アンダンティーノ ト長調 op 241-5(F.カルッリ)と Martin 00-28c
アンダンティーノ ト長調 op 241-5(F.カルッリ)
使用ギター:C.F.マーチン 00-28c 1969年
カルッリのop.241はギター教本です。カルッリの教本と言えばop.27が頭に浮かびますが、それをのちにもう一度整理して出版したのがop.241でしょうか。曲が重なっている部分も多く見受けられます。この第5番とされているト長調の小品はop.241の方だけに収録されています。
カルッリの教本は以下で閲覧・ダウンロードできます。
op.241
op.27
アンダンティーノ ト長調
教本的にはかなり前の方に出てくる易しい10度音程の練習曲です。わたしがギターを始めた中学生の頃、10度の響きに一目ぼれ「スゴイ綺麗な響き発見!なんて素敵なんだ」と思ったことをよく覚えています。もちろん今でもそう思っていますョ。この曲は穏やかで、でも少し愁いも感じるような優しいイメージがありますね。わたしの大好きな曲の一つです。
演奏ギター:00-28c
ずいぶん昔に19世紀ギターの末裔と言えるかな?と思って手に入れました。マーチン社はドレッドノウト型のフォークギターで知られるアメリカの有名ギターメーカーですが、さかのぼると初代マーティンさんは19世紀初頭のウィーンのシュタウファーという名の通った工房の職人でアメリカにわたって自分のショップを始めたのが事の始まりのようです。マーチン のロゴを見るとsince 1833とありますが、ヨーロッパではちょうどギター黄金期と言われる頃です。
スパニッシュギターの流れから来る現代のクラシックギターと比べると音に粘る感じが無くさっぱりしているのが特徴と感じますがそれはやはりウィーンの19世紀ギターに繋がるような気がします。そして、この10度のエチュードのような曲の爽やかな響きがよく似合うように思います。
また、こういうギターを弾くことで逆にいまのクラシックギターがスペイン風味を持っていることを良く自覚できるようになりますね、それがドイツ系の楽器であっても。ちなみにこのギターでタレガとかを弾くと明らかに何か物足りない感じがあります。高音も低温も粘らなくて爽やか過ぎちゃうんですよね(笑)
00(ダブルオー)はやや小型で丸っこいボディを持っています。12フレットジョイントでクラシックギターを弾くわたしにもあまり違和感がありませんが、やはりシルエットもクラシックギターとはちょっと違いますね。00に続く数字は18と28がありボディの材質を表しているようです。18はマホガニーなのに対して28はハカランダ(ローズウッド)仕様になります。最後につく“c”はクラシックということでしょうか。ナイロン弦仕様のものについています。
裏板はまるで河野ギター工房の宣伝で見るような(笑)見事なハカランダ。マーチン も70年代に入ると通常仕様でハカランダは使われなくなる(ローズウッドになる)ようです。この楽器は1969年なのでハカランダ。ちょっとうれしい・・・かな。
ブレーシングはこんな感じ。右下がこの楽器のものです。左上がいわゆるドレッドノウト型のフォークギターですが、扇形力木の(スパニッシュ)クラシックギターの影響も受けつつ折半を狙っているようにも見えます。
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