ソナチネ(N.パガニーニ) Sonatina (N.Paganini)
5つのソナチネ MS85-1より
ソナチネ第1番(ニッコロ パガニーニ 1782-1840 伊)
from 5Sonatina MS85
Sonatina No,1 (Niccolò Paganini 1782-1840)
使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.
演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA
ソナチネ ハ長調 4/4拍子
パガニーニと言えば一般的にヴァイオリンの鬼才、超絶技巧!というイメージでギターを弾いていたということがあまり浮かばないかもしれませんが実は案外たくさんのギター曲やギターヴァイオリンの室内楽が残されています。当時のギターの名手レニャーニと頻繁に演奏旅行に行ったという話やギターを好む愛人のためにヴァイオリンを離れて5年かほども(!)ギターの曲ばかり書いていたなどのエピソードも残っています。
まあ、その愛人のおかげか現在見ることのできるパガニーニのギター作品はヴァイオリン曲に見る「鬼」のような超絶技巧は無く、弾きやすく愛らしい小品が中心ですね。
パガニーニの時代にソナタやソナチネ(小さいソナタというような意味)というとソナタ形式の楽章を持った多楽章のものを指すことが多いのですが元々は器楽曲全般を表す用語でパガニーニの使うソナタやソナチネは彼の作品を見るに概ねそちらのほうで使われているようです。
このソナチネも形式には寄らず、思いのままに様々な楽想が現われては消えるような曲ですからどちらかと言えば「小カプリチオ(奇想曲)」という感じかなと思いながら弾いています。小さいながらも実にパガニーニらしいなと思いますね。
楽譜は
https://imslp.org/wiki/Category:Paganini,_Niccol%C3%B2
ここから[Guitar Sonatina in C major, MS 85 No.1]を見てください。
わたしの演奏はツィマーマン(Zimmermann)から出版されているパガニーニの曲集を使いましたが上記ペトルッチ楽譜ライブラリーで閲覧できる楽譜はほぼそれに準じています。
ただ、シャントレルのパガニーニ全集に収録されている同曲はかなり音符も長さも違うものでした。シャントレル版のほうが最近の研究に基づいているのでよりオリジナルに近いかと思われますがとりあえず今回は耳に馴染んだ版で演奏しました。いずれシャントレル版でも演奏してみたいと思います。
パガニーニは
19世紀ヨーロッパを席巻したヴァイオリンの鬼才。聴衆を魅了するカンタービレと度肝を抜く超絶技巧は悪魔に魂を売り渡してそのヴァイオリン技術を授かったのではないかとまで言われたほどで、当時シューベルトやシューマン、リストなど周囲の著名な音楽家たちにも大きな影響を与えました。また、その異様ともいえる人となり、数奇な人生、破天荒な生き様などエピソードに事欠かない人物でもあります。
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