聖母の御子(カタルーニャ民謡~リョベート編)100年前のギター・ガット&シルク弦の音色 A.E.パスカル1922年
聖母の御子(カタルーニャ民謡~ミゲル リョベート 1878-1938 編)
El Noi de la Mare (Cancion Popular Catalana arr.Miguel Llobet/1878-1938)
使用ギター:アントニオ・エミリオ・パスカル 1922年
使用弦:アクイラ社 ガット&シルクセット
A=392Hz調弦にて
指頭奏法
Guitar:Antonio Emilio Pascual 1922
Strings:Aquira gut and silk
Tuning:A=392Hz
playing the guitar without using nails.
ギター演奏:長谷川郁夫
Guitar:Ikuo HASEGAWA
聖母の御子
スペイン北部カタルーニャ(カタロニア)地方に伝わる民謡。
「聖母の御子」とはキリストのことでキリストの誕生を受け「何を差し上げたらいいか?良いものを差し上げよう」と思いを巡らす様子を描いており、賛美歌・クリスマスの歌として歌われています。
今回の演奏譜は
タレガの愛弟子の一人ミゲル・リョベートによるアレンジをベースにほんの少しの変更を加ました。この曲の器楽用演奏譜としてはもっとも知られたものと言えるでしょう。
ガット&シルク弦と392Hz調弦
手元に使わずにおいていたアクイラのガット&シルク弦があったので1922年のパスカルに張ってみました。クラシックギター用のナイロン弦はオーガスチン社による、確か1947年頃が初めと聞きますのでこのギターが作られた当時はガット(羊腸)の高音弦と絹芯の低音弦が使わていました。
ただアクイラ社のこの弦は少しゲージが太く、わたしにとっては半音下げの415Hz調弦にしてもまだちょっと張りが強く感じます。なので、この際好きなところまで下げてしまおう!ということで392Hz付近、つまり全音下げくらいのところに落ち着きました。爪を使わない、いわゆる指頭奏法で弾いています。
太いガット弦を低めの調弦で運用するのは弦の持ちも良くなりますし音色も甘さや渋さが出て、わたしは割と好みです。今回の試みでもSPレコードから聴こえてくるような生々しくもあたたかみがある音色に陶然としました。今回のような美しい小品は特に音色を味わいながらゆっくりゆっくり弾きたくなります。すると次第に弾くことと聴くことがが混然一体となってぐいぐいと惹き込まれ。時が経つのを忘れてしまいます。
アントニオ・エミリオ・パスカル 1922年
「1883年にスペインのアリカンテで生まれ、マヌエル・ラミレスの工房にてサントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソといった銘工と一緒に製作技法を身につけ、1909年にアルゼンチンのブエノスアイレスに工房を開いた」とあります。音色と佇まいにヴィンテージスパニッシュの豊潤な香りが漂うギターです。ラベルが1922年なので来年100歳。ギターにとって100年はあっという間でしょうか。
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