ト長調のワルツ(Ⅾ.フォルテア)Vals en Sol (D.Fortea)
ト長調のワルツ(ダニエル フォルテア 1878-1953)
Vals en Sol (Daaniel Fortea 1878-1953)
作曲者ダニエル フォルテアはスペインのバレンシアに生まれ、フランシスコ・タレガ(1852-1909)に師事したギタリストの一人として知られています。6つ年下のエミリオ・プジョール(1884-1980)や同い年のミゲル・リョベート(1878-1938)は同門の仲間だったということです。また1909年にマドリードに音楽学校を創設したこと、ギター音楽の重要なコレクションを収蔵したフォルテアライブラリーを創設したことなどが資料に書かれていました。面白いところではパウリーノ・ベルナベ1世(1932-2007)はフォルテアにギターを師事していたそうです。
ト長調のワルツ
冒頭、根音のないレシソ・レシソという開放弦を伴奏にレミファソラシドと上行するメロディが乗るところに不思議な浮遊感があってこの曲を印象付けていると感じます。もちろんこれは易しく弾ける曲とするための一つのアイデアでもあったでしょう。ただ、今回の演奏では易しさとは逆行してしまいますが休符部分を丹念に消音して弾いてみました。すると語り口にリズムが生まれ、曲も弾んで楽しくなりました。まあ、フォルテアさん自身がこの曲の演奏に消音をどのくらい要求したかはやや微妙とは思います。というのも初級者のためにこれを作ったのなら、盛大に鳴る開放弦を毎度消音していくのは案外ハードルが上がっちゃいますよね・・・。
このワルツは今年(2021年)のわたしの教室発表会で小学女子が伸びやかな演奏を聴かせてくれました。こどもの指とこども用ギターから流れ出る独特な音色、集中した一生懸命な様子と子どもの感じるこの音楽の世界がよく表れていて、今しかできない「こどもらしい演奏」がとても尊いものに感じた瞬間でしたが、そのとき上へ上へと昇ってゆくメロディを持ったこの曲が本当にピッタリでした。もちろんこの曲はこども用というわけではありませんがフォルテア先生も聴いたらきっとニッコリ微笑んでくれたでしょう(^^) 曲と人物がセットで記憶に残ることってわたしには多いのですが、以来この曲の楽譜を眺めたり、ちょっとつま弾くたびにその時の彼女の様子が思い出されます。
この曲もオリジナルのファクシミリなど見当たらなかったのでギタルラ社の新ギター教本(通称青本)の楽譜を参照しました。
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