カンタービレ (J.K メルツ) Cantabile (J.K.Mertz)
カンタービレ ニ長調 (ヨハン カスパール メルツ 1806-1856)
Cantabile D-dur (Johann Kaspar Mertz 1806-0856)
使用ギター:ルネ・フランソワ・ラコート(1828年パリ)
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とフィガロ社絹芯の低音弦を使用しています。
Guitar: Rene Francois Lacote (Paris, 1828)
Kürschner real gut strings and Figaro silk core bass strings are used.
演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA
カンタービレ ニ長調 4/4拍子
この曲は以前こちらにアップした「ロマンス」と同じくメルツの書いたギター教本の中の一曲です。メルツの教本はテクニック的な部分を簡潔にまとめたようなものでとても分かりやすい本でした。巻末に15曲の小品が掲載してありその中の第7曲が今回のカンタービレです。巻末の小品は他の曲もメルツらしいロマンディックな音楽を楽しめるもので、いくつかは現代の教本等で楽譜を見たことがありました。
ちなみに…
メルツの教本はこちらメルツ作品の項目から
https://imslp.org/wiki/Category:Mertz,_Johann_Kaspar
「Schule für die Gitarre」という所にあります。
カンタービレは「歌」を意味する言葉で、歌謡調に書かれた楽曲で文字通り歌うように奏でてくださいということです。冒頭の付点音符やスライドを伴った旋律はメルツのカンタービレでは定番ともいえる音型ですし、効果的な三連符やアクセント位置や速度変化の指定も合わせて濃く、甘く、いかにもメルツ、いかにもロマン派といった風情を感じます。
メルツの作品は名人芸的なものも多く、むしろそういう楽曲の方に目が行きがちで、それらはちょっと弾いた方でも手こずるくらいの難しさがありますが、教本収録の小品はどれも簡素で弾きやすく短いものでありながら、そういったエッセンスを随所に盛り込んであり、入門編として楽しんでほしいとか学んでほしいとかそういう気持ちがあったんだろうなと想像します。
メルツは
ハンガリーに生まれ、ウィーンを中心に活躍した19世紀中庸のギタリストです。作品には音楽史でよく知られているところでいえばショパン、シューマン、メンデルスゾーンやリストあたりの音楽の気分があり、いかにもロマン派という味わいを感じます。
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