ワルツアンダンティーノ (アントニオ カーノ)
ワルツアンダンティーノ ニ長調 (アントニオ カーノ 1811-1897)
Valse Andantino (Antonio Cano 1811-1897)
作曲者アントニオ カーノについてはスペイン南部のロルカで生まれたこと、36歳の頃よりマドリードで様々なコンサートを行い成功した、というくらいの経歴が見つかるのみでした。楽譜についてはペトルッチのライブラリにいくらか見ることができますが、残念ながらこのワルツ アンダンティーノの原典に当たることはできませんでした。
ペトルッチ楽譜ライブラリー、アントニオ カーノの項目はこちら
https://imslp.org/wiki/Category:Cano%2C_Antonio
ワルツアンダンティーノ
日本では様々なギター教本やギター曲集で楽譜を目にします。第6弦を一音下げ「レ」にする変則調弦で演奏します。これは「D調弦」「ドロップD」などと呼ばれ変則調弦といってもよく使われるもの。このチューニングで弾くニ長調は低音が深々と響いて気分が良いですね。しかもこの曲では下げた第6弦は開放弦のみしか使いませんから、初めてのD調弦でも押さえで混乱することはないでしょう。スライドを伴う柔らかなメロディは上質のビロードに触れるような心地よさを思わせ、全体にとてもエレガントな雰囲気を持った曲です(^^)。
タイトルにあるようにワルツですから3拍子なのですが、ドンデンドンデン・・・とくる低音の音型と2拍目で終止するメロディのせいもあるかな、3拍子のイメージで捉えるのに少してこずりますね。そういう時はオーソドックスなブンチャッチャの伴奏を作って(声で)歌ってみるとイイですよ。それと、アンダンティーノは速くない感じでよいのですが、あまりゆっくり弾き過ぎるとやっぱり3拍子がつかみにくくなりますし各セクション終わりの2拍分休符っていうのも間が持たなくなったりしますから、適度にスッスッと進む方がいいかなと思います。途中、上行のスケールで現れる「ad libitum」の指示、意味は「自由に」ですが拍に縛られない感じ→自由(っぽい表現)と考えると良いと思います。ああ、ちょっとレッスン的な解説になってしまいました(^^ゞついつい。
この曲はわたしが中学の頃、ギター部のある先輩がこちらから見えない階段の上のところでよく弾いていました。わたしが朝練に来る頃いつもナチュラルリバーブのかかったイイ感じの音が降ってくるように聴こえて「いい曲だなあ、上手に弾くなあ!」と思っていました。そういう記憶っていつまでも忘れないものですね。最後のセクションで高音が輝かしく鳴り響くところが一番好きなところです。
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