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2023年2月 7日 (火)

ライブ告知:7月2日(日)立川(玉川上水駅)

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建 孝三 & 長谷川 郁夫
クラシックギター デュオコンサート

2023年7月2日(日)14:00開演
3500円(ご予約いただければ幸いです)

出演:建孝三 長谷川郁夫
会場 ホーム ギャラリー ステッチ
場所 西武拝島線・多摩モノレール 玉川上水駅より徒歩10分
問い合わせ&ご予約 i.has@nifty.com (はせがわ)

※当日でもお席はあると想定しておりますが、会場準備の手前、あらかじめご予約をいただけるとありがたく存じます。
ご予約はメールにてわたしにご連絡ください。「承りました」のお返事をいたしますのでそれでご予約完了です。

玉川上水駅よりステッチまでの緑道コースご紹介 ↓
http://has.tea-nifty.com/blog/2023/05/post-033117.html

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昨年12月25日に予定しておりましたデュオコンサートは演者の体調不良にて中止~延期としていましたが、このたびホームギャラリーステッチへ会場を移し、7月に同プログラムにて催すことといたしました。

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地元立川(玉川上水駅)のギャラリーにてわが師匠、建孝三先生とデュオの演奏会を催します。オールデュオ、モダンギターによる演奏となります。重厚かつクラシカルな演目を心ゆくまでお楽しみください。
みなさまのお越しをお待ちしております

《プログラム》~下に曲目解説をのせました!
幻想曲 op.54bis (ソル)
協奏風二重奏曲 op.31-3 (ロイエ)
ロンドン交響曲(ハイドン~カルッリ)
オペラ「セビリアの理髪師」序曲(ロッシーニ~ジュリアーニ)
協奏的変奏曲 op.130 (ジュリアーニ)
ゴエスカスの間奏曲 (グラナドス)
オリエンタル (グラナドス)
「はかなき人生」よりスペイン舞曲 (ファリャ)

《出演者紹介》

Tate
建 孝三
ギターを小原安正、兼古隆雄、和声学を清水 環の各氏に師事。第18回東京国際ギターコンクールに優勝し、文部大臣賞、スペイン大使杯等を併せて受賞する。
1976年に渡欧しA.ポンセ、J.トーマス、O.ギリア、B.ベニーデス、J.L.ロドリーゴ、N.イエペスの各氏に師事する。
1978年に帰国し、数々の個性的なリサイタルやCDのリリースに加えてフルートの巨匠A.マリオン氏や世界的二胡奏者 姜 建華(ジャン・ジェン・ホワ)氏、ベルギーを代表するギタリストのイヴ・ストルムス氏ら、著名な音楽家との共演を重ねる。また、東京シティフィルやアメリカンクラブにてギター協奏曲を共演する。
海外でもニュージーランド、ベルギー、ベトナム、チェコ共和国にてリサイタルを行い、特にベトナムでは、ホーチミン市フニャンのギター発展に貢献した実績により表彰を受け、また「GUITAR GALA 2011」に招待されるなど高い評価と人気を得て
いる。
2012年4月にはチェコの世界的なギタリスト・作曲家であるジリ・イルマル氏の招聘され、チェコ国内で単独のリサイタルのほか同氏とのコンサートツアーを行う。
2015年 ベトナム・ホーチミンで行われた “Saigon International Guitar Festival 2015”に招聘される。

たてHP:https://kozotate.com/

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長谷川 郁夫

日本大学芸術学部音楽学科ギター専攻卒業。
ギターを故・芳志戸幹雄、建孝三、吉田 佳正他の諸氏に師事する。
1982年全日本ギターコンクール重奏部門
第1位。1988年G.L.C.学生ギターコンクール大学生の部第2位などを受賞。
現在「美しい曲を親しみやすく」をモットーに独奏のほか、ギター二重奏及び歌や他楽器とのアンサンブルにも力を入れて活動を行っている。
また、19世紀〜20世紀初頭にかけての当時の楽器を使った演奏も興味をもって取り組んでいる。2006年成田フィルの招聘を受けギターコンチェルトを演奏した。
東京都立川市在住。武蔵村山市、立川市、昭島市で「はせがわ音楽教室」を主宰。立川、昭島、武蔵村山、池袋にてサークル指導も行なっている。

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建孝三&長谷川郁夫デュオ 過去のライブ演奏(YouTube)はこちらをクリックしてご覧ください

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演目のご紹介(当日配布のプログラムより)~曲目解説:長谷川 郁夫

ジョアキーノ ロッシーニ(1792-1868 伊)
 〜マウロ ジュリアーニ(1781-1829 伊)編曲
オペラ「セビリアの理髪師」序曲
ロッシーニは生涯に39のオペラを作曲し、それらは人々をたいへん魅了して、当時もっとも人気のあるオペラ作曲家でした。もちろん現在でもオペラの定番となっています。「セビリアの理髪師」はその中でもとりわけ人気が高く、ロッシーニの没後もたくさん再演されています。序曲も一度聞けば耳に残るような印象的な作品ですが同じ曲が「パルミーラのアウレリアーノ」「イングランドの女王エリザベッタ」という別なオペラにも使われていました(いわゆる使い回し)。ちなみに今回演奏するジュリアーニ編の楽譜にはタイトルが「エリザベッタ」とありましたが、現代で最も通りの良い「セビリアの理髪師」と表記しました。

一方ジュリアーニはカルッリやソルと並んで19世紀初頭を代表するギタリスト・作曲家ですが1819年にロッシーニとの出会いがあり、その後に全6曲の大作「ロッシニアーナ」を作曲するなどロッシーニへの傾倒が強くありました。

今の時代、規模の大きなオーケストラの作品をギターにアレンジすると聞くと何かそぐわないような、あるいは大それたことのようなイメージもあるかと思いますが、ギター黄金期と言われる19世紀の頃は頻繁に行われていました。それはレコードなど無かった時代にオーケストラの曲でも身近に楽しみたいというニーズがあったとともに、ギターにそれらを表現するに相応しい能力があったということに他なりません。かのベートーヴェンはジュリアーニの演奏を目の当たりにして「ギターは小さなオーケストラだ!」という言葉を残したといいます。

余談ですが美食でも知られるロッシーニは高い人気を誇ったオペラ「ウィリアム テル」を発表した37歳であっさりオペラ作曲を引退し、その後音楽はピアノ曲や歌曲などを書きながら料理の創作や高級レストランの経営などをしています。トリュフとフォアグラを使ったフランス料理で目にする「○○のロッシーニ風」は正にこのロッシーニのことです。

マウロ ジュリアーニ (1781-1829 伊)
協奏的変奏曲op.130
19世紀ギター黄金期の名手マウロ・ジュリアーニによるギター二重奏のためのオリジナル作品。ロッシーニの影響を思わせる勇壮な序奏に始まり、軽やかな主題とそれに基づく6つの変奏およびコーダによる規模が大きく堂々たる楽曲です。

日本語で“協奏的(風)”と訳されるコンチェルタンティ(コンチェルタート・コンチェルタンテ)は元々が協演するという意味で、ギター二重奏などでは互いにパートを入れ替えながら構成されているということを示す場合が多いものです。しかし、この作品の場合そういったシーンがないわけではないものの、どちらかと言えばオーケストラなどによるソロコンチェルト、つまり名手の腕前をアンサンブルの中で楽しむというような性格が前面に出ています。

それぞれの変奏は技巧的なパッセージや朗々と歌うようなシーンなど緩急自在、葬送行進曲ありグロッケン(鉄琴)の響きを模したハーモニクスありと様々なアイデア満載で、当時一流のテクニシャンとして人気を誇ったジュリアーニの姿を彷彿とします。そしてコーダ(結尾部)では気持ちが高まったところで一気に駆け下りるスケール(音階)によって華麗に曲を締めくくります。

アントワーヌ ド ロワイエ (1768-1852 仏)
協奏風二重奏曲 Op.31-3
ロイエはギタリスト、作曲家であると同時に軍人でもありました。音楽の方では初期にチェンバロ及び5コースギターを学び後に6弦ギターに移行しますが、本日演奏の作品316弦ギターの最初の作品とありました。作品は室内楽が多く初期ロマン派の作風で非常にレベルが高いものであることは本日演奏の作品からも伺えます。

「協奏風」とは伴奏とメロディが固定することなく交錯し丁々発止とやり合いながら曲が進んでゆくスタイルを指します。曲は重厚なソナタ形式の第一楽章、続く第二楽章は複合三部形式のロマンス、そして第三楽章はスピード感にあふれるロンドという構成の全三楽章で当時の音楽としては典型的なものですが、ギター作品としてはなかなかここまで典型を整えたものが少ないので貴重な存在と言えます。曲の気分もどこかベートーヴェンのピアノソナタを思わせる力強さと渋さを感じます。

Ⅰアレグロ アジタート
Ⅱロマンス アンダンテ ソステヌート
Ⅲロンド ポコ ビバーチェ

フランツ ヨーゼフ ハイドン(1732-1809墺)
 ~フェルディナンド カルッリ(1770-1841伊)編曲

ロンドン交響曲
交響曲(シンフォニー)はオーケストラによるソナタというような意味合いです。その発生については諸説ありますがバロック時代にはシンフォニー、シンフォニアといった名称がよく見られるようになり、ハイドンやモーツァルトが活躍した古典派時代(18世紀中葉以降)に形式が確立したと言われています。

この「ロンドン」は106番まであるハイドンの交響曲中第104番にあたり、初演は1795年でした。ハイドンが自筆譜に「私がイギリスで作曲した12番目(の交響曲)」と記していることから19世紀になってから「ロンドン」という愛称で呼ばれるようになったということです。

ギター二重奏への編曲は19世紀にもっとも人気があったと言われるフェルディナンド・カルッリによるもので、ギターの機能を存分に活かしハイドンの音楽を効果的にギターアンサンブルに落とし込んでおり、弾いても聴いても楽しい楽譜に仕立てる仕事ぶりにはその人気の要因の一端を見る思いです。

原曲の全4楽章中カルッリがアレンジしたのは序奏を含む第1楽章です。ニ短調の序奏(アダージョ)は静寂を破る大音響の斉奏を聴かせたのち、ピアノとなって何かを暗示するようなフレーズが続きます。序奏が終わると気分は一転、ニ長調(アレグロ)の輝かしく快活な音楽が流れだします。

エンリケ・グラナドス(1867-1916西)
オリエンタル
オペラ「ゴィエスカス」間奏曲
グラナドスはスペインカタルーニャ地方のリェイダ出身のピアニスト。作曲家としてはアルベニス、ファリャ等と並び近代音楽の中でもスペイン国民楽派と言われる作風を代表する作曲家です。スペイン国民楽派の描く旋律、リズム、情緒といったものはそれがオーケストラ作品やピアノ作品であっても根底にギターを思わせる面を持っていることから当時よりギター用の楽譜に効果的にアレンジされ、演奏される機会も多く、我々ギタリストにはその作品とともにたいへんなじみの深い存在といえます。

オリエンタルは「12のスペイン舞曲」作品37として1892年から1900年にかけて作曲されたピアノ曲集の第2曲にあたります。タイトルの「オリエンタル」は「東方の」といった意味になりますが、作曲者自身がつけたものではなく没後にそう呼ばれるようになったとのことです。構成はA-B-Aの三部形式。Aでは簡素なアルペジオにのせた神々しくも神秘的な旋律、Bでは情感に訴え、むせび泣くような旋律と美しい対比を見せます。

続いて演奏しますゴィエスカスも先の「12のスペイン舞曲」とともにグラナドスの代表作となっています。タイトルのゴィエスカスとは「(画家の)ゴヤ風の音楽」という意味を持っており、ゴヤの絵画から霊感を受けて作曲されたといいます。もともと全6曲(のちに2曲補遺される)ピアノ独奏用の組曲(1911年)があり、後に全3幕のオペラに作られました(1915年)。本日演奏する間奏曲はオペラになった際に加わった楽曲で第1幕と第2幕の間に置かれますがオペラ全曲中最も人気があると言っても過言ではなく、グラナドス自身によるピアノ独奏用編曲をはじめ様々な楽器にアレンジされ親しまれています。

マヌエル デ ファリャ(1876-1946西)
オペラ「はかなき人生」より スペイン舞曲
ファリャはスペインの紙幣にもなった近代スペインの作曲家です。オペラ「はかなき人生」は1904-1905年に作曲され1913年に初演されました。今日ではこのオペラが上演されることは滅多にないとのことですが、中に含まれる「スペイン舞曲」は大変人気が高く、ファリャの代表作の一つにもなっており、クライスラーの編曲によるヴァイオリンとピアノの版をはじめ、様々な楽器編成で演奏されていますが本日演奏のプジョール編のギター二重奏版も名編曲として名高いものです。

フェルナンド ソル(1778-1839)
二台のギターのための幻想曲op.54bis
19世紀ギター黄金期における大家フェルナンド・ソルは幻想曲(ファンタジー)という名の曲を比較的多く作っています。幻想曲は形式に寄らず自由な発想で作られた器楽曲につけられるタイトルですがソルの場合はソナタではなく(ソナタ形式を含まない)、中~大規模で、特別な題名がつかない作品にこの名をつけているように見受けられます。

美しいメロディと活き活きとしたリズムをソルの真骨頂ともいえる円熟した作曲技法でまとめ上げたこの幻想曲はソルの後期を飾る最も華やかなギターデュオ作品と言えるでしょう。

構成は序奏~変奏~終曲と続けて演奏する形となっており、中でも賑やかなスペインのリズムで書かれた終曲はエンディングのラスゲアード(かき鳴らし)奏法も相まってギターらしく盛り上がります。

Ⅰアンダンテ
Ⅱアンダンティーノ
Ⅲアレグロ スペイン風舞曲 (dans le genre Espagnol)

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