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2022年4月

2022年4月29日 (金)

どうして『19世紀ギター』って呼ぶの?~クラシック音楽の歴史とギターの変遷をたどりながら解説【クラシックギター】

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https://youtu.be/9IjhEIoyBok

おしゃべりコンテンツとしては1カ月ぶりくらいに動画を作りました。
今回は軽い話題として19世紀ギターっていう時の「19世紀」ってなに?というようなことでおしゃべりしています。
西洋音楽史やギターの変遷についてもざっくり触れてみましたので是非ご覧ください。

まあ、ざっと眺めると古いギターはルネサンスギター・バロックギター(実際はバロックギター→ルネサンスギターと変遷したのではないのに!)と呼び、続くギターはロマン派ギターよりも19世紀(時間の区切り)が定着、しかも現代のギターはエレキやフォークと区別するためにクラシカルギターやクラシックギター(直訳:古典ギター)と呼んでしまっているところが混乱の元なんですよねー。

この動画では呼称に惑わされず、全体の流れがつかめるようにと思ってお話ししています。

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2022年4月18日 (月)

きらきら星(カルッリop.27より)19世紀ギター二重奏

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https://youtu.be/lm5rUtBkfsk

ギターデュオ演奏
篠原 正志:ギター(ルイス・パノルモ作 1830年)
長谷川 郁夫:テルツギター(ハウザー1世ヴィエナモデル 1920年 ミュンヘン)
 ※ヴィエナモデル=ウィンナーモデル シュタウファー派とも言われます。

ギタリストの篠原正志さんと声優の高橋由希さんのMCでいつも楽しいギターの話題を発信しているYouTube番組ギターはおしゃべり にギタ友ゲストとして出演させていただいた(2022年3月)際の演奏部分をわたしのチャンネルで公開することにご快諾戴きました(^o^)丿ありがとうございます。

トークを含めた本編はこちらをご覧ください
「ようこそ!ギタ友~19世紀ギターに魅せられて~」
●Part1⇒ 
https://youtu.be/QkWWvk7HG6Q
●Part2⇒ 
https://youtu.be/ybDzE4rvtDk
トークの方ではギターを始めたきっかけや19世紀ギターに惹かれたところ,楽器についての説明などインタビューを受けました。

【演奏曲】
2台のギターのための24の漸進的なレッスン~
ギターのための総合的教則本Op.27より(カルッリ)
第18曲:アンダンテ “きらきら星”
24 Leçons progressives pour deux guitares
from Méthode complette, Op.27(Ferdinando Carulli)
No,18 Andante "Ah! Vous dirais-je, Maman"
カルッリの有名な教本(op.27)の第3部はファーストが生徒、セカンドが先生としたギターデュオによる練習曲が24曲収録されていますがその第18曲になります。

第18曲は序奏(4/4拍子)と歌(2/4拍子)という形で作られていましたが、ここでは歌部分のみを演奏しています。「きらきら星(和名)」は18世紀後半から流行したフランスの歌"Ah! Vous dirais-je, Maman「ああ、お母さん、あなたに申しましょう」"という曲。恋を知り、堕ちてしまったしまったとを告げる娘という少々色っぽい歌でした。モーツァルトがこの曲で変奏曲を作ったのが1778年ということですから、機を見るに敏といいますか。そしてわれらがカルッリ先生は1811年頃に出版されたこの教本にこれを挿入しました。こちらもさすがカルッリ先生!想像するにこの本でギターを学んでいた生徒さんはすごく喜んだことでしょう。これを弾き満面の笑みを湛えるご婦人が目に浮かぶようです。

楽譜は現代ギター社より小川和隆さんの校訂で出版されています。
https://www.gendaiguitar.com/index.php?main_page=product_info&products_id=140906

【立奏】
今回の収録では篠原さんに「よろしければストラップを使って立って弾きませんか?」とお誘いし立奏スタイルの二重奏が実現しました。
19世紀にギターを弾いた人々がみな立奏をしていたかというと、そういう事でもないとは思いますがストラップをかけるためのピンが標準的に装備されていることからもストラップで座奏、さらに立奏した人は少なくないでしょう。現代のクラシックギターではなかなか行われない立奏ですが、身体の動きが大きくとれ、それが音楽のノリに繋がる楽しい弾き方ですから試せる方はぜひトライしていただきたい(^^)/と思っています。

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2022年4月10日 (日)

わたしの方へ第一歩 op.53(F.ソル)

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https://youtu.be/_MRf_6tbaFs

ギターデュオ演奏
篠原 正志:ギター(ルイス・パノルモ作 1830年)
長谷川 郁夫:テルツギター(ハウザー1世ヴィエナモデル 1920年 ミュンヘン)
 ※ヴィエナモデル=ウィンナーモデル シュタウファー派とも言われます。

ギタリストの篠原正志さんと声優の高橋由希さんのMCでいつも楽しいギターの話題を発信しているYouTube番組ギターはおしゃべり にギタ友ゲストとして出演させていただいた(2022年3月)際の演奏部分をわたしのチャンネルで公開することにご快諾戴きました(^o^)丿ありがとうございます。

トークを含めた本編はこちらをご覧ください
「ようこそ!ギタ友~19世紀ギターに魅せられて~」
●Part1⇒ 
https://youtu.be/QkWWvk7HG6Q
●Part2⇒ 
https://youtu.be/ybDzE4rvtDk
トークの方ではギターを始めたきっかけや19世紀ギターに惹かれたところ,楽器についての説明などインタビューを受けました。

【演奏曲】わたしの方へ第一歩 作品53 (フェルナンド ソル)
1832年頃の出版。楽譜扉には「ちょっと矯正することがとても難しいと感じているギター学習者へささげる」とあり、はじめにも注意書きが置かれていて「書かれた運指を守って弾けば自ずと左手の正しい形とスムーズなポジション移動が出来るようになる」とあったりする教育的な作品です。まあ、これらのココロはソル先生が「難しいことではないよ」、「一歩踏み出して(わたしの言うように)やってごらん」と優しく言っているということでなのでしょうが、もしこれがカルッリ先生なら「すっごく弾きやすくて超楽しい!」「弾いてるだけでグングン上達するよ!」くらいのことを書きそうなものです。この辺りがまじめで堅物?なソル先生という感じがします(笑)。
第1セクションのアンダンティーノは心を一つに合わせるようなオクターブユニゾンの連続によるオープニングからはじまり、セカンド(先生)のリードに乗ってファーストが簡素ながらも素直で美しいメロディを歌っていきます。
つづく第2セクションはウキウキと楽しいワルツ。こちらもセカンドのリードが心地よく、弾むようなリズムと跳躍をもったメロディラインも印象的です。
曲自体はソルらしさを湛えた大変上質なもの。ソル先生の運指も効果的で確かに良い練習になると思いました(^^)

【19世紀ギター】
この演奏では(わたしの弾くギター)20世紀に作られた「19世紀ギター」を紹介しました。20世紀に作られたのに「19世紀ギター」って少し面白い感じがしますよね。いま19世紀ギターと呼ばれるものはカルッリ、ソル、カルカッシらが活躍した19世紀初頭に代表されるスタイルで作られたギターという意味で、1801年から1900年までの100年間に作られたということとは少し違うのです。わたしがここで弾いているギターは19世紀初頭のスタイルで作り続けていたら20世紀に入ってしまったという「生き残り型」の例で特にドイツなどでは戦前までこういうギターが作り続けられていました。ちなみに1801年より前でもその後のスタイルを先取りした「早生まれ型」や19世紀ギターが見直されてきた20世紀後半以降に19世紀スタイルを模倣して作られた「レプリカギター」も19世紀ギターと呼ばれています。

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2022年4月 5日 (火)

テルツギター重奏 ドン・ジョバンニのセレナーデ(モーツァルト~ディアベッリ編)

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https://youtu.be/-sYDS8cCmCU

ギターデュオ演奏
篠原 正志:ギター(ルイス・パノルモ作 1830年)
長谷川 郁夫:テルツギター(ヨハン・ゲオルク・シュタウファー作 1830年頃)
Masashi Shinohara : Louis Panormo 1830(London)
Ikuo Hasegawa:terz guitar Johann Georg Stauffer Legnani model 1830ca. (Wien)

ギタリストの篠原正志さんと声優の高橋由希さんのMCでいつも楽しいギターの話題を発信しているYouTube番組ギターはおしゃべり
にギタ友ゲストとして出演させていただいた(2022年3月)際の演奏部分をわたしのチャンネルで公開することにご快諾戴きました(^o^)丿ありがとうございます。

トークを含めた本編はこちらをご覧ください
「ようこそ!ギタ友~19世紀ギターに魅せられて~」
●Part1⇒
https://youtu.be/QkWWvk7HG6Q
●Part2⇒
https://youtu.be/ybDzE4rvtDk
トークの方ではギターを始めたきっかけや19世紀ギターに惹かれたところ,楽器についての説明などインタビューを受けました。

【演奏曲】
ドン・ジョバンニのセレナーデ(モーツァルト~ディアベッリ編)
“オルフェウス”二つのギターで楽しんで弾くためのメロディ集、第4巻より
orpheus melodische satze: fur zwei gitarren :
zur bildung des vortrags und geschmackes ,Bd.4
" Serenade de Don Giovanni " Wolfgang Amadeus Mozart ~ Anton Diabelli
みんな大好き!モーツァルトの有名なオペラから超有名なアリアをギターデュオで。
オペラ『ドン・ジョヴァンニ』は、女好きの主役ドン・ジョヴァンニが散々女遊びをした挙句、最後に地獄に落ちてしまう物語で初演は1787年とあります。
このアレンジはたぶんそれから40年くらいは経った頃のものかと思いますが美しいアリアは当時もみんな憧れの大ヒット曲であらゆる形にアレンジレこうして楽しまれたことがしのばれます。
ちなみにテルツギターが弾くアルペジオはドン・ジョバンニの奏でるマンドリンでプライムギターがアリアを歌うようなアレンジとなっています。劇中では女中を誘い出すシーンで歌われ日本語タイトルとして「窓辺においで」ともよばれています。

【テルツギター】
19世紀前半によく使われた通常ギターより(短3度)音が高い小型ギターです。キラキラとした音色でよく響くテルツギターはアンサンブルで使うことによって音域の拡大とともによりカラフルな表情が加わる効果があります。楽譜はあらかじめ移調して書かれているので新たな運指を覚える必要はありません。テルツギターを指定した楽譜で入手できるものはわたしの知る限り全て合奏曲ですが、ソロ曲もプライム用の曲を全く問題なく演奏できますのでテルツギターに合いそうな曲はきっと弾いたりしただろうとは想像します。

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2022年4月 3日 (日)

200年前のリラギター「春の日の花と輝く」(アイルランド民謡~ジュリアーニ)

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https://youtu.be/431iI5qTTWY

リラギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Lyre-Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.
リラギター R.F.ラコート作 1828年
Lyre-Guitar R.F.Lacote 1828

ギタリストの篠原正志さんと声優の高橋由希さんのMCでいつも楽しいギターの話題を発信しているYouTube番組ギターはおしゃべり にギタ友ゲストとして出演させていただいた(2022年3月)際の演奏部分をわたしのチャンネルで公開することにご快諾戴きました(^o^)丿ありがとうございます。

トークを含めた本編はこちらをご覧ください
「ようこそ!ギタ友~19世紀ギターに魅せられて~」
●Part1⇒
https://youtu.be/QkWWvk7HG6Q
●Part2⇒
https://youtu.be/ybDzE4rvtDk
トークの方ではギターを始めたきっかけや19世紀ギターに惹かれたところ,楽器についての説明などインタビューを受けました。

【演奏曲】
6つのアイルランド民謡Op.125より(マウロ・ジュリアーニ 1781-1829 伊)
第5曲「春の日の花と輝く」
six Airs Irlandois nationales op.125 No,5(Mauro Giuliani 1781-1829)
“ My lodging is on the cold ground ”
(Believe me, if all those endearing young charms)
堀内恵三の訳詞で日本でもなじみがありますがこの原詩はアイルランドの国民的詩人トマス・ムーア(Thomas Moore/1779-1852)によるもので「若さという魅力がいつか失われようとも、必ず君を愛し続けることを信じてほしい」という愛の歌です。
ただ、通りが良いので曲紹介やタイトルでは「春の日の~」をいつも前面に出していますが、実はジュリアーニの楽譜にあるこの曲のタイトル「My lodging is on the cold ground」はマシュー・ロック(Matthew Locke /1621-1677)の詩によるものでトマス・ムーアが詩を付ける以前のいわば原曲のタイトルです。ちなみに曲の方は17世紀イギリスのダンス教則本「ダンシング・マスター(1665)」が初出とのことでした。
https://www.contemplator.com/england/lodging.html

ジュリアーニのスコットランド・アイルランド民謡集は楽譜の表紙に「リラのために」という記述がある作品です。こうした民謡を竪琴型の楽器で演奏するというイメージがあったのかなと思わせます。

【リラギター】
18世紀末、ヨーロッパに生まれた優雅な竪琴フォルムのリラギターは当時の人々が持っていた古代ギリシャへのあこがれが結晶化したファンタジックな弦楽器でした。
アポロンの竪琴のフォルムとギターの融合ですが、この楽器成立当時のギターは5複弦でしたから6単弦というのはハープの音色や音域拡張を狙ってのものかと思われます。
流行したという記述も見られますが後にギターは6単弦になりましたからギターとリラはフォルムが違うだけのほとんど同じものとなり、よく作られたのは30~40年間程度だったようです。
カルッリ、カルカッシ、ジュリアーニ、ソルなど19世紀初頭の著名なギタリストも「リラのため」と記載した作品を残しています。(出版社の意向もあったかもしれません)
リラギターが描かれた当時の絵画も残っており、わたしはそれらを参考に楽器を立てて演奏するように練習しました(^^)

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