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2025年9月11日 (木)

木漏れ日のロマンス / 吉松 隆

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https://youtu.be/TEtRacrqVwg

「木漏れ日のロマンス」
吉松隆(1953-)ギター作品集「優しき玩具」より
《Romance for tree》
TENDER TOYS For Guitar by Takashi Yoshimatsu(1953-)

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

「木漏れ日のロマンス」の曲紹介には作者より以下のコメントが添えられていました。
「窓から差し込む木漏れ日と、それを受けて光る人形のスケッチ。小ぢんまりと、しかし優雅に。」(モデラート)

吉松隆氏は
「日本のマーラー」とも言われ、多くの作品を発表している日本が誇る現代作曲家の一人。山下和仁氏との交流から生まれた数曲のギター独奏作品や超絶技巧のギター協奏曲「天馬効果」が初めて作った協奏曲であったなど、我々にとっては嬉しいクラシックギターとの縁もある方です。
吉松氏のHPはウィットに富んだ文章が満載で楽しく拝見していますが、山下氏とのことなどはこちらに書かれており、ギタリストにとってはより興味深い記事かと思います。
演奏家たち(吉松隆HPより)
http://yoshim.music.coocan.jp/~data/I,composer/08.players.html

楽譜
ギター作品集「優しき玩具」には11曲のソロと7曲のデュオ作品が収録されています(現代ギター社刊)。同曲集は85年の武井賞(ギターのための作曲コンクール)を受賞しました。
上記「演奏家たち」リンクにある崎本譲氏(ハーモニカ奏者)のところには
「-優しき玩具-というシリーズは、彼のハーモニカとギターの芳志戸幹雄さんとのデュオを想定して書いたものが中心になっているんですが・・・」と触れられているところがあります。芳志戸幹雄先生はわたしの大学時代の恩師です。

「優しき玩具」は同名のピアノ作品集もあり、中のいくつかがこのギター版と重なっています。
https://www.youtube.com/watch?v=tvdpyTzWTGI
ちなみに第1集(1972年) 第2集(1974年) 第3集(1983/85年)とあり、「木漏れ日のロマンス」も第3集の第1曲として収録されていました。

以下は現代ギター社版の楽譜にこの曲集の《序》として掲載された吉松氏本人による文章です。
「つれづれなるままに日暮らしピアノに向かいそこはかとなく音楽など作っていると、太陽の動きと時の流れに沿っていろいろな音楽が生れ落ち、部屋の中やピアノの上をくるくると光に乗って舞い踊ったり空中を漂ったりし始める・・・《中略》・・・そういう音楽のかけらのほとんどは、小さな音符の断片のまま楽譜棚にしまい込まれて演奏されることも鳴ることもなく、夜な夜なぷつぷつと寝言を言ったり歯ぎしりをしたりしながら身の不遇と運動不足とを嘆いているようだ。
そこで、そんな類の音楽のかけらを何とかひとつの曲になるように組み立て、現代ギター誌邸の軒下をお借りして並べてみようと思い立った。・・・《後略》」

演奏アプローチについて
この曲を弾かれた方はお分かりかと思いますが、曲中に何度か出てくるGm(maj7)のコードが小指の短いわたしにはどうにも押弦が困難で、仮にがんばって押弦してもそこだけ指の拡張による緊張のため音楽が歪んでしまいます。そこで一計を案じて第5弦をG音に下げてアプローチすることにしました。
ベース音にオクターブ下がったところが出来ましたが、D-Gの動きが開放弦になり、風に揺らめくような気分は出しやすくなりました。

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