(^^) ちなみにアントン・シュタウファーは有名なシュタウファー(ゲオルク)の息子です。19世紀ギターではまた機会を改めて収録できればと思っています。
練習曲集op.35について
ソルの練習曲集op.35は全24曲、2分冊で出版されました。いま「月光」や「夢」と呼ばれ親しまれている作品もこの中に含まれています。曲集のタイトルには「とても易しいよ」と書かれていて確かに最初の方はローポジションで弾きやすい作品ですが後半になるとそれなりに手ごたえのあるものも出てきます。
作品としては初めの簡素なものから音楽的なバランスに優れ気品の高い、いかにもソルらしい味わいが楽しめます。そして24の様々なキャラクターの曲を体験することで技術だけではなくソルの標榜する「良き音楽」を感じ取ることができるような作りになっています。急がず、じっくり取り組みたいような練習曲集ですね。
op.35練習曲集はこちらで閲覧・ダウンロードできます。
ソルop.35
| 固定リンク | 0
コメント