« Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲 立川市ギター倶楽部 2022年 定期演奏会より | トップページ | 2023賀正 メヌエット(バッハ) アルペジョーネとワッペンギター »

2022年12月23日 (金)

きよしこの夜にみる19cギターの調弦のはなし

今日は19世紀ギターマニアからクリスマス夜話をひとつお贈りします(^^)/
グルーバーさんの自筆譜を眺めて19世紀ギターが1音下げで調弦されていたのかも❓❓というおはなし。妄想たくましく考察しております。
(10年ほど前の自身の記事をアップデートしました)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウィキペディアによると
この曲は1818年オーストリアにて、
クリスマスの直前に教会のオルガンが壊れてしまい
急遽、ギター伴奏による賛美歌として作られたとのこと。
わたしも昔、そんな物語を聞いたことがありました。
ギター伴奏がオリジナルなのですね。

そしてそのサイトには
作曲者グル―バーさんが書いた自筆の譜面がありました。
これはこの時にはじめて見ました。

Sn00001_20221223230901

6番まで歌詞があるのも驚きましたが、
今われわれが良く耳にする「きよしこの夜」とは
ちょっと違った部分があって新鮮な感じ。
ギター伴奏の他にもフルートかヴァイオリンあたりと思いますが
なにか器楽が入っていたと思われるフレーズも
歌の合間にメモ書きのようにみられます。
オルガンが壊れたからギターでやろう!という発想ですから
ピアノが入っていたということは無いでしょう。
サウンドはいかにもクラシックっぽい雰囲気です。

これが正調「きよしこの夜」ってところでしょうか。

で、話を戻しますが
グルーバー自筆譜は
ギターパートがヘ音記号で書かれているのと
映像がやや不鮮明で見にくいので
音符のみ写譜したのが添付楽譜の1段目と2段目です。

画像クリックで大きくなります。
Photo_20221223230801
※注:3段目は2段目を1音上げたものです。
   これを全体に1音下げたギターで弾くと
   2段目の音程で鳴るというわけです。
   ギターを弾く方であれば3段目の楽譜の方が
   ずっと自然ということがおわかりになると思います。

PDFでご覧になりたい方は以下よりどうぞ
正調きよしこの夜.pdf

さて、この楽譜なんですが
一瞬、あれ?とおもうのが
第12小節や最後の小節に出てくる低いD。
確かにドロップD のチューニングで弾くことはできますが
この曲で、この個所のために
変則チューニングをするのは考えにくいし
番外弦があったと考えるのもどうかと思いながら
しばし見つめていると

…あぁ、これギターが1音低く調弦してあるんじゃないかな
と思いました。

つまり、譜面はDdurで書かれていますが
実はこれ、ギターの実音(実際の演奏で出てくる音)で
ギター奏者の方は調弦を1音下げて
楽譜は1音あげてEdurで演奏したのではないでしょうか。
そう考えると、低いD音はノーマルチューニングで
第6弦の開放となり
それ以外も実に弾きやすく自然で、納得がいきます。

19世紀ギターにガット弦を張ってみると
テンションを上げると弾きにくくなったり
音が悪くなったりするし
かといって(テンションを下げるために)細い弦を張ると
切れやすかったりします。
わたしの経験を書くと
1弦で言うと直径0.6ミリよりちょっと太いくらいの弦を
440ヘルツでいうところの半音から1音下げくらいで調弦すると
弾きやすさと良いサウンドが
バランスする点があることを感じます。
弦も切れにくくなるので経済的にもありがたかったり(^^)

アンサンブルにおいて基準ピッチの設定は大切ですが
ギター独奏などではそのギターの6本弦の宇宙の中で
調和がとれていれば基準ピッチなどは何でも良いわけで
むかしはもっと自由というか
流動的に考えられていたのではないかと思います。
この楽譜はアンサンブルですので今回はその応用編?

ま、いずれにしてもグルーバーさんの手書き譜は
当時のギターが今(A=440Hz)より
1音くらい下げて調弦されることが“普通にあった”
という一つの例なんじゃないかなと思いました。

グル―バーさんはその教会のカントル(音楽指導者)
であることから
作曲を依頼されたのだと思いますが
「あいつのギターは、確か1音下げで
 チューニングだったな。。。」
などと思いながら楽譜を書いたのではないでしょうか。

楽器はやっぱり名器シュタウファーだったりすると
気分ですかねえ(*^_^*)。

おまけの妄想…オルガンが壊れたらピアノで・・・と思いやすいですがたぶん運び込めなかったんでしょうねえ、外が雪とか。で、あの楽譜を見てもコーラスはデュエットですし聖歌隊が歌い、集った方々も歌うとなれば、当然伴奏は1台のギターでは間に合わないでしょう? ギター伴奏で作るということはギター伴奏部隊を編成することだったかもしれません。「よし、ギター伴奏で作ろう!」「こ、これから??まじっすか!?」「おーい、この村でギター弾けるやつ、どんどん集めろー!」「曲は?」「まだです、今カントルさんが作ってます」「もう時間ないよ?大丈夫かな」・・・曲ができたのは礼拝の数時間前とか、かなりギリギリだったようですから、ものすごくバタバタして間に合って→語り草になったというのはいかがでしょう。既成の曲をギター伴奏にアレンジして3曲やるより、易しい新曲を6番まで繰り返すほうがいいという判断とか。なんか、一人で妄想していたら盛り上がってしまいました(笑)。

| |

« Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲 立川市ギター倶楽部 2022年 定期演奏会より | トップページ | 2023賀正 メヌエット(バッハ) アルペジョーネとワッペンギター »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Lovin' you / 小柳ゆき(渡辺未来 作曲)~長谷川郁夫編曲 立川市ギター倶楽部 2022年 定期演奏会より | トップページ | 2023賀正 メヌエット(バッハ) アルペジョーネとワッペンギター »