06.楽器ばなし

クラシックギターのインプレッションです。

2023年1月21日 (土)

ライブのご案内

これからのライブ・イベントのご案内です。

2023年 ライブ
2/11(土祝) 19cギター in カフェ・カプチェットロッソ(淡路町)
3/26(日)  深代朋子リサイタル with 長谷川郁夫 in ポトス(宿川原)
4/15(土)  古楽器ギターライブ(葉山)
4/16(日)  古楽器ギターライブ(葉山)
5/14(日)  中島晴美&長谷川郁夫 19cギター in GGサロン(要町)
5/21(日)  青木ひろこ(朗読)& ギター in 古民家カフェ・カフェマリオ(宇都宮)
5/27(土)  青木ひろこ(朗読)& ギター in ステッチ(玉川上水)
7/ 2(日)  建孝三 & 長谷川郁夫 ギターデュオ in ステッチ(玉川上水)
7/30(日)  小山葉子(ウクレレ)&ギター in ステッチ(玉川上水)

イベント=====================
2023
4/22(土) はせがわ音楽教室 第27回発表コンサート

 

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2023年1月17日 (火)

ビンテージ楽器弾き比べ~2014年クロサワ楽器のイベント用資料(台本)

ここ数日かけて部屋の片づけをしているのですが、

そのなかで9年前に作ったイベントの資料プリントが出てきました。

ご来場の方々にお配りするためではなく

自分で話すためのものですね、台本調で書いています(^^)

ああ、これはPCのどこかにファイルがあるはず・・・と思って

探したら・・・ありました、ありました(^o^)丿

ずいぶん昔とは言え、せっかく作ったものですので

ギター好きのみなさんのお役に立ったり、

いや、立たなくても(笑)楽しみになればと思い

ここにアップすることにしました。

長文ですが、よろしければお付き合いください。

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14.06.21 クロサワ店内イベント資料

「19世紀ギターの楽しみ」
  ・パノルモ 1838年
  ・ハウザー1世 1921年 19世紀ギタータイプ
「2つのサントス」
  ・1941年 ハカランダ
  ・1929年 メイプル
「ショートスケールの名器」
  ・Mラミレス 1908年
  ・Dエステソ 1929年
「新品ギターの音色」
  ・ハウザー3世 2012年
「知る人ぞ知る…」
  ・Gヤコピ 1946年


今回はビンテージギターをご紹介するということで承っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ビンテージとは古く価値のあるワインのこと。それが転じて価値のある古いものについてもビンテージと呼ばれるようになりました。ギターで言うビンテージの基準はあまりはっきりしていないのですが、私のイメージとしては20世紀が始まってから第2次大戦くらいまでの楽器が「ビンテージ」。それより古いものは「古楽器(19世紀ギター)」、第2次大戦以降の古いもの・・・まあ、60年代くらいまでは「オールド」、アメリカやオーストラリアの新型楽器が出てくるそれ以降は近代・現代くらいかなあと感じています。生活や気分が変われば楽器に対して求めるものも変化していきます。そういった意味で大きく味わいが変わる時代的なタイミングとして、こんな分類を考えてみました。

 

◆「19世紀ギターの楽しみ」

さて、では古楽器から参りましょう!
19世紀はギターの黄金期といわれ、特に19C前半にはカルッリ、ソル、ジュリアーニなど今でもよく知られるギタリストがヨーロッパにおいて時代を飾っていました。このころのギターはいろいろな地方によって特徴のあるスタイルや音色を持っていて、大きく分けてフランス型(ラコートやプティジャン)、スペイン型(パヘスやマルティネス)、イタリア・ドイツ型(ファブリカトーレやシュタウファー)などがあり、そういうことも19世紀ギターに触れる楽しみでもあります。パノルモはイギリスで作られていますが筋からいえばスペイン型になります。
19世紀ギターは今から200年近くも前、日本で言えば江戸時代の楽器です。そのころの人々が大絶賛しあこがれた楽器であっても、当時の価値観は今とはずいぶん違うものかもしれませんから、アプローチも現代の我々を基準にすると見えるものも見えなくなる危険があります。古い楽器は少し謙虚な気持ちで、わからない理解できないことがあってもすぐに答えを出そうと思わず、しばらくは我慢というか、様子見というか、楽器に任せて楽器から教えてもらうような気持ちで付き合うとよいですよ。その間に弦やそのテンションのこと、当時の作曲家のことやほかの楽器についてなど調べていくととても楽しい発見があったりします。

パノルモ1838年・200万円
さて、それではさっそくパノルモを見てみましょう。1838年といえば日本でいえば天保9年徳川 家慶(とくがわ いえよし)の時代で葛飾北斎や歌川広重、間宮林蔵らが活躍し、幕末の志士たちもそろそろ生まれていた・・・くらいの時代です。
ギター史でいえばソルの没年。翌年にはジュリアーニが、さらに翌年にはカルッリが亡くなるという頃で黄金期が一度終わりコストやメルツ(早死)、レニャーニ(長生)などが台頭してくるあたりで音楽史的にはショパンやメンデルスゾーン、シューマン、リストなどの時代になります。
楽器はというと典型的なパノルモの上級機種。松の表板、ハカランダの裏板、パールのつまみのベイカーの糸巻、パールの装飾、典型のラベル、7本の扇状力木と大変立派なスペックです。パノルモギターは1830年のソルの教本でラコートギター、マルティネスギターとともに推奨ギターとして紹介されました。当時としてはとても先進的なギターで、初めて19世紀ギターに触れる方にもその良さは分かりやすいと思います。私も初めての19世紀ギターは1840年のパノルモでした。
曲:6つのアイルランド民謡より ロビンアデア(ジュリアーニ)

ハウザー1世 1921年 19世紀ギタータイプ・37歳・250万円
さて、続いてもう一つ19世紀ギターを弾きましょう。・・・とは言っても実はこれは20世紀に作られた19世紀ギターなのです。

ラベルの1921年というと日本は大正10年で割と景気も良かった頃ですが、ヨーロッパは第1次大戦の影響がまだ残っていたでしょうか。ギター史ではリョベート、バリオス、プレイヤーではありませんがヴィラ=ロボスなど、音楽史ではラヴェルやファリャ、サティやラフマニノフ、レスピーギといった時代でした。

ドイツ圏では保守的というか20世紀中ごろくらいまでこういった19世紀型のギターがよく作られていました。現在、クラシックギターと呼ばれているものはスペイン型のギターの末裔になるのですが、実際にスペイン以外でスペイン型が作られる(各地でスペイン型ギターが求められる)ようになったのはリョベートやセゴビアの演奏旅行などの影響が大きいのでトーレス(1817-1892)があって、タレガ(1852-1819)がいて南米などにスペインギターを輸出していても1920年代あたりはまだ完全にスペインギターの時代とは言えない状態でした。

したがって、このようなギターは19世紀のレプリカではなく脈々と続いた19世紀ギターの歴史の最後にあたるもので20世紀製であっても19世紀のオリジナルギターと思ってよいように思います。

ハウザー1世は言わずと知れた当時の超名工で、もともとはこういった19世紀タイプのギターを作る人でした。今ではドイツというとメルセデスやポルシェ、あるいはライカなどピシッとした精度で優れたモノづくりの国といったイメージがありますが当時のドイツの楽器を見てみると意外と雑というか大味なものも多く見かけます。ですが、ことハウザー1世(とワイスガーバー)はとにかく頭抜けた精度、超一流のクラフトマンシップを持っていました。

ハウザー1世はセゴビアとの交流で有名な37年セゴビアモデルを完成させる話があります。その中で24年、初めての出会いの際「ハウザー氏は小さなおもちゃのギターを見せた・・・大変精巧にできていたので彼に自分の楽器のコピーを作らせることにした」というエピソードを自伝の中で語るのですが、当然一流のギタリストにおもちゃのギターを見せるとは考えにくく、きっとこのような19世紀ギタータイプのものを見せたのだと思います。いわゆる19世紀ギターをあまり好まなかったセゴビアらしい言い回しと思いますが、その一方でハウザー1世の腕前は一目で見抜いたのだと思います。

楽器のほうは松の表板とメープルの横裏板。内部構造もかなり違うので現代のギターに比べて低音など特に粘らず(それはそういう音がよいとされていた)タレガ以降のいわゆるスペイン型(モダン)ギターをイメージした曲にはちょっと物足りなさを感じるかもしれませんが、ソルやジュリアーニ、コストやメルツなどには気品あふれる音色で応えてくれると思います。また、これから弾くようなバッハのアレンジなどにもピッタリでしょう。
曲:バッハのメヌエット(ペツォールト)

◆二つのサントス

続いてはいよいよビンテージギターの世界に入っていきましょう。
最初にお話ししたようにビンテージギターを20世紀に入ってから第2次大戦前までとするならば腕前、知名度ともに東の横綱がハウザー1世で西の横綱がこのサントスという感じでしょうか。

ざっとサントスのことをさらっておくと
1874年スペインのマドリッド生まれ(1943年没)。幼少の頃からバレンティン・ビウデスやイーホ・デ・ゴンザレスに師事し製作を学び、その後マヌエル・ラミレスの工房に入りました。
そして1912年にマヌエル・ラミレス工房で製作した彼の楽器でアンドレス・セゴビアがマドッリッドでデビューし、その後も長年愛奏した事は良く知られています。
1921年には、マヌエル・ラミレスが亡くなったのを機に独立して、マドリッドのアドアナ通りに工房を開設。
当時レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサやセレドニオ・ロメロ、ラモン・モントーヤ、ニーニョ・リカルド等多くのギタリストが訪れ、演奏やギター談義に花を咲かせ、ギター文化の中心的役割を果たしたその工房は、現在ロマニリョスの尽力によりシグエンサの博物館に移転されていて、当時の雰囲気を偲ぶことが出来ます。
1943年に彼が亡くなった後は、弟子のマルセロ・バルベロがその後を継ぎ、更にアルカンヘル・フェルナンデスへと、マニア垂涎の楽器製作の技法は伝承され続けています。

さて、そんなサントスが2種類ありましたので今日はそのあたりの音色を比べていただけたらと思い、取り上げてみました。

サントス・エルナンデス 
1941年 ハカランダ(73年前・昭和16年・67歳)大東亜戦争勃発400万円
1929年 メイプル(85年前・昭和4年・55歳)ウォール街の大暴落 380万円
2つのサントス、どこが違うかというと年代も少し違うのですが横裏板に使われている材料が違いますね。黒いほうはハカランダ、白いほうは先ほどのハウザー1世と同じメイプルです。ハカランダはリオ・ハカランダとかブラジリアンローズウッドなどと呼ばれる硬く重たい木です。俗にいうローズウッド(インドローズ)は基本的には同じものらしいのですが産地によって木目や呼び名も変わってくるようです。ブラジル産のローズウッド=は今や希少材として取引も制限されていますね。
そして、この材料を使うと・・・なかなか言葉で表すのは難しいのですが重みがあり、腰があり、光沢感のあるような音と言えるでしょうか。ちょっと聴いてみてください。
曲:アデリータ(タレガ)

さあ、一方でこちらのメイプルですが、調べてみるとあのメイプルシロップのメイプルと同じ木のようでした。重く、かたい木ではありますがローズウッドほどは重くありません。古いリュートやギター族、ヴァイオリン族などにも使われている伝統的な楽器用材で、時に美しい玉杢、虎杢が出現しそういったものはより珍重されています。
こちらの材で作られたギターは低音など少し軽やかになり明るい響き、全体に品があって典雅なイメージがします。ローズ系の楽器より素朴な感じもあるかもしれません。この楽器で何を弾こうかなと思いましたが、バロックの曲などはやはり気分かなと思いますが、リュートの曲をそのまま弾くようなものよりもう少しこのスペインギター寄りにアレンジされたこんな曲はいかがでしょうか。
曲:ラモーのメヌエット

古い楽器というのは、どうしてもこれまでの人生(ギター生)の中で災難にあっていることも少なくなく、リペアや修復(レストア)はある程度仕方がないものです。タイムマシンに乗ってきたようなオリジナル&パーフェクトコンディションというのはなかなか見かけませんし、そればかりを求めているとよい出会いを失います。あまりヘビーなレストアは感心しませんが、適切な修理であれば問題ありませんし、少なくとも自分が持っているときに大きな問題にならないと思えば、あまり神経質にならなくてもよいと思います。
実はこの楽器については、中をのぞくともう一つラベルが貼ってあるのですね。これがなんと名工の呼び名高いマルセリーノ・ロペス。こういうことは時々あるのですがロペスが自信と責任をもってレストアしましたという意味で実際いろいろ眺めてみると手間のかかる修復を丹念にやったことがうかがえます。おかげで現在の健康状態は上々で安心して今後も弾いていけますし、こういうダブルネームも持っていて楽しいものだと思います。たくさん修理された楽器は「修理しても修理しても使いたかった」くらい良い楽器だったと思う・・・と私の友人の誰かも言っていました。

◆ショートスケールの名器

今は弦長650ミリが標準とされていて、それより短いものがショートスケールと言われています。ショートスケールは手が小さい人、体が小さい人、あるいは女性などに向いている・・・と、確かにそういう側面もありますが、ショートスケールにはショートスケールの音色や世界観がありますから必ずしも手や体の大きさだけの話ではありません。例を挙げると、19世紀ギターのころは630ミリくらいが当たり前の弦長でしたし、ジャーマンの楽器は610ミリとか590ミリなど、よりショートな楽器が一般的でした。これは手が小さいからではないと思うのです。ウクレレだって手の小さい人のためではないですよね。使われ方や音色や音楽を求めた結果の適正な弦長ともいえるわけです。

ハウザーも1世の時代から650ミリのセゴビアモデルに対して630ミリ程度の「ソロモデル」というものも作っています。今回取り上げた2台はM.ラミレスが620ミリ、D.エステソが635ミリですがそういう意味で歴史的に見れば伝統的なサイズの一つでもあります。

19世紀のころ600~630程度だったギターの弦長を650~660ミリに伸ばした時ユーザーや製作家が求めていたのはバーンと押し出しの強い音、つまりコンサートモデルという世界観でした。同じ弦で同じ音程に合わせるわけですから弦長が長いほうが張力は上がります。弦長に伴ってボディも大型化しますからさらに効果は強まります。やや緊張感があり、でも強く輝かしい音がコンサートモデルの求めるところですが、逆にショートスケール・・・あえてソロモデルと言ってみますが、こちらのほうはある意味昔ながらの暖かく柔らかくリラックスした響き、近くの人に語り掛けるような世界観が特徴と言えるでしょう。
つまり、ショートスケールを求めるときは、弾きやすさと音量だけではなくこういった要素を感じられる楽器が良いですね。手が小さくなくてもそういう楽器が欲しければショートスケールを選ぶのは全くおかしくありません。
650ミリ前後が標準となったあとはどうしても手や体が小さい人のための楽器というイメージが付きまとうためかなかなか名器と言えるショートスケールは多くはありません。そんな中で今日取り上げた歴史的な名工による作品はとても貴重なものでしょう。

マヌエル・ラミレス 1908年(明治41年) 266万円 弦長620ミリ T型フォードが発売された年
マヌエルラミレス(1864-1916)はホセ・ラミレス1世の弟であり、ギター製作の弟子でもありました。兄はどちらかというとポピュラー志向のギターを作ったのに対して、マヌエルはトーレス(1817-1892)を研究しクラシカルな楽器を目指しています。工房にはサントス、エステソ、ガルシア等の有能な弟子がいて「マドリッド派」の根幹を築くことになりました。M.ラミレスのもっとも注目すべき点は、そのギター製作における彼の役割にありました。 彼は、自分自身ギター製作はしないで(もちろんした時もあったでしょうが)、楽器を設計し、弟子を教育して意のままに作らせ、完成した楽器に署名してその品質に全責任を負い、結果として極めて優れた楽器を世に送り出しました。 このような役割はマエストロと呼ばれますが、このレベルで成功したのは、20世紀のスペインではM.ラミレスとその兄の孫であるホセ・ラミレス3世だけだったと言えましょう。
曲:聖母の御子(リョベート編)

ドミンゴ・エステソ 1929年(昭和4年)・47歳・323万円・弦長635ミリ
ドミンゴ・エステソは1882年スペインのクエンカ県サン・クレメンテ生まれ。サントス・エルナンデスと同様マヌエル・ラミレスの工房に入り修行し、その後1917年には独立してマドリッドのグラビーナ通りに工房を開き、同門のサントス・エルナンデスと並ぶ天才と謳われ、数多くの名器を生みだしたことで知られています。
曲:キューバの子守歌(ブローウェル)

◆新品ギターの音色

ここまで紹介したギターは製作から80~90年~それ以上経た古い楽器ばかりでしたが、ここでひとつ新品の楽器の音色を聴いていただこうと思います。ギターは一台一台かなり違うものですから、この一台をもって「新品の音色」というには少し乱暴かもしれませんが。。。

ギターの経年変化については、ニスのこと、接着のこと、木材の中の樹脂の結晶化のことなど、いろいろ話は聞きますが、わたしには科学的にどういうことが起こっているかはあまりよくわかりません。ただ、弾いているときに感じる感覚的なことを言えば弾いて時間が経つ・・・いわゆる「弾き込み」をすることによって
・張力が弱くなったようになる(鳴らしやすくなる・弾きやすくなる)
・音量のコントロールがしやすくなる(バランスがよくなる、伸びが出るなど)。
・音色は角が取れて円やかになり色彩的な幅が広がる。
というようなことが感じられます。弾きやすく感じるのは自分自身が慣れてくるということも十分あるでしょうが、それを差し引いてもごれはプロのギター仲間でもそういう話になりますし、こういうお店の中で新品と中古を試奏しても新品は特有の状態を感じますから、実際にそういう変化があると私は思っています。

新品や時間が経っていてもあまり弾かれてこなかったようなギターは、弾き心地に少し硬い感じがあって、わたしはそういう状態のことを「生硬い」と呼んだりしています。弾き込むことで全体にバランスがよくなったり音の伸びが出たり、鳴らしやすい(コントロール性)というようなことは感じても生まれ変わったように音量が増すというのはあまり感じたことはありません。鳴るギターはやはり、最初から鳴るようにも思います。

ヘルマン・ハウザー三世2012年(新作)・54歳・リョベートモデル
ヘルマン・ハウザーI世(1884-1952)の技術はII世(1911-1988)、更に1958年生まれ(現在56歳)のIII世に受け継がれ現在も愛好家垂涎の的と言うべき楽器の製作が続けられています。三世は、ドイツのギター製作展示会で初のゴールド・メダルを受賞。その技術と楽器としての完成度の高さは誰もが認めるところです。

このリョベートモデルは1世がセゴビアに先んじて1920年ごろリョベートに会った際にリョベートの持っていたトーレスをベースに作ったモデルでセゴビアモデルと並んでハウザー家の伝統的なスタイルです(2世も作っています)。セゴビアモデルに比べるとボディも弦長も少し小型です。このギターは優しく澄んだ透明な音がします。
曲:魔法のセレナーデ(ヨハンソン)

新品ギターの生硬さは青春時代のようなものである時期特有の状態ですから、それ自体が悪いということはありませんから、そういう状態を楽しみながら楽器と一緒に過ごすのも中々オツなものではあるでしょう。よく弾いて2年~3年くらいでかなり変化が感じられて、その後もゆっくり熟成するように変化していきます。そして、50年くらいたつと立派なオールドギターの仲間入りということになるでしょう。 

 

◆「知る人ぞ知る…」

ギターに興味を持っていろいろ見て回っていると、時々面白いギターや珍しいギターに出会うことがあります。例えば、どこかの図鑑に載っていたそのものとか、有名な製作家が何かの理由で作った特別なギターとか。また、見たことのない名前であってもよく調べてみると興味深い筋だったりなど。
楽器は音や弾きやすさで選ぶのはもちろんですが、調べていろいろ情報が出てくる「名のある」ものだったりするとより愛着もわきますし、そういうことも楽しみの一つです。
そして、あまり知られていない楽器で「これは良い」というものを見つけるととても幸せな気持ちになったりします。あまり知られていないということは、価格的にも購入する側に有利な場合がありますしね!

今回はそんな1台を見つけましたので、最後にこれをご紹介しましょう。

Gヤコピ 1946年(昭和21年)・スペイン・68歳・100万円
G.ヤコピはガマリエル・ヤコピという名前で有名なホセ・ヤコピのお父さんです。。(イタリア・トスカーナ州セラヴェッツァ、23-XI-1878生、アルゼンチン・ブエノスアイレス・サンフェルナンド没 - 10-III-1951)スペインのバスク州ビトリアに住み1949年サンフェルナンド、アルゼンチンの町に定住した。内部の逆扇形の力木は1947年に父子で開発しのちに特許を取ったというデータがありました。

この楽器はスペイン在住時代に作られたものなのでスペイン製ですが、ヤコピの名前はアルゼンチンのイメージが強いですね。しかし、ホセの(70年代前半辺りまで)方もそうですが、実際に弾いてみると全くもってスペインのギターという音を感じます。しかも、マドリッドでサントスやエステソが活躍していたような、ある種のノスタルジックな味わいを持った古き良き時代の雰囲気があります。クロサワ楽器の回し者ではありませんが(今日は回し者か(笑))、こういう雰囲気を味わえる良いギターがこの値段ですから、ビンテージギターに興味がある方の入門にはお勧めしたいと思います。
曲:アラビア風奇想曲(タレガ)

 

◆まとめ 

人は時代によって何がよいかという考え方(価値観)も、聴きたいもの、弾きたいものも変わってしまいますが楽器はその時代の様子や要求をそのまま色濃く残して現代のわたしたちに伝えてくれます。ですから、ビンテージ楽器と相対するときには現代の視点から良し悪しを言ったり、現代の要求をどんどん突きつけたりしてもあまりよいことはありません。作られた時代や作った人の思い、周囲の作曲家や演奏家のことなどいろいろ思いを馳せながら奏でることで、きっとわれわれの目が開かれ深い楽しみを得ることができるようになるとおもいます。少なくとも今日ご紹介したどの楽器(製作家)もその当時から高い評価があったいわゆる名人・達人の作ったものです。この後の時間は皆さん試奏されていかれるかと思いますが、どうか尊敬をもって弾いていただければと思います。

本日はどうもありがとうございました。
スタッフの皆様にも大変お世話になりました。
わたしも大変楽しく取り組ませていただきました。
またの機会にお会いできたらと思います。

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2022年12月23日 (金)

きよしこの夜にみる19cギターの調弦のはなし

今日は19世紀ギターマニアからクリスマス夜話をひとつお贈りします(^^)/
グルーバーさんの自筆譜を眺めて19世紀ギターが1音下げで調弦されていたのかも❓❓というおはなし。妄想たくましく考察しております。
(10年ほど前の自身の記事をアップデートしました)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウィキペディアによると
この曲は1818年オーストリアにて、
クリスマスの直前に教会のオルガンが壊れてしまい
急遽、ギター伴奏による賛美歌として作られたとのこと。
わたしも昔、そんな物語を聞いたことがありました。
ギター伴奏がオリジナルなのですね。

そしてそのサイトには
作曲者グル―バーさんが書いた自筆の譜面がありました。
これはこの時にはじめて見ました。

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6番まで歌詞があるのも驚きましたが、
今われわれが良く耳にする「きよしこの夜」とは
ちょっと違った部分があって新鮮な感じ。
ギター伴奏の他にもフルートかヴァイオリンあたりと思いますが
なにか器楽が入っていたと思われるフレーズも
歌の合間にメモ書きのようにみられます。
オルガンが壊れたからギターでやろう!という発想ですから
ピアノが入っていたということは無いでしょう。
サウンドはいかにもクラシックっぽい雰囲気です。

これが正調「きよしこの夜」ってところでしょうか。

で、話を戻しますが
グルーバー自筆譜は
ギターパートがヘ音記号で書かれているのと
映像がやや不鮮明で見にくいので
音符のみ写譜したのが添付楽譜の1段目と2段目です。

画像クリックで大きくなります。
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※注:3段目は2段目を1音上げたものです。
   これを全体に1音下げたギターで弾くと
   2段目の音程で鳴るというわけです。
   ギターを弾く方であれば3段目の楽譜の方が
   ずっと自然ということがおわかりになると思います。

PDFでご覧になりたい方は以下よりどうぞ
正調きよしこの夜.pdf

さて、この楽譜なんですが
一瞬、あれ?とおもうのが
第12小節や最後の小節に出てくる低いD。
確かにドロップD のチューニングで弾くことはできますが
この曲で、この個所のために
変則チューニングをするのは考えにくいし
番外弦があったと考えるのもどうかと思いながら
しばし見つめていると

…あぁ、これギターが1音低く調弦してあるんじゃないかな
と思いました。

つまり、譜面はDdurで書かれていますが
実はこれ、ギターの実音(実際の演奏で出てくる音)で
ギター奏者の方は調弦を1音下げて
楽譜は1音あげてEdurで演奏したのではないでしょうか。
そう考えると、低いD音はノーマルチューニングで
第6弦の開放となり
それ以外も実に弾きやすく自然で、納得がいきます。

19世紀ギターにガット弦を張ってみると
テンションを上げると弾きにくくなったり
音が悪くなったりするし
かといって(テンションを下げるために)細い弦を張ると
切れやすかったりします。
わたしの経験を書くと
1弦で言うと直径0.6ミリよりちょっと太いくらいの弦を
440ヘルツでいうところの半音から1音下げくらいで調弦すると
弾きやすさと良いサウンドが
バランスする点があることを感じます。
弦も切れにくくなるので経済的にもありがたかったり(^^)

アンサンブルにおいて基準ピッチの設定は大切ですが
ギター独奏などではそのギターの6本弦の宇宙の中で
調和がとれていれば基準ピッチなどは何でも良いわけで
むかしはもっと自由というか
流動的に考えられていたのではないかと思います。
この楽譜はアンサンブルですので今回はその応用編?

ま、いずれにしてもグルーバーさんの手書き譜は
当時のギターが今(A=440Hz)より
1音くらい下げて調弦されることが“普通にあった”
という一つの例なんじゃないかなと思いました。

グル―バーさんはその教会のカントル(音楽指導者)
であることから
作曲を依頼されたのだと思いますが
「あいつのギターは、確か1音下げで
 チューニングだったな。。。」
などと思いながら楽譜を書いたのではないでしょうか。

楽器はやっぱり名器シュタウファーだったりすると
気分ですかねえ(*^_^*)。

おまけの妄想…オルガンが壊れたらピアノで・・・と思いやすいですがたぶん運び込めなかったんでしょうねえ、外が雪とか。で、あの楽譜を見てもコーラスはデュエットですし聖歌隊が歌い、集った方々も歌うとなれば、当然伴奏は1台のギターでは間に合わないでしょう? ギター伴奏で作るということはギター伴奏部隊を編成することだったかもしれません。「よし、ギター伴奏で作ろう!」「こ、これから??まじっすか!?」「おーい、この村でギター弾けるやつ、どんどん集めろー!」「曲は?」「まだです、今カントルさんが作ってます」「もう時間ないよ?大丈夫かな」・・・曲ができたのは礼拝の数時間前とか、かなりギリギリだったようですから、ものすごくバタバタして間に合って→語り草になったというのはいかがでしょう。既成の曲をギター伴奏にアレンジして3曲やるより、易しい新曲を6番まで繰り返すほうがいいという判断とか。なんか、一人で妄想していたら盛り上がってしまいました(笑)。

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2021年12月20日 (月)

100年前のギター・ガット&シルク弦の音色 アデリータ(F.タレガ)A.E.パスカル1922年

Photo_20211220154001
https://youtu.be/rzq7Kc5mlwo

アデリータ(フランシスコ タレガ 1852-1909)
Adelita (Francisco Tárrega 1852-1909)

使用ギター:アントニオ・エミリオ・パスカル 1922年
使用弦:アクイラ社 ガット&シルクセット
A=392Hz調弦にて

Guitar:Antonio Emilio Pascual 1922
Strings:Aquira gut and silk
tuning:A=392Hz

ギター演奏:長谷川郁夫
Guitar:Ikuo HASEGAWA

アデリータ
近代ギターの父と言われるフランシスコ タレガの珠玉の小品の一つ。レント(ゆっくり)の指定があり、マズルカのリズムで書かれています。

今回のアプローチは
手元に使わずにおいていたアクイラのガット&シルク弦があったので1922年のパスカルに張ってみました。クラシックギター用のナイロン弦はオーガスチン社による、確か1947年頃が初めと聞きますので当然22年はガット(羊腸)の高音弦と絹芯の低音弦が使わていました。
ただアクイラ社のこの弦は少しゲージが太く、わたしにとっては半音下げの415Hz調弦にしてもまだちょっと張りが強く感じます。なので、この際好きなところまで下げてしまおう!ということで392Hz付近、つまり全音下げくらいのところに落ち着きました。

太いガット弦を低めの調弦で運用するのは弦の持ちも良くなりますし音色も甘さや渋さが出て、わたしは割と好みです。今回の試みでもSPレコードから聴こえてくるような生々しくもあたたかみがある音色に陶然としました。この収録は深夜におこなっていますが、まさに「真夜中の音色」⁉ 弾くことと聴くことがが混然一体となってぐいぐいと惹き込まれ時間が経つのを忘れてしまいます。アデリータもいつもよりさらにゆったり弾きたくなりました。

アントニオ・エミリオ・パスカル 1922年
クロサワギターの記事によると「1883年にスペインのアリカンテで生まれ、マヌエル・ラミレスの工房にてサントス・エルナンデス、ドミンゴ・エステソといった銘工と一緒に製作技法を身につけ、1909年にアルゼンチンのブエノスアイレスに工房を開いた」とあります。音色と佇まいにヴィンテージスパニッシュの豊潤な香りが漂うギターです。ラベルが1922年なので来年100歳。ギターにとっは100年はあっという間でしょうか。

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2021年12月 4日 (土)

プレリュード (バッハ BWV1007)ハウザー1世 ウインナーモデル

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https://youtu.be/gugoa_QlFD4

無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007より プレリュード (ヨハン・セバスティアン・バッハ 1685-1750)
Cello Suite No.1 BWV1007 Prelude (Johann Sebastian Bach 1685-1750)

使用ギター:ヘルマン・ハウザー1世 1937年 ウインナーモデル
キルシュナー社リアルガット(羊腸)弦とアクイラ社絹芯の低音弦
Guitar: Hermann Hauser Sr. 1937 wiener style
Kürschner real gut strings and Aquira silk core bass strings are used.

演奏:長谷川郁夫 Ikuo HASEGAWA

無伴奏チェロ組曲第1番 プレリュード
チェロやヴァイオリン、フルートなどの旋律楽器楽器の独奏曲はわれわれギターと違って通常は伴奏を伴うものですが、全くの一人で演奏する曲では特に“無伴奏”と呼ばれたりします。バッハが作った無伴奏の組曲はその代表的な存在で、後世の作曲家や音楽家に大きな影響を与えています。
大らかなアルペジオでうねるような楽想を描く無伴奏チェロ組曲第1番のプレリュードは中でも人気が高く、この演奏のようにギターに編曲されることも多い作品です。

【ハウザー1世 1937年 ウィンナーモデル】
ハウザー1世(1882-1952)と言えばギターの神様アンドレス・セゴビア(1893-1987)からの熱い依頼に完璧に応え、見事なスパニッシュギターを作った逸話で知られる人物でハウザー家は現在もギターづくりの伝統を引き継ぎ、素晴らしいギターを世に生み出しています。

ウィンナーモデルは
ウィーンで19世紀の初頭に名をはせた弦楽器製作家ヨハン・ゲオルグ・シュタウファー(1778-1853)が作ったギターの流れをくむもので20世紀初頭まで伝統的なドイツ・オーストリアのギターとして作られていました。ハウザー1世はその伝統を継いだ最後の巨匠と言えるでしょう。

ハウザーというと
どうしても先に書いたセゴビアモデルといわれるスパニッシュギター(現在のクラシックギター型)を思い浮かべますが元々はこうしたウィーン風ギターやリュート型のギターを作る製作家でした。

木が持つ素朴であたたかな響きをそのまま引き出したような音色は虚飾を廃した「音」そのものといったピュアな印象を持ちますが、これはハウザー1世が作ったあらゆるスタイルのギターに共通するものと感じます。

余談ですが
ハウザー1世がセゴビアに「これ以上の楽器を作る必要はない」とまで言わしめたスパニッシュギター「セゴビアモデル」を完成させたのが1937年。実はこの動画で使用しているギターはそのセゴビアのギターと同じ年のラベルを持っています。セゴビアのギターを作っている隣にこのギターもあったのかな?と思うとそれもロマンですね。
このギターを見るとハウザー1世はこれまで作り続けてきたウィンナーモデルもさらなる完成を目指して試行錯誤していた形跡があり、ものづくりに懸ける製作家のすごみを感じます。

演奏は
高音弦キルシュナーのガット(羊腸)弦、アクイラ社のセタという絹芯の低音弦を使用し、415Hz(半音下げ)調弦、指頭奏法でアプローチしています。バッハはもちろんのこと、ルネサンスやバロック時代のリュート曲や鍵盤曲他のギターアレンジなどはこのギターでアプローチすると音楽の渋みや温かみがより感じられ、弾いていて楽しいものです。

楽譜は
原曲と様々な編曲を参考にわたし自身が作りました。

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2021年7月 8日 (木)

アンダンティーノ ト長調 op 241-5(F.カルッリ)と Martin 00-28c

2415youtube
https://youtu.be/oUUcxJlRSqc

アンダンティーノ ト長調 op 241-5(F.カルッリ)
使用ギター:C.F.マーチン 00-28c 1969年

カルッリのop.241はギター教本です。カルッリの教本と言えばop.27が頭に浮かびますが、それをのちにもう一度整理して出版したのがop.241でしょうか。曲が重なっている部分も多く見受けられます。この第5番とされているト長調の小品はop.241の方だけに収録されています。

カルッリの教本は以下で閲覧・ダウンロードできます。
op.241

op.27

アンダンティーノ ト長調
教本的にはかなり前の方に出てくる易しい10度音程の練習曲です。わたしがギターを始めた中学生の頃、10度の響きに一目ぼれ「スゴイ綺麗な響き発見!なんて素敵なんだ」と思ったことをよく覚えています。もちろん今でもそう思っていますョ。この曲は穏やかで、でも少し愁いも感じるような優しいイメージがありますね。わたしの大好きな曲の一つです。

演奏ギター:00-28c
ずいぶん昔に19世紀ギターの末裔と言えるかな?と思って手に入れました。マーチン社はドレッドノウト型のフォークギターで知られるアメリカの有名ギターメーカーですが、さかのぼると初代マーティンさんは19世紀初頭のウィーンのシュタウファーという名の通った工房の職人でアメリカにわたって自分のショップを始めたのが事の始まりのようです。マーチン のロゴを見るとsince 1833とありますが、ヨーロッパではちょうどギター黄金期と言われる頃です。
スパニッシュギターの流れから来る現代のクラシックギターと比べると音に粘る感じが無くさっぱりしているのが特徴と感じますがそれはやはりウィーンの19世紀ギターに繋がるような気がします。そして、この10度のエチュードのような曲の爽やかな響きがよく似合うように思います。
また、こういうギターを弾くことで逆にいまのクラシックギターがスペイン風味を持っていることを良く自覚できるようになりますね、それがドイツ系の楽器であっても。ちなみにこのギターでタレガとかを弾くと明らかに何か物足りない感じがあります。高音も低温も粘らなくて爽やか過ぎちゃうんですよね(笑)

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00(ダブルオー)はやや小型で丸っこいボディを持っています。12フレットジョイントでクラシックギターを弾くわたしにもあまり違和感がありませんが、やはりシルエットもクラシックギターとはちょっと違いますね。00に続く数字は18と28がありボディの材質を表しているようです。18はマホガニーなのに対して28はハカランダ(ローズウッド)仕様になります。最後につく“c”はクラシックということでしょうか。ナイロン弦仕様のものについています。

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裏板はまるで河野ギター工房の宣伝で見るような(笑)見事なハカランダ。マーチン も70年代に入ると通常仕様でハカランダは使われなくなる(ローズウッドになる)ようです。この楽器は1969年なのでハカランダ。ちょっとうれしい・・・かな。

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ブレーシングはこんな感じ。右下がこの楽器のものです。左上がいわゆるドレッドノウト型のフォークギターですが、扇形力木の(スパニッシュ)クラシックギターの影響も受けつつ折半を狙っているようにも見えます。

 

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2021年5月29日 (土)

ふつうのギターをテルツギターに魔改造⁉ おしゃべりと聴きくらべ

イタリアのアクイラ社から発売されている
ふつうのギターをテルツギターにする弦を試してみました。
Aquila 128c high-G

はじめ30分くらい弦交換しながら弦や楽器について
いろいろおしゃべりしてから最後に演奏を収録しています。

弾きくらべは
「アレグレット(ヨーゼフ・キュフナー 1776-1856)」
溝渕浩五郎カルカッシ教則本でテルツギターの紹介とともに
掲載されている二重奏曲です。
野辺邦治1986年640mmに今回の弦
野辺正二2003年テルツギター
の二台をくらべています。
リバーブなど無しでそのままアップしています。
(楽器提供&演奏協力:黒川雅代さん)

今回の弦を張った野辺邦治に比べテルツギターの野辺正二は
弦長が短く、その分弦が太いので
音色にそういう違いが出ているのが
おわかりいただけると思います。

テルツギターについて
動画中ではアンサンブル使用のことだけ語っていますが
独奏でも曲によってはにテルツ調弦が似合うものもありますから
明るく可愛らしい響き、あるいはカラカラと良く鳴ることが
効果的と思われる際はこれで弾いてみるのも面白いでしょう。
わたしも以前ジュリアーニの「大序曲」をテルツギターで弾いたことがあります。
また、リュート曲を2~3カポで弾くアプローチを巷で時々見ますが、
テルツギターで弾けば同じ音程で開放弦が効果的です。

弦のデータは以下の通り
左から順にアクイラ128c ハナバッハ・アルト プロアルテライト
第1弦 0.61 0.60 0.698
第2弦 0.71 0.70 0.805
第3弦 0.87 0.90 1.008
第4弦 0.64 0.63 0.711
第5弦 0.71 0.75 0.838
第6弦 0.91 0.93 1.066

アルトギター弦は比較的近い太さを持っているのがわかります。
通常のギター弦も1本ずらすことで近い太さが得られそうです。
(その場合は第1弦を他の弦や釣り糸から探します)

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2021年5月22日 (土)

二つのルネサンスギターを聴きくらべ~ナポリの騎兵隊より(サンス)・スパニョレッタ(不詳)


友人からメンテナンスを頼まれて預かったルネサンスギター。
「音を聴きたい」とリクエストも戴いたしせっかくなので
うちにあるルネサンスギターと比べてみました。
曲はサンスの「ナポリの騎兵隊より」と
作者不詳の「スパニョレッタ」の2曲です。

二つのギターはこんな感じ。
湘南うさぎ楽器(菅原大輔作)1994年製 弦長550mm
田中清人作 2016年製 弦長410mm

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左は普通サイズのモダンギターで
真ん中が田中ギター、右がうさぎギターです。
サイズはこんな感じ。
ルネサンスギターはルネサンスからバロックまで長い間ヨーロッパで楽しまれた小型の4コースギターです。複弦ギターはかき鳴らしが煌びやかに響いて気持ち良いですね。実は調弦がウクレレと同じ。直接ルネサンスギターがウクレレになったわけではありませんが小型の4弦ギターという点では遠い先祖と言えるでしょう。
今回弾きくらべた二台の楽器は結構キャラクターが違いました。
弦長の長いうさぎ楽器のほうが弾いた感じが軽く、音色もシャラランと軽やかです。
田中ギターの方は楽器が小ぶりなのにボリューミーでポロンポロンと丸く大きな音があふれ出てくるようです。

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ところでサムネイルのイラストはイラストレーターの河合千明さんに描いていただいたものでわたしがルネサンスギターを弾いている絵なのでした(^^) 最初に見たときはちょっとオジイチャンかなーなんて思ったものですが、今では本人の方がイラストに寄っていってる感があります。このイラストも2016年…たった5年なのに(笑)!

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2020年4月29日 (水)

弦の取り付け順を変えてみた!リュートギター

Photo_20200429151201

昨日リュートギターを弾きながら、
この話題を記事にしようと思っていたのを思い出しました。

このリュートギターはハウザー1世のものなのですが、
いままでずっと一般的な弦の取り付け(左)で使っていました。
(写真が小さかったらクリックで大きくなります)
しかしこれだとどうもペグのおさまりが悪く、
調弦時にグルンと回って(緩んで)しまうことも多々ありました。

まず左写真でいう所の第6弦や第1弦を差し込む穴が真ん中近くにあるので、
写真のように弦の巻きつき具合を調整したり、
ナット溝への角度も気になっていました。

とにかく、その「グルン」は困るので
ペグの(穴・本体)調整を頼まなきゃいけないかな
と思っていたところだったんですが、
じっと眺めていてハタと気づきました。

「弦の取り付け順を変えたらいいんじゃないの?」

そして変えてみたのが右の写真。
弦の張力による圧力がペグを支える穴の両側にかかる感じで
おさまりも良くなって、なんと問題解決。

弦を差し込む穴の位置関係からも、
ひょっとしてこちらが正解、デフォルトだったんじゃないかとも思いました。
右の写真の方が弦の流れっていうんでしょうか、取り回しも自然に見えます。

しかし、身についた習慣とは恐ろしいもので
調弦の際に触るペグを毎度毎度!!!間違えるので笑っちゃいます(^-^;

ちなみにペグの調子を整えるのはこれをすれる部分に塗り付けます。


W.E. Hill ペグコンポジション

最近、液体のタイプも見つけました。
今度試してみようかな。


ペグコンパウンド

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2020年1月29日 (水)

アルペジョーネができました!

先日(1/17-18)長野は上田の石井栄さんの工房に行ってきました。

今回の目的はギタリストなら一度は弾いてみたいアノ楽器!

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チェロのようでチェロではない(べんべん!)

6本弦で24の金属フレット持ち、ギター調弦。

弓で弾くギター。ギターヴィオロンチェロともよばれました。

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石井工房のサロンにて。

これはシューベルトの「アルペジョーネソナタ」で

名が知られる楽器、アルペジョーネでした。

ギターとチェロを融合させた19世紀の発明楽器で、

ギターが弾ければ左手の運指はもうわかっているも同然。

我々にとってはなかなか面白い楽器です。

石井さんがいろいろ説明しながら弾いてくれました。

普段からヴィオラダガンバの合奏サークルに参加している石井さんは

ボウイングもとても上手で良い音を響かせていました。

ちなみにわたしはすごく下手です。。。心はあるのですが(笑)

弾き遊んでいるうちにうまくならないかなあ。

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これは今回のアルペジョーネと同時期に作ったという

中世フィドル(だったかな)。

石井工房は二度目の訪問でしたが

今回もいろいろな音楽談義、楽器談義が楽しいひとときでした。

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石井さん、ありがとうございます(^^)/大切にします。

さあ、受け取りました!
このアルペジョーネがうちにやってきます。

これで何かできるようになりたい(笑)

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さて、以降はせっかくの遠出だったので観光編!

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今年は雪もなくスイスイ。
しかも高速道路は完全に空いていました。
浅間山(ですよね?)が綺麗に見えました。

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上越道と言えば横川SA。
よこかわといえば、これでしょう(^o^)丿
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何が入っているか
どんな味かもわかってるんですが
やっぱり買っちゃうね!
おぎのや峠の釜めし。

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某マジシャン風…ハイ、来てます、来てます。
佐久平も全然雪なし。
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信州上田と言えば真田!
上田城址を散策しました。
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最近あると必ずやらされる顔出しパネル。
わたしがやりたがっているわけではないですよ。

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真田と言えば六文銭。
上田は街中が六文銭でいっぱいです。

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ちなみにこれは六文銭そば。
何でも六文銭だ!
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雷電力士に抱かれてみました。
か、顔が近いっ。

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下りの横川SAではこんな休憩室がありました。
車両や椅子は本物でちょっといい感じ。
また釜めし買っちゃいましたよ~(笑)

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