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2021年10月

2021年10月29日 (金)

太陽がいっぱい(N.ロータ)Plein Soleil(N.Rota)

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https://youtu.be/kGsSpX2OD7w

太陽がいっぱい(ニーノ ロータ 1911-1979)
Plein Soleil(Nino Rota 1911-1979)
同名のフランス映画(1960年)主題曲

楽譜
「ギターソロ映画音楽名曲集1(編曲/竹内 永和)」現代ギター社

ギター演奏:長谷川 郁夫
Guitar:Ikuo HASEGAWA

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2021年10月28日 (木)

鉄道員(C.ルスティケッリ)Il Ferroviere(C.Rustichelli)

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https://youtu.be/zgHn9I4FI-Q

鉄道員(カルロ ルスティケッリ 1916-2004)
Il Ferroviere (Carlo Rustichelli 1916-2004)

楽譜
「ギターソロ映画音楽名曲集1(編曲/竹内 永和)」現代ギター社

ギター演奏:長谷川 郁夫
Guitar:Ikuo HASEGAWA

同名のイタリア映画(1956年)の主題曲

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2021年10月27日 (水)

慕情(S.フェイン)Love Is a Many-Splendored Thing(S.Fain)

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https://youtu.be/sYRLuOwzImU

慕情(サミー フェイン 1902-1989)
Love Is a Many-Splendored Thing Sammy Fain 1902-1989)

楽譜
「ギターソロ映画音楽名曲集1(編曲/竹内 永和)」現代ギター社

ギター演奏:長谷川 郁夫
Guitar:Ikuo HASEGAWA

同名のアメリカ映画(1955年)主題曲

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2021年10月23日 (土)

練習曲 op.35-22 アレグレット ロ短調(F.ソル) Etude op.35-22 Allegretto h-moll (F.Sor) 月光

Op3522
https://youtu.be/cNW3NvOzPrI

練習曲 op.35-22 アレグレット ロ短調 (フェルナンド ソル 1778-1839)
Etude op.35-22 Allegretto h-moll (Fernando Sor 1778-1839)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

練習曲 op.35-22 アレグレット ロ短調 3/4拍子
「月光」の別名でソルの練習曲の中では一番知られていると言っても過言ではないでしょう。ただ、現代ギター社出版の「ギター名曲ミステリー(手塚健旨著)」によれば《セゴビアの演奏によって》《日本で》《戦後に》 そう名付けられたとか・・・。まあ、メンデルスゾーンの無言歌のタイトルも当初はほとんどつけられていなかったといいますから(これは出版社が付けたのでしたっけ)、「月光」も後世の人が意図的に、あるいは人知れずついたとは思っていましたが、まさか日本で命名されていたとは!
ちなみにセゴビアの編纂した「ソル20のエチュード」内でのこの作品はモデラートとソルが指定したアレグレットより少し遅い指示に書き換えられています。確かにそのように弾くと「月光」ぽいイメージがあるような気もしますね。
ですが今回の演奏については19世紀ギターというのもありますし、ソル指定のアレグレットに寄せることを心がけました。ただし速度をメトロノームいくつにするかより、メロディとなる2分音符+4分音符のリズムとその音型がアルペジオの中から浮き出し心地よく流れることを大切にして、そのためのテンポを設定するというアプローチで作っています。
その結果、やや重くしみじみした「月光」的イメージと比べてぐっと軽やかになり、ラコートの音色と相まってスゥーっと通り過ぎる秋風のような気分が出たように思いましたがいかがでしょうか。

練習曲集op.35について
ソルの練習曲集op.35は全24曲、2分冊で出版されました。「月光」や「夢」と呼ばれ親しまれている作品もこの中に含まれています。曲集のタイトルには「とても易しいよ」と書かれていて確かに最初の方はローポジションで弾きやすい作品ですが後半になるとそれなりに手ごたえのあるものも出てきます。
作品としては初めの簡素なものから音楽的なバランスに優れ気品の高い、いかにもソルらしい味わいが楽しめます。そして24の様々なキャラクターの曲を体験することで技術だけではなくソルの標榜する「良き音楽」を感じ取ることができるような作りになっています。急がず、じっくり取り組みたいような練習曲集ですね。

楽譜は
https://imslp.org/wiki/Category:Sor,_Fernando
上記リンクより「24 Exercices très faciles, Op.35」をご覧ください。

ソルは
カルッリやジュリアーニらと並んでギター黄金期といわれる19世紀初頭のヨーロッパギター界を代表するギタリスト・作曲家で後に「ギターのベートヴェン」と呼ばれることもあります。スペインのバルセロナに生まれ同地近郊のモンセラート修道院などで音楽を学び、後に(35歳ごろ)パリに亡命。以降はパリを拠点にヨーロッパ中で活躍しました。作曲家としてはオペラやバレエその他オーケストラ曲なども書いていますが、ギターへの強い愛情からか作品番号はギター曲のみにつけられており、独奏と二重奏で63番まであります。作風としてはハイドンやモーツァルトのような上品で古典的な気分のものが多く、またカルッリやジュリアーニがしていたようなオペラ序曲や流行り歌の気楽なアレンジなどはほとんど無いというあたりがソルの育ってきた音楽環境や標榜する音楽、さらには本人の性格といったものも表われているように思います。ソルはパリにて61歳で世を去り、モンマルトル墓地に埋葬されています。

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2021年10月21日 (木)

練習曲 アレグレット ニ短調 (F.カルッリ) Etude Allegretto d-moll(F.Carulli) 

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https://youtu.be/Ee7hatGBhps

ギター教本 op.27およびop.241より
練習曲 アレグレット ニ短調(フェルディナンド カルッリ 1770-1841)

Méthode complète op.27 & op.241
Etude Allegretto d-moll(Ferdinando Carulli 1770-1841)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川 郁夫 Ikuo HASEGAWA

練習曲 ニ短調 3/6拍子
この曲も現代のギター教本や曲集でよく見かけます。ABACAという構成(リピート除く)ですから小さいながらも立派なロンド形式ですね。やや哀愁を帯びたDmのロンド主題、続くFメジャーのエピソードは懐かしく遠くを見つめるような気分。もう一つのエピソードは込み上げる熱い想い・・・。カルッリ先生の作品はこんなに小さなエチュードでもドラマチックで人を喜ばせる要素がいっぱい詰め込まれているところが素敵だし、流石だなあと思います。

楽譜は
カルッリのギター教本はop.27が有名ですが、もう一冊op.241というのもあります。内容は重なっている部分が多く、op.27の後にもう一度整理して出版したような感じでしょうか。今回のニ短調のエチュードはどちらの本にも掲載されていました。以下にリンクを張っておきます。

op.27 ニ短調の項、ページ番号でp.22、pdfでは24ページ。
op.241 同じくニ短調の項、第22曲として掲載。pdfでは40ページ。

カルッリは
イタリアのナポリに生まれ、楽器は初めにチェロを学び、ギターを弾くようになったのは二十歳からだそうです。すぐにギターを独学でマスターし、パリでの演奏旅行を成功させた後にパリへ移住し、そこを拠点に活動することになります。作曲作品は400曲超、ヨーロッパの19世紀初頭はギターにとって黄金期ともいわれる時代ですが、最も成功し人気があったギタリストと伝えられています。

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2021年10月20日 (水)

埴生の宿 (K.メルツ編) Home!Sweet home!(arr.K.Mertz) ホーム・スイート・ホーム はにゅうの宿

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https://youtu.be/11l9weRI5Yo

ヨハン カスパール メルツ(1806-1856)による
音楽のパノラマ~136の楽しいギター小品集『かっこう』より
第8曲 埴生の宿(イギリス民謡)

"CUCKOO"~Panorama musical(Johann Kaspar Mertz 1806-1856)
Home! sweet home!(Englishes Folksong )

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

埴生(はにゅう)の宿
原題『Home, Sweet Home(ホーム、スイート・ホーム)』は、この楽譜ではイギリス民謡とされていますが、1823年初演のオペラ「ミラノの乙女(Clari, Maid of Milan)」の中で歌われた歌曲で作曲はヘンリー・ビショップ(Henry Rowley Bishop/1786-1855 イングランド)。作詞はジョン・ハワード・ペイン(John Howard Payne/1791-1852 アメリカ)でした。
歌の内容は「宮殿暮らしをすることになったヒロインのクラリが、貧しくとも満ち足りていた故郷の家を懐かしむ」というもので、里見義(1824-1886)が中等唱歌として日本語にした「埴生の宿(1889・明治22年)」も少々シチュエーションは違いますが「粗末であっても我が家がいちばん」ということを歌っており日本人の心にもよくなじむ歌となっています。
メルツのアレンジは技巧的な部分はなく歌をそのまま聴かせる短いものですが、かえってそのシンプルさがギターの音色と相まってしみじみと心に響くように思います。
特に最後の「ホーム!」を連呼するところがいいですね。

Home ! Home ! Sweet , Sweet home !
There's no place like home !
Oh! there is no place like home !

万感の思いがこもります。


音楽のパノラマ~136の楽しいギター小品集『かっこう』について
1852~53年にライプチヒで出版された曲集で、当時ドイツで人気のあったヨーロッパ各国の民謡・舞曲・行進曲・オペラのアリアなどを、メルツがギター用に編曲した136曲からなる小品集です。現代でも人気曲をギターで弾く曲集のニーズは大きいですが、150年前の人々も同じだったんだなあ(^^)「やっぱりギターは心の友!」とちょっとうれしい気持ちになります。

楽譜は
ファクシミリ版はこちら
現代ギター社からも出版されています。 
GG版は見やすく浄書された楽譜と収録されている136曲全てについて説明があるのがありがたいです。

メルツは
ハンガリーに生まれ、ウィーンを中心に活躍した19世紀中葉のギタリストです。作品には音楽史でよく知られているところでいえばショパン、シューマン、メンデルスゾーンやリストあたりの音楽の気分があり、いかにもロマン派という味わいを感じます。

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2021年10月19日 (火)

練習曲 op.35-4 (F.ソル) Etude op.35-4 (F.Sor)

Op354
https://youtu.be/_Oy0Yvjdc0M

練習曲 op.35-4 ト長調 (フェルナンド ソル 1778-1839)
Etude op.35-4 G-dur (Fernando Sor 1778-1839)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

練習曲 op.35-4 ト長調 3/4拍子
以前、op.35-3イ短調のラルゲットをアップしていますが、こちらはその次の曲で前曲と対照的に穏やかで明るい気分を持っています。冒頭から伸びやかに上行するアルペジオがこの曲を象徴するモチーフでそこからメロディを紡いでいく様子はハープを連想しました。 この楽譜にある指示は運指だけで速度や曲想にかかわるものは記載されていなかったので曲の様子からAndantinoくらいのイメージ、曲想についてはメロディの音型や和音から抑揚を汲み取ってつけています。
ほとんどローポジションで音域を広く使わず、あまり難しさを要求しないシンプルな音使いという条件の中でもバランスの良いサウンドと安定感のある構成で妥協のない美しい音楽を作り出すソル先生。あらためて作曲家としての力量の高さを感じます。

練習曲集op.35について
ソルの練習曲集op.35は全24曲、2分冊で出版されました。いま「月光」や「夢」と呼ばれ親しまれている作品もこの中に含まれています。曲集のタイトルには「とても易しいよ」と書かれていて確かに最初の方はローポジションで弾きやすい作品ですが後半になるとそれなりに手ごたえのあるものも出てきます。
作品としては初めの簡素なものから音楽的なバランスに優れ気品の高い、いかにもソルらしい味わいが楽しめます。そして24の様々なキャラクターの曲を体験することで技術だけではなくソルの標榜する「良き音楽」を感じ取ることができるような作りになっています。急がず、じっくり取り組みたいような練習曲集ですね。

楽譜は
https://imslp.org/wiki/Category:Sor,_Fernando
上記リンクより「24 Exercices très faciles, Op.35」をご覧ください。

ソルは
カルッリやジュリアーニらと並んでギター黄金期といわれる19世紀初頭のヨーロッパギター界を代表するギタリスト・作曲家で後に「ギターのベートヴェン」と呼ばれることもあります。スペインのバルセロナに生まれ同地近郊のモンセラート修道院などで音楽を学び、後に(35歳ごろ)パリに亡命。以降はパリを拠点にヨーロッパ中で活躍しました。作曲家としてはオペラやバレエその他オーケストラ曲なども書いていますが、ギターへの強い愛情からか作品番号はギター曲のみにつけられており、独奏と二重奏で63番まであります。作風としてはハイドンやモーツァルトのような上品で古典的な気分のものが多く、またカルッリやジュリアーニがしていたようなオペラ序曲や流行り歌の気楽なアレンジなどはほとんど無いというあたりがソルの育ってきた音楽環境や標榜する音楽、さらには本人の性格といったものも表われているように思います。ソルはパリにて61歳で世を去り、モンマルトル墓地に埋葬されています。

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2021年10月17日 (日)

ソナチネ(N.パガニーニ) Sonatina (N.Paganini)

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https://youtu.be/kZ_tvEJQjE8

5つのソナチネ MS85-1より
ソナチネ第1番(ニッコロ パガニーニ 1782-1840 伊)

from 5Sonatina MS85
Sonatina No,1 (Niccolò Paganini 1782-1840)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

ソナチネ ハ長調 4/4拍子
パガニーニと言えば一般的にヴァイオリンの鬼才、超絶技巧!というイメージでギターを弾いていたということがあまり浮かばないかもしれませんが実は案外たくさんのギター曲やギターヴァイオリンの室内楽が残されています。当時のギターの名手レニャーニと頻繁に演奏旅行に行ったという話やギターを好む愛人のためにヴァイオリンを離れて5年かほども(!)ギターの曲ばかり書いていたなどのエピソードも残っています。
まあ、その愛人のおかげか現在見ることのできるパガニーニのギター作品はヴァイオリン曲に見る「鬼」のような超絶技巧は無く、弾きやすく愛らしい小品が中心ですね。

パガニーニの時代にソナタやソナチネ(小さいソナタというような意味)というとソナタ形式の楽章を持った多楽章のものを指すことが多いのですが元々は器楽曲全般を表す用語でパガニーニの使うソナタやソナチネは彼の作品を見るに概ねそちらのほうで使われているようです。
このソナチネも形式には寄らず、思いのままに様々な楽想が現われては消えるような曲ですからどちらかと言えば「小カプリチオ(奇想曲)」という感じかなと思いながら弾いています。小さいながらも実にパガニーニらしいなと思いますね。

楽譜は
https://imslp.org/wiki/Category:Paganini,_Niccol%C3%B2
ここから[Guitar Sonatina in C major, MS 85 No.1]を見てください。
わたしの演奏はツィマーマン(Zimmermann)から出版されているパガニーニの曲集を使いましたが上記ペトルッチ楽譜ライブラリーで閲覧できる楽譜はほぼそれに準じています。
ただ、シャントレルのパガニーニ全集に収録されている同曲はかなり音符も長さも違うものでした。シャントレル版のほうが最近の研究に基づいているのでよりオリジナルに近いかと思われますがとりあえず今回は耳に馴染んだ版で演奏しました。いずれシャントレル版でも演奏してみたいと思います。

パガニーニは
19世紀ヨーロッパを席巻したヴァイオリンの鬼才。聴衆を魅了するカンタービレと度肝を抜く超絶技巧は悪魔に魂を売り渡してそのヴァイオリン技術を授かったのではないかとまで言われたほどで、当時シューベルトやシューマン、リストなど周囲の著名な音楽家たちにも大きな影響を与えました。また、その異様ともいえる人となり、数奇な人生、破天荒な生き様などエピソードに事欠かない人物でもあります。

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2021年10月13日 (水)

カンタービレ (J.K メルツ) Cantabile (J.K.Mertz)

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https://youtu.be/AWUOQFKCxH8

カンタービレ ニ長調 (ヨハン カスパール メルツ 1806-1856)
Cantabile D-dur (Johann Kaspar Mertz 1806-0856)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

カンタービレ ニ長調 4/4拍子
この曲は以前こちらにアップした「ロマンス」と同じくメルツの書いたギター教本の中の一曲です。メルツの教本はテクニック的な部分を簡潔にまとめたようなものでとても分かりやすい本でした。巻末に15曲の小品が掲載してありその中の第7曲が今回のカンタービレです。巻末の小品は他の曲もメルツらしいロマンディックな音楽を楽しめるもので、いくつかは現代の教本等で楽譜を見たことがありました。

ちなみに…
メルツの教本はこちらメルツ作品の項目から
https://imslp.org/wiki/Category:Mertz,_Johann_Kaspar
「Schule für die Gitarre」という所にあります。

カンタービレは「歌」を意味する言葉で、歌謡調に書かれた楽曲で文字通り歌うように奏でてくださいということです。冒頭の付点音符やスライドを伴った旋律はメルツのカンタービレでは定番ともいえる音型ですし、効果的な三連符やアクセント位置や速度変化の指定も合わせて濃く、甘く、いかにもメルツ、いかにもロマン派といった風情を感じます。
メルツの作品は名人芸的なものも多く、むしろそういう楽曲の方に目が行きがちで、それらはちょっと弾いた方でも手こずるくらいの難しさがありますが、教本収録の小品はどれも簡素で弾きやすく短いものでありながら、そういったエッセンスを随所に盛り込んであり、入門編として楽しんでほしいとか学んでほしいとかそういう気持ちがあったんだろうなと想像します。

メルツは
ハンガリーに生まれ、ウィーンを中心に活躍した19世紀中庸のギタリストです。作品には音楽史でよく知られているところでいえばショパン、シューマン、メンデルスゾーンやリストあたりの音楽の気分があり、いかにもロマン派という味わいを感じます。

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2021年10月12日 (火)

アンダンティーノ グラツィオーソ ハ長調~ギター教本 第3部より第1曲(M.カルカッシ)Andantino grazioso C-dur Méthode 3me. partie No.1 (M.Carcassi)

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https://youtu.be/8FvxteZhVk4

アンダンティーノ グラツィオーソ ハ長調
カルカッシギター教本op.59第3部より第1曲(マッテオ カルカッシ 1792-1853)
Andantino grazioso C-dur
Méthode 3me. partie No.1 (Matteo Carcassi 1792-1853)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

アンダンティーノ グラツィオーソ ハ長調 2/4拍子
カルカッシ教本の第3部は50曲からなる練習曲集です。ここで聴いていただいているのはその第1曲。この手の曲集は作曲家問わず第1曲がハ長調というのが多いように思います。ギターにとってはイ長調あたりが弾きやすい調になりそうなものですが、調号なくまっさらな見た目と明るく伸びやかな響きがどこか「入り口」とか「事の初め」とかそんなイメージと繋がるのかもしれませんね。
アンダンティーノ グラツィオーソは「軽やかな歩み」と「優美」を意味しています。楽譜を見ると第1拍めから1拍半に進むメロディに対し抑揚としてディミヌエンドの松葉が一つずつ丁寧に記載されていました。なんだかカルカッシ先生が「ほら、こうして弾くと綺麗でしょう、楽しいでしょう!」と近くで歌ってくれているみたい(^^)。
不協和な音で入ってくる第1拍の音が次の音でスッと響きに溶け込んでいく様子を具体的な弾き方で指示しているのですが、うまくいくようになるとツィー、ツィーっと紙飛行機を投げているような楽しさをわたしは感じます。


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