デュエット op.20(カル) Guitar Duet, Op.20 (Call, Leonhard von)
デュエット op.20(レオナルド・フォン・カル 1767-1815墺)
《使用ギター》
小川:ルイス・パノルモ1848年(ロンドン) ※角田真氏提供
長谷川:ルイス・パノルモ1844年(ロンドン)
2022.10.15
小川和隆 長谷川郁夫
19世紀ギターの楽しみ クラシックコンサートより
ホームギャラリーステッチにて
Guitar Duet, Op.20 (Call, Leonhard von)
Kazutaka Ogawa(Panormo 1847)
Ikuo Hasegawa(Panormo 1844)
レオナルド・フォン・カル
読み方はレオナルド=レオンハルト、カル=カール=コールとドイツ読み、英語読みでしょうか、いろいろに発音されています。知る人ぞ知るかの菅原潤さんはむかし「ド・カル」と呼んでいましたっけ。さっき調べていたら~「レオンハルト・デ・コール」と呼ばれることもある~なんていう記述も見つけましたので、これのことかなと懐かしく菅原さんを思い出しました。ここでは「カル」で進めていきますが…。
作曲者のカルは18世紀終わりから19世紀初頭にかけて活躍したオーストリアの作曲家です。ほぼベートーヴェンと同時期くらいですね。マンドリンとギターの教師でさらにフルートも良くしたとされ、主にアマチュアのための室内楽作品が多くあります。そういうわけであまり技巧的にならずに品の良いウィーン古典派の気分を味わえる貴重な存在と言えるでしょう。
わたしはギターを始めたきっかけが中学のクラブ活動(合奏)でして、初めて弾いた合奏曲はop.26のギタートリオでした。今回お聴きいただいたop.20のデュエットも横尾幸弘編の二重奏曲集に収録してあったこともあってなじみがありました。
カルの作品はペトルッチ楽譜ライブラリーで、この曲も含め閲覧することができます。
デュエットop.20
タイトルにはFacile(易しい)という表記もあり、ハ長調。全体には平易なテクニックで書かれていますが全4楽章で演奏時間15分ほどにもなる、割と立派な形をしています。
第1楽章
アダージョ ファンファーレ的な導入と続くおだやかなメロディで祝祭的なイメージがあるでしょうか。
第2楽章
メヌエット タイトルこそメヌエットですが冒頭部などダンスというよりむしろ歌謡調の印象です。この頃の「メヌエット」は単に「中庸なテンポの三拍子の曲」くらいの存在だったのでしょうか。時代を見渡すといろいろなメヌエットが散見されますからそういった時代の過渡期的なものなのかもしれません。トリオも付属します。
第3楽章
アンダンテ 鳥のさえずりがあちらこちらから聴こえるような効果を狙った楽しいアイデアの楽章。曲の最後はさらにさえずりが満ちてまるで大きな森の中にいるようです。
第4楽章
ロンド・アレグレット 爽やかに通り抜ける一陣の風。こういう終わり方は当時の典型ですね。途中Fに転調した部分も大変効果的です。
※ 第3楽章で鳥のさえずりを感じた「ファソファソファソ…」というモチーフ、実は第1楽章と第4楽章でも使われていますがこれも意図的なものと思います。
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