クラシックギターの弦交換の方法。ずいぶん前に生徒さんのために作った資料ですが
「あれが見たい」と時々言われるので、いつでも見られるように公開しました。
手書きイラストが味わい深い?当時、結構力作でした。
ちなみにYouTubeの動画も作っています。
クラシックギターの弦交換(動画編)
それでは、はじまり はじまり~
「弦を交換しよう!」
弦の交換はいろいろ流派がありますから、自分が覚えているやり方と違ったり、手持ちのギターに今張ってあるやり方と違うからと言って、心配する必要はありません。私自身、数種類の結び方で弦を張っています。以下に紹介するのは、その中の一つのやり方です。ポイントは《張ったとき抜けず、外すときに楽な方法》であればいいわけです。
初めは1時間か、それ以上かかるかもしれません。慣れれば20分もあれば全弦交換できるようになります。わたしは10分かかりません。何事も経験です。まずは時間をたっぷりとって、慌てず、落ち着いて、ゆっくり取り掛かって下さい。
プロアルテノーマルテンション EJ45
弦の選択は好き好きで良いのですが、プロアルテ(ダダリオ社)のものなどは手に入りやすく品質が安定していて初心者の方にはお奨めです。
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まず、ギターを眺めてみましょう。弦を張るにはまず、弦を外さないといけませんね。張ってある弦をニッパなどでバチッと豪快に切ったりせず、静々と糸巻きを回して緩めましょう。下の方は弦を表面板と直角の方向に軽く引っ張れば外れます。それと、全弦を外すのは、掃除がしたいとか、特別なときだけです。ちなみに、全弦外すとナットやサドルが落っこちてきますから、だいたい初めての人は相当驚きます。でも、これらの骨棒は接着されていないことがほとんどなのです。落ちてしまったら、また嵌めるのですが、向きがありますから逆にならないように気をつけてくださいネ。
とりあえず今回は1本外しては1本取り付け・・・で行きましょう。
そして、取り付けは、まず下の方(ブリッジ側)に結びつけてから、上の方(ヘッド側)にかかります。
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弦を一本、袋から出しましょう。ビニールで包装された弦は、ラベルを見て下の方から開けると開けやすいです。どうにも開けにくい時ははさみを使って袋をあけますが、その際は中の弦を切らないように気を付けてください。全弦を袋から出してしまうと、わからなくなってしまいますよ。弦は6弦から替えても、1弦から替えても構いません。弦はパッケージの中に丸めて収められていますが、優しく丁寧にほどいてください。折れたり、結ばったりしないようにやさしく、やさしく。
低音弦の多くは、両端の処理の仕方が違うことがあります。その場合は「巻きが密なほう」を下(ブリッジ側)にします。その方が巻きが安定している部分を使えるということです。
高音弦もものによって、片方の端が着色されていたりします。これはどちらを下にしてもいいでしょう。色のついているほうを下にすると、なんの弦を張っていたのか、忘れないという効果があります。
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さあ、取り付けてみます。上の図がわかるでしょうか。サウンドホールのあるほうから、弦を穴に通します。上の糸巻きに巻き付ける余裕を見つつ、少し多めに弦を通しておくと結びやすいですね。余った弦はあとでカットしますから、たくさん余る分には困りません。
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サウンドホール側から来た弦に穴を通したほうの弦を引っかけます。このあたりは文字で書くとなんのことやら・・・という感じですが、図を見てもらえればわかりますよね。
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次に、こんな感じによじります。図では狭いところを通すように見えますが、3.で書いた通り、少し多めに弦を通していれば、この作業は比較的簡単に出来るはずです。よじる方向はこの図と反対でも全く問題はありません。でき上がったときの弦の出る向きが変わるだけです。よじる方向を6本全て合わせると、仕上がりがエレガントですよ。よじる回数は弦によって違います。1弦は3回、2.3弦は2回くらい、低音弦は1~2回くらいよじって下さい。
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ここのところは、案外重要です。弦の端を表面板の方へ軽く抑えて、長いほうを引っ張ります。締める感じと言えば、わかりやすいでしょうか。一度キュッと締めれば手を放しても緩んでくることはありません。「弦の端を表面板の方へ軽く抑えて」と言う表現もわかりにくいかもしれませんが、あとの7.を参考にして下さい。
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6.で「 弦の端を表面板の方へ軽く抑えて」と書いたのは、この図のように留めたいからです。弦を結ぶブリッジの上面で留まっているようでは、いつか抜けてしまう危険があります。張ってある弦が抜けると、弦の端が鞭のように表面板をたたき、小さいけれど非常に深いキズを作ります。穴が開いてしまうこともあるようですよ。
1弦などでは細い弦が絶対に抜けないようにするために、弦の端にあらかじめ結び目を作っておく人もいますね。心配な人はそうして下さい。
さあ、下が結べたら、上の取り付けに行きましょう。当たり前のことですが、弦は1本ずつ交換して下さいね。下を6本分結びつけてから、上に取りかかるのはとてもやりにくいです。
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さあ、続いて上の方に移りましょう。
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下から持ってきた弦を、糸巻きの穴に通します。通したら、上から前へ持ってきましょう。上からですよ。
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次に前に持ってきたほうの弦を元の弦に巻き付けます。こちらもよじるわけですね。2~3回も巻き付ければいいでしょう。1弦は抜けやすいので多めに3回くらいでしょうか。
糸巻きの軸にあまり多くの弦を巻くのは音にもよくありませんから、巻き付けたら、弦の端を持ってグッと引っ張り、弛みを取りましょう。ズルッと弦が動く感触があるはずです。
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弛みを取ったら、その手を離さないで、今度は上に引っ張りましょう。よじった部分がキュッと詰まります。この状態で(緩まないよう、引っ張りながら)弦を巻き上げます。よじった部分が糸巻きの上に全部乗っかったらお疲れさま。手を放して結構です。あとは糸巻きで巻き上げて、調弦します。
巻き上げるときの注意としては、ヘッドを正面から見てナットを通った弦がなるべくまっすぐに近く巻き取られるほうが、弦に負担がかからず音にとって良いようです。
すなわち大概のギターの場合、1,6弦は外側に巻き取られるように、他の弦は内側に巻いて行くようにします。
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あと、案外逆に巻き付ける人が多いんですよね。初めて交換する人は必ず巻き始めるときのつまみの回転方向に気をつけること。
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さて、ちゃんと張ることが出来たでしょうか。この説明通り交換すると、最後に留めたあとのあまりが出るはずです。
余った弦は雑音の原因にもなりますから、カットしましょう。
弦きりには専用のものもありますが、つめ切りも使いやすいです。ただし、爪切りは低音弦を切ると歯がダメになってきますから、ダメになってもいいやつを一つ、弦切り専用にしておくのがいいでしょう。ニッパなどでも切れますが、ごついものだと、ギターに触ってキズを作る原因になります。ペンチやはさみは弦切りには向いていません。
当然のことですが、切るときはギターにキズがつかないように注意すること。あと、間違っても張った弦を切らないように。過去にそういう生徒さんがいました。これでは、せっかく張っても元の木阿弥です。
下の写真はこのやり方で弦を張ったギターのブリッジ部分です。
写真クリックで大きく見られます。
4-6弦は捩り1回、1-3弦は捩り2回で、1弦には結び玉を作っています。
1弦は3回捩ることができれば、結び玉なしでも良いように思いますが
このギターは結び付ける部分が少々小さく、3回捩ると綺麗にいかなかったので
結び玉を作って2回捩りで取り付けました。そのあたりは臨機応変で。
「クラシックギターの弦交換」で検索すると
いろいろな方の説明を見ることができますよ!(クリック)
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