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2022年12月

2022年12月31日 (土)

2023賀正 メヌエット(バッハ) アルペジョーネとワッペンギター

2023

あけましておめでとうございます。

2022年は大変お世話になりました。

おかげさまで無事に新年を迎えることができました。
世の中の情勢は安定とか安心とかには
まだまだ遠い感じもしますが
とりあえず、自分自身とその周囲については
心穏やかに、また日々を自由に楽しく過ごせるよう
微力を尽くしたいと思っております。

ギター関連の音楽活動については
レッスンや演奏、そしてこちらのYouTubeチャンネルを通じ
いろいろな方とのご縁が生まれ
活動の幅と楽しみが広がりました。

ライフワークとして続けている
19世紀ギター、ガット弦、指頭奏法などは
マイナーともいえるアプローチではありますが
興味を持ってくださった方から
質問や応援のメッセージをいただく機会もあり
嬉しい手ごたえも感じています。

音楽は美
音楽は愉しみ
そして、音楽は社交

今年もみなさまとのご縁を深め
また、新たなご縁にも出会えたらと思っております。

みなさまのご多幸をお祈りしております。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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今年の演奏はバッハにしました。
横尾幸弘編のギター二重奏曲集に収録されていたもので
わたしが中学生でギターを始めたころ
部室にこの楽譜があったので、曲に馴染みはあるものの
残念ながら原曲の出典がわかりません。
おわかりの方がいらっしゃいましたらご教示ください。

簡素ながら品よく美しく可憐な小品。
弾いていると懐かしいギター部の部室の
景色や匂いや友達の顔・声が
ふと脳裏をよぎったような気がします。

アルペジョーネは以前に比べるとだいぶ慣れてきて
弾く楽しみが大きくなってきました。
まだまだぎこちないですが
今回はハイポジションに挑戦!
このあたりが弾けるようになってくると
今後レパートリーの幅も広がります(^^)

アルペジョーネ(arpeggione)は19世紀初頭に発明された
ギターとチェロのハイブリッド楽器で
ヴィオロンチェロ・ギターなどともよばれていました。
この楽器は長野の名工、石井栄氏に作っていただいたもので
2019年製レプリカです。

ワッペン型ギターはラベルがありませんが
ドイツ・オーストリア系でおよそ100年から向こうのものです。
シールド(盾)型などとも言われ、
ハウザー1世やワイスガーバーなども作っていました。

この個体はヘッドもスクロールしていて、指板もスカロップ加工と
当時のイカしたギターって感じでしょうね。
演奏はうちのカミさんです。

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2022年12月23日 (金)

きよしこの夜にみる19cギターの調弦のはなし

今日は19世紀ギターマニアからクリスマス夜話をひとつお贈りします(^^)/
グルーバーさんの自筆譜を眺めて19世紀ギターが1音下げで調弦されていたのかも❓❓というおはなし。妄想たくましく考察しております。
(10年ほど前の自身の記事をアップデートしました)
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ウィキペディアによると
この曲は1818年オーストリアにて、
クリスマスの直前に教会のオルガンが壊れてしまい
急遽、ギター伴奏による賛美歌として作られたとのこと。
わたしも昔、そんな物語を聞いたことがありました。
ギター伴奏がオリジナルなのですね。

そしてそのサイトには
作曲者グル―バーさんが書いた自筆の譜面がありました。
これはこの時にはじめて見ました。

Sn00001_20221223230901

6番まで歌詞があるのも驚きましたが、
今われわれが良く耳にする「きよしこの夜」とは
ちょっと違った部分があって新鮮な感じ。
ギター伴奏の他にもフルートかヴァイオリンあたりと思いますが
なにか器楽が入っていたと思われるフレーズも
歌の合間にメモ書きのようにみられます。
オルガンが壊れたからギターでやろう!という発想ですから
ピアノが入っていたということは無いでしょう。
サウンドはいかにもクラシックっぽい雰囲気です。

これが正調「きよしこの夜」ってところでしょうか。

で、話を戻しますが
グルーバー自筆譜は
ギターパートがヘ音記号で書かれているのと
映像がやや不鮮明で見にくいので
音符のみ写譜したのが添付楽譜の1段目と2段目です。

画像クリックで大きくなります。
Photo_20221223230801
※注:3段目は2段目を1音上げたものです。
   これを全体に1音下げたギターで弾くと
   2段目の音程で鳴るというわけです。
   ギターを弾く方であれば3段目の楽譜の方が
   ずっと自然ということがおわかりになると思います。

PDFでご覧になりたい方は以下よりどうぞ
正調きよしこの夜.pdf

さて、この楽譜なんですが
一瞬、あれ?とおもうのが
第12小節や最後の小節に出てくる低いD。
確かにドロップD のチューニングで弾くことはできますが
この曲で、この個所のために
変則チューニングをするのは考えにくいし
番外弦があったと考えるのもどうかと思いながら
しばし見つめていると

…あぁ、これギターが1音低く調弦してあるんじゃないかな
と思いました。

つまり、譜面はDdurで書かれていますが
実はこれ、ギターの実音(実際の演奏で出てくる音)で
ギター奏者の方は調弦を1音下げて
楽譜は1音あげてEdurで演奏したのではないでしょうか。
そう考えると、低いD音はノーマルチューニングで
第6弦の開放となり
それ以外も実に弾きやすく自然で、納得がいきます。

19世紀ギターにガット弦を張ってみると
テンションを上げると弾きにくくなったり
音が悪くなったりするし
かといって(テンションを下げるために)細い弦を張ると
切れやすかったりします。
わたしの経験を書くと
1弦で言うと直径0.6ミリよりちょっと太いくらいの弦を
440ヘルツでいうところの半音から1音下げくらいで調弦すると
弾きやすさと良いサウンドが
バランスする点があることを感じます。
弦も切れにくくなるので経済的にもありがたかったり(^^)

アンサンブルにおいて基準ピッチの設定は大切ですが
ギター独奏などではそのギターの6本弦の宇宙の中で
調和がとれていれば基準ピッチなどは何でも良いわけで
むかしはもっと自由というか
流動的に考えられていたのではないかと思います。
この楽譜はアンサンブルですので今回はその応用編?

ま、いずれにしてもグルーバーさんの手書き譜は
当時のギターが今(A=440Hz)より
1音くらい下げて調弦されることが“普通にあった”
という一つの例なんじゃないかなと思いました。

グル―バーさんはその教会のカントル(音楽指導者)
であることから
作曲を依頼されたのだと思いますが
「あいつのギターは、確か1音下げで
 チューニングだったな。。。」
などと思いながら楽譜を書いたのではないでしょうか。

楽器はやっぱり名器シュタウファーだったりすると
気分ですかねえ(*^_^*)。

おまけの妄想…オルガンが壊れたらピアノで・・・と思いやすいですがたぶん運び込めなかったんでしょうねえ、外が雪とか。で、あの楽譜を見てもコーラスはデュエットですし聖歌隊が歌い、集った方々も歌うとなれば、当然伴奏は1台のギターでは間に合わないでしょう? ギター伴奏で作るということはギター伴奏部隊を編成することだったかもしれません。「よし、ギター伴奏で作ろう!」「こ、これから??まじっすか!?」「おーい、この村でギター弾けるやつ、どんどん集めろー!」「曲は?」「まだです、今カントルさんが作ってます」「もう時間ないよ?大丈夫かな」・・・曲ができたのは礼拝の数時間前とか、かなりギリギリだったようですから、ものすごくバタバタして間に合って→語り草になったというのはいかがでしょう。既成の曲をギター伴奏にアレンジして3曲やるより、易しい新曲を6番まで繰り返すほうがいいという判断とか。なんか、一人で妄想していたら盛り上がってしまいました(笑)。

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2022年12月 7日 (水)

Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲 立川市ギター倶楽部 2022年 定期演奏会より

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https://youtu.be/WQE_KBbR5TE

立川市ギター倶楽部 定期演奏会より
2022.12.4 たましんRISURUホール(小)にて
指揮:長谷川郁夫

Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲

立川市ギター倶楽部は
創立が1971年という歴史のあるギターサークルで名前の通り東京都立川市は高松町の会場にて主に練習しています。わたしは2006年より音楽指導と指揮をしています。例年12月の第1日曜日に定期演奏会を開催しており、今年(2022年)もしっかりと一年の集大成を披露していました。
メンバーも常時募集しております。
立川市ギター倶楽部HP https://tachikawa-guitar.org/

Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)
同名のタイトルで別な曲がいくつかありますが、こちらは小柳ゆきさんの歌で2002年にリリースされた楽曲です。わたしにとって2002年はつい最近のイメージですが、もう懐メロの類でしょうか。ボサノバ調のポップミュージックですが冒頭のメロディはアミルカレ・ポンキエッリ(1834-1886 伊)の作った「時の踊り」~歌劇「ジョコンダ」より~が用いられています。
このアレンジはわたしがつくったものですがその昔、生徒にこの曲が良いから、ガンバルから!とせがまれて腕によりをかけてギター3重奏に仕立てたことを懐かしく思い出します。
楽譜は現代ギター社より発刊された「ポピュラーギター・アンサンブル曲集〈12〉長谷川郁夫編曲」に収録されました(2005年)。

Lovin’ youは「あなたに夢中」くらいの意味になるでしょうか。オリジナルの激甘い言葉を赤裸々に語るような小柳ゆきさんの歌唱はオジサンには少々刺激が強く、聴くといつも赤面してしまいます(笑)

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2022年12月 6日 (火)

4つのヴァイオリンのための協奏曲(テレマン) ギターサークル カノン 第21回 定期演奏会より

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https://youtu.be/I0xTKM5aImU

4つのヴァイオリンのための協奏曲(テレマン 1681-1767)
Concerto in D major, TWV 40:202 (Georg Philipp Telemann)

ギターサークル カノン 第21回 定期演奏会より
2022.11.23 南大塚ホールにて 指揮:長谷川郁夫

ギターサークル カノンは
豊島区は雑司ヶ谷に練習の拠点を置くギターアンサンブルのサークルです。わたしが講師を務めた1997年のギター初心者講習会をきっかけに発足し、98年よりサークルとして活動をスタート。わたしとの縁もかれこれ四半世紀となりました。サークル活動の根幹となる定期演奏会は例年11月に催しており、今年(2022年)も賑やかに楽しく演奏を行いました。
練習や普段の活動の様子はFacebookページでお知らせしていますので是非「ギターサークル・カノン」で検索していただければと思います。
また、仲間となって一緒に演奏するメンバーも募集しております。

ゲオルク・フィリップ・テレマン 1681-1767
テレマンはドイツバロックを代表する作曲家の一人です。多作で知られ、86年の生涯で現存するものだけで約3600曲ほどと膨大な数の曲を作っており『ギネス世界記録』においても、クラシック音楽の分野で最も多くの曲を作った作曲家として正式に認定されているそうです。

4つのヴァイオリンのための協奏曲 第2番
通常“協奏曲”というタイトルの作品はオーケストラと独奏あるいは小アンサンブルとの対比によって作られるスタイルを指しますが、この作品は4台のヴァイオリンのみの、つまり4重奏で協奏曲的な世界を描くという、テレマンのアイデアが生きたユニークなものとなっています。
原曲が同じ音域の楽器による合奏曲なので、楽譜はほぼそのまま4パートのギター合奏に置き換えることができました。曲中は各パートが常時対話的にフレーズをやり取りしており、奏者は室内楽的で親密な音楽を満喫できます。
テレマンはこのタイプの作品を4つ残しており、どの曲も味わい深いものですが、中でも明るく華やかな響きを持った第2番は人気が高いように思います。緩急緩急の全4楽章の構成です。

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