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2021年10月19日 (火)

練習曲 op.35-4 (F.ソル) Etude op.35-4 (F.Sor)

Op354
https://youtu.be/_Oy0Yvjdc0M

練習曲 op.35-4 ト長調 (フェルナンド ソル 1778-1839)
Etude op.35-4 G-dur (Fernando Sor 1778-1839)

使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

練習曲 op.35-4 ト長調 3/4拍子
以前、op.35-3イ短調のラルゲットをアップしていますが、こちらはその次の曲で前曲と対照的に穏やかで明るい気分を持っています。冒頭から伸びやかに上行するアルペジオがこの曲を象徴するモチーフでそこからメロディを紡いでいく様子はハープを連想しました。 この楽譜にある指示は運指だけで速度や曲想にかかわるものは記載されていなかったので曲の様子からAndantinoくらいのイメージ、曲想についてはメロディの音型や和音から抑揚を汲み取ってつけています。
ほとんどローポジションで音域を広く使わず、あまり難しさを要求しないシンプルな音使いという条件の中でもバランスの良いサウンドと安定感のある構成で妥協のない美しい音楽を作り出すソル先生。あらためて作曲家としての力量の高さを感じます。

練習曲集op.35について
ソルの練習曲集op.35は全24曲、2分冊で出版されました。いま「月光」や「夢」と呼ばれ親しまれている作品もこの中に含まれています。曲集のタイトルには「とても易しいよ」と書かれていて確かに最初の方はローポジションで弾きやすい作品ですが後半になるとそれなりに手ごたえのあるものも出てきます。
作品としては初めの簡素なものから音楽的なバランスに優れ気品の高い、いかにもソルらしい味わいが楽しめます。そして24の様々なキャラクターの曲を体験することで技術だけではなくソルの標榜する「良き音楽」を感じ取ることができるような作りになっています。急がず、じっくり取り組みたいような練習曲集ですね。

楽譜は
https://imslp.org/wiki/Category:Sor,_Fernando
上記リンクより「24 Exercices très faciles, Op.35」をご覧ください。

ソルは
カルッリやジュリアーニらと並んでギター黄金期といわれる19世紀初頭のヨーロッパギター界を代表するギタリスト・作曲家で後に「ギターのベートヴェン」と呼ばれることもあります。スペインのバルセロナに生まれ同地近郊のモンセラート修道院などで音楽を学び、後に(35歳ごろ)パリに亡命。以降はパリを拠点にヨーロッパ中で活躍しました。作曲家としてはオペラやバレエその他オーケストラ曲なども書いていますが、ギターへの強い愛情からか作品番号はギター曲のみにつけられており、独奏と二重奏で63番まであります。作風としてはハイドンやモーツァルトのような上品で古典的な気分のものが多く、またカルッリやジュリアーニがしていたようなオペラ序曲や流行り歌の気楽なアレンジなどはほとんど無いというあたりがソルの育ってきた音楽環境や標榜する音楽、さらには本人の性格といったものも表われているように思います。ソルはパリにて61歳で世を去り、モンマルトル墓地に埋葬されています。

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