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2021年7月15日 (木)

雨だれ(リンゼイ)

Photo_20210715161001
https://youtu.be/iRSUYlf8NZo

雨だれ(G.C.リンゼイ 1855-1945)
Rain Drops (George C. Lindsay 1855-1945)

雨にまつわる音楽では悲しかったり寂しかったりとかあるいは幻想的な・・・なんていう曲もありますが、この曲では楽しげに雨の日を謳歌する雨つぶの様子が描写されています。「ピッチピッチ、チャップチャップ、ランランラン」でおなじみの童謡「あめふり」でも楽しい気分の雨は弾んだリズムを持っていますね。ちなみにこちらはそのはじける感じを装飾音で書いています。技術的にはポジション移動や装飾音、スライドなどいくつかポイントはありますがどれも比較的弾きやすく、標題音楽の気分が楽しめる佳曲です。楽譜はいくつか見て概ね記譜は同じでしたが現代ギター社の「発表会用ギター名曲集/中川信隆・監修」では曲想の指示がほとんどなく、ドレミ出版の「ギター名曲170選グレードA」では比較的細かく書かれているというような違いがありました。オリジナル(初版)がわからないのでこれらの指示が作曲者からのものか若干不明でしたが一応、後者(ドレミ版)を参照しています。

曲はA(A)-B-A-C-A'というロンドのような構成になっています。冒頭のテーマはレント・レガーティッシモ。「ゆっくりでとてもなめらかに」という指定で弱音主体です。ピチャっと落ちた雨つぶがツツーっと流れるようなグリッサンドの指定もありました。Bは雨が強く元気になっているのでしょうか、指示は「精力的に」でフォルテやフォルテッシモの記号もあり賑やかな感じ。再びAになって穏やかなひとときを過ごしますが、今度のCは「テンポを上げて」という指示。ここでは雨つぶたちの楽しいデュエットの様子が聞こえます。途中フェルマータからの下行音階がありますがここは葉っぱの上に乗った雨つぶかな?コーーロ、コロコロコロ・・・ピチャン♪ですよね(^^)。最後のAは2小節目だけがこれまでと違いますが、このほんのちょっとの違いでエンディングをちゃんと感じさせてくれるところ、リンゼイさんのセンスに感心します。そしてディミヌエンド~最後はピアニッシモ。雨つぶたちのおしゃべりも遠ざかり・・・雨上がりです。

作曲のリンゼイについては生没年とアメリカ人であること以外、ほとんど人物についての記述が見当たらないのですが「キンポウゲワルツ」で知られるビックフォード女史とはギターによる親交があったそうです。ちなみに歳の差30歳(リンゼイが上)。8歳のビックフォードにギターを手ほどきしたというような話がありました。

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