09.動画

YouTubeなど動画とリンクしたものはここに置いておきます。

2025年11月 4日 (火)

ライブのご案内

これからのライブ・イベントのご案内です。

2025ライブ
11/15(土) 植木和輝&長谷川郁夫コンサート(新潟)
11/16(日) 植木和輝&長谷川郁夫コンサート(新潟)
2026ライブ
5/24(日) 記念演奏イベント予定(立川)
イベント=====================
2025
11/30(日) ギターサークル・カノン第24回定演
12/14(日) 立川市ギター倶楽部定期演奏会  
2026年
4/26(日) 第30回はせがわ音楽教室発表コンサート

Photo_20250310182102 3/21 CD販売開始!
J.G.シュタウファーの追憶 
  ~2本の19世紀ギターによる作品集
詳細はこちらをクリック

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2025年10月 4日 (土)

アリオーソ(バッハ)Arioso(Sinfonia)/Bach BWV156

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https://www.youtube.com/watch?v=GqaEmuEvTts

アリオーソ(バッハ)Arioso(Sinfonia)/Bach BWV156

この曲はカンタータ第156番の冒頭に奏されるシンフォニアなのですが、後にバッハ自らの手によってチェンバロ協奏曲第5番BWV1056の第2楽章にも転用されました。ただ、一説によればカンタータになる前に(未発見の)オーボエ協奏曲の緩徐楽章だったのではないかという話もあるようで、だとすると2度も転用されるほどバッハお気に入りだったのかもしれませんね。まぁ、そのくらいの名旋律ではあります。

楽譜はソプラノ(あるいはテナー)リコーダーとギターのためにアレンジされた楽譜を使っています。わたしの伴奏パートはチェンバロ協奏曲の様子からインスピレーションを受け、全編をピチカートで演奏してみました。
このアレンジをギターデュオで演奏すると1stのメロディが伴奏の音域と重なってしまうために、ともすると聴きづらいバランスとなってしまう点をうまく回避するという点でもなかなか良いアイデアだったと思っております(*^^)vジガジサン

以下、曲情報です。

J.S.バッハ:アリオーソ(カンタータBWV156・シンフォニア/チェンバロ協奏曲BWV1056より)
深い瞑想をイメージさせるようなこの曲はカンタータ第156番《Ich steh mit einem Fuß im Grabe(片足は墓穴にありてわれは立つ)》の冒頭に独奏オーボエと弦楽合奏・通奏低音で演奏されるシンフォニアです。
バッハの名旋律「アリオーソ」というタイトルで親しまれていますが、実はこの呼び名は「G線上のアリア」などと同様に後世に作られ広まった通称になります。

この曲は後にバッハ自身のアレンジとしてチェンバロ協奏曲第5番BWV1056の第2楽章にも転用され、そちらの演奏でも親しまれています。
カンタータのタイトルは「片足は墓穴に」なんて少し変わったものにも思えますが、こちらは・・・人が死に直面している切迫した状況から「病苦」「死への恐れ」「しかし神への信頼による慰め」というストーリーを通して死を間近に感じる人間の弱さと、それを超えて「神に身をゆだねることで安らぎを得る」という場面を描いた、礼拝用のものということでした。

今回の楽譜は
リコーダーとギターのためのバロック名曲集 VOL.2 バッハ (音楽之友社刊)に掲載されたものを使いました。 編曲者はユージン・ライヒェンタール(Eugene Reichenthal)。 現在この曲集は国内からは出版されていないようですが、検索してみると「Bach for Recorder and Guitar Soprano or Tenor」というタイトルで輸入譜として入手できるようでした。

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2025年10月 2日 (木)

七つの子 / 本居長世作曲 三宅榛名編

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https://youtu.be/MgAcO0jyMmc

「七つの子」
本居 長世 (1885-1945)作曲/野口 雨情(1882-1945)作詞
三宅 榛名(1942-)編曲
Nanatsu no Ko (Japanese Children’s Song)
arr.Haruna Miyake

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

♪からす なぜ鳴くの からすは山に・・・♪日本人なら誰でも知っている、情緒あふれる日本の童謡のひとつです。ともすれば黒くて不気味と嫌われがちなカラスが日本において親しみを持たれているのはこの歌のおかげとも言えそうです。タイトルおよび歌詞の冒頭でも歌われる“七つ”については諸説あるようですが、わたしとしては数えで七歳の子供に「あのカラスにも(お前と同じ年ごろの)かわいい子供がいるんだよ」と語っているという説をとって、その気持ちであたっています。

作曲の本居長世 (もとおりながよ)は明治~昭和初期を代表する作曲家。1908年(明治41年)東京音楽学校本科ピアノ専攻を首席で卒業後、その実力を認められて、1910年(明治43年)に東京音楽学校ピアノ科助教授に就任。当時は「日本人初の本格的なピアニスト」として期待されていたものの1915年(大正4年)、脳溢血により右手が不自由になり、演奏活動を断念し以降は作曲・教育に専念し、童謡作曲家として名を残したという経歴を持っています。わたしも馴染みのあるよく知られた童謡として『青い眼の人形』『赤い靴』『十五夜お月さん』『めえめえ児山羊』『汽車ぽっぽ』などがありました。

ギター用編曲は作曲家・ピアニストの三宅榛名さん。オーソドックスなアプローチで、やはりちょっとピアノの響きを思わせるような軽やかな音運びで美しいアレンジと思います。

楽譜はギタルラ社のピースになります。
『日本のうた(三宅榛名編曲)』Casa de la Guitarra GP1027
出版は1967年。以下の全10曲が収録されている曲集です。

・浜辺の歌(成田為三)
・かぞえうた(わらべうた)
・通りゃんせ(わらべうた)
・赤とんぼ(山田耕筰)
・さくらさくら(日本古謡)
・七つの子(本居長世)
・五木の子守歌(熊本県民謡)
・夕やけ小やけ(草川 信)
・荒城の月(瀧 廉太郎)
・江戸の子守歌(わらべうた)

現在でも購入できるようです。
http://www.guitarra.co.jp/CL02/list.php?word=HD&startview=20&endview=25


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2025年9月25日 (木)

11月のある日 / L.ブローウェル

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https://youtu.be/BDxBudWByhA

11月のある日 / L.ブローウェル(1939- /キューバ)
Un Dia de Noviembre / Leo Brouwer(1939- /Cuba)

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

この曲は同名のキューバ映画の挿入曲として作られたものです。
映画「11月のある日」
監督:ウンベルト・ソラス
制作:1972年(35mm、110分)
公開:1978年11月28日まで延期され、その後封切り

映画と言ってもこの作品はエンタメ要素はほぼ無く、内容的には・・・
「主人公の青年革命家エステバンがある日医師から「脳動脈瘤」と診断され、自身の人生、そして母や亡き父、国外へ出たがる兄、魅力的なルシア、そして革命仲間たちとの過去を回想しながら、人生の意味を問いなおす」といったものでした。

またタイトルの「11月」についてはどうも暦でいう11月ではなく、エステバンが直面する「死」の予感・・・つまり人生の晩秋としての意味と、もう一方で1960年頃に革命が成功し社会主義国家となったキューバが70年代に入っても抑圧や物資不足が続き、平等や安定そして人々が願った幸福は確かなものにならなかったという、革命後の冷たい季節の象徴としてダブルミーニングを持たせた「11月」ということのようです。・・・つまり理想と現実の矛盾を、映画『11月のある日』は一人の青年の病と恋を通して静かに描いた作品と言えるでしょうか。

ちなみに72年に製作されたものの、公開が78年となったのも「灰色の5年間」と言われる1971年から1976年ごろのキューバで、文化・芸術活動が強く制約された時期にかかっていたからともされています。

この映画は原語で以下のURLから観ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=8JnAefsYeFI
この曲が挿入されているのは
17分ごろ、23分ごろ、53分ごろと
加えて64分ごろにバリエーションの形で演奏されていました。
編成はシーンによってですがフルートとギターを主体に、ベースとピアノや薄いストリングス、パーカッションも入っているでしょうか。
主人公の男性エステバンと恋人ルシアが戯れる穏やかな描写の部分などで現れ、“愛の喜びと哀しみが漂う淡い記憶”といった気分。甘くロマンティックな・・・ポール・モーリアなどのイージーリスニングを思わせるややポップなサウンドと感じました。

作曲者レオ・ブローウェル(Leo Brouwer, 1939– )は
キューバ・ハバナ出身の作曲家、指揮者、ギタリスト。幼少期からキューバ民謡やアフロ・キューバのリズムに親しみ、ハバナ国立音楽院を経てジュリアード音楽院でも学びました。伝統的ギター技法を超えた豊かな響きと、20世紀現代音楽の語法を取り入れた革新的作風で知られます。ギター独奏曲、協奏曲群、映画音楽など作品は多岐にわたり、キューバ音楽を世界的芸術へと押し広げました。ギタリストとしては1980年代まで活動していましたが、右手中指の腱を痛めたのがもとで以降は指揮活動を中心に活動しています。長年にわたりハバナ国立交響楽団やキューバ国立映画庁音楽部門を率いるなど、作曲家としてのみならず指揮者・文化人としても大きな足跡を残しています。

楽譜は
「クラシックギター名曲てんこもりBOOK Vol.1(GG出版)」を使いました。こちらにはギタリスト篠原正志先生の運指・校訂が入っています。
メジャーに転調する中間部は指の拡張で皆さんご苦労されるところかと思いますが、わたしはまるで指が届かないため戦意喪失(笑)。一計を案じハーモニクスで対応してみましたが、こんなアイデアはいかがでしょうか。

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2025年9月11日 (木)

木漏れ日のロマンス / 吉松 隆

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https://youtu.be/TEtRacrqVwg

「木漏れ日のロマンス」
吉松隆(1953-)ギター作品集「優しき玩具」より
《Romance for tree》
TENDER TOYS For Guitar by Takashi Yoshimatsu(1953-)

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

「木漏れ日のロマンス」の曲紹介には作者より以下のコメントが添えられていました。
「窓から差し込む木漏れ日と、それを受けて光る人形のスケッチ。小ぢんまりと、しかし優雅に。」(モデラート)

吉松隆氏は
「日本のマーラー」とも言われ、多くの作品を発表している日本が誇る現代作曲家の一人。山下和仁氏との交流から生まれた数曲のギター独奏作品や超絶技巧のギター協奏曲「天馬効果」が初めて作った協奏曲であったなど、我々にとっては嬉しいクラシックギターとの縁もある方です。
吉松氏のHPはウィットに富んだ文章が満載で楽しく拝見していますが、山下氏とのことなどはこちらに書かれており、ギタリストにとってはより興味深い記事かと思います。
演奏家たち(吉松隆HPより)
http://yoshim.music.coocan.jp/~data/I,composer/08.players.html

楽譜
ギター作品集「優しき玩具」には11曲のソロと7曲のデュオ作品が収録されています(現代ギター社刊)。同曲集は85年の武井賞(ギターのための作曲コンクール)を受賞しました。
上記「演奏家たち」リンクにある崎本譲氏(ハーモニカ奏者)のところには
「-優しき玩具-というシリーズは、彼のハーモニカとギターの芳志戸幹雄さんとのデュオを想定して書いたものが中心になっているんですが・・・」と触れられているところがあります。芳志戸幹雄先生はわたしの大学時代の恩師です。

「優しき玩具」は同名のピアノ作品集もあり、中のいくつかがこのギター版と重なっています。
https://www.youtube.com/watch?v=tvdpyTzWTGI
ちなみに第1集(1972年) 第2集(1974年) 第3集(1983/85年)とあり、「木漏れ日のロマンス」も第3集の第1曲として収録されていました。

以下は現代ギター社版の楽譜にこの曲集の《序》として掲載された吉松氏本人による文章です。
「つれづれなるままに日暮らしピアノに向かいそこはかとなく音楽など作っていると、太陽の動きと時の流れに沿っていろいろな音楽が生れ落ち、部屋の中やピアノの上をくるくると光に乗って舞い踊ったり空中を漂ったりし始める・・・《中略》・・・そういう音楽のかけらのほとんどは、小さな音符の断片のまま楽譜棚にしまい込まれて演奏されることも鳴ることもなく、夜な夜なぷつぷつと寝言を言ったり歯ぎしりをしたりしながら身の不遇と運動不足とを嘆いているようだ。
そこで、そんな類の音楽のかけらを何とかひとつの曲になるように組み立て、現代ギター誌邸の軒下をお借りして並べてみようと思い立った。・・・《後略》」

演奏アプローチについて
この曲を弾かれた方はお分かりかと思いますが、曲中に何度か出てくるGm(maj7)のコードが小指の短いわたしにはどうにも押弦が困難で、仮にがんばって押弦してもそこだけ指の拡張による緊張のため音楽が歪んでしまいます。そこで一計を案じて第5弦をG音に下げてアプローチすることにしました。
ベース音にオクターブ下がったところが出来ましたが、D-Gの動きが開放弦になり、風に揺らめくような気分は出しやすくなりました。

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2025年9月 4日 (木)

愛のワルツ / ウルリク・ノイマン

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https://youtu.be/EMMLpGWnJxE

愛のワルツ(ウルリク・ノイマン 1918-1994 )
Love Waltz《原題 Kärleksvals》(Ulrik Neumann 1918-1994 )

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

スウェーデン映画『Vaxdockan』のために作曲された音楽。映画ではギターとフルートで演奏され、ギターは作曲者ノイマン自身によるものでした。

ウルリク(ウルリック)・ノイマン
デンマークで生まれ、スウェーデンに没した人物。Wikipediaによれば「映画俳優兼ミュージシャン。1940年から1966年の間に19本の映画に出演した」とあります。また同じ北欧出身のアーティストとして親交があったスウェーデンのギタリスト イェラン・セルシェル(Göran Söllscher)は「作曲家、歌手、エンターテイナー…彼は万能のギタリスト。北欧諸国のクラシックギタリストなら、誰もが一度はこの傑作(愛のワルツ)を演奏したことがあるのではないでしょうか。また後に私のために協奏曲を書いてくれたことは大きな栄誉だった」と語っています。

スウェーデン映画「Vaxdockan」(1962年)
発音的には「ヴァクスドキャン」という感じでしょうか。意味合いとしては蝋人形のことを指すようです。邦題「沈黙の歓び」/英題「The doll」として発表されました。
映画の内容は幻想的かつ不気味なもので、ストーリーは
主人公であるデパートの孤独な夜警が店のマネキンの一体に執着し、やがてそのマネキンを盗み、いつも一緒にいられるよう自分の家に連れてくる。 するとある日からマネキンの彼女は魂を宿し人間の女になったり(マネキンに戻ったり)するようになる。それによっておこる様々な出来事、事件・・・」というものでした。
実はこの原語タイトルで動画検索するとその映画を観ることができました。字幕もありませんからセリフによるディテールは想像になりますが、全体に暗く重いトーンで狂気の愛を描く様子はどこかロシア文学のようでもあり、ブラックな手塚治虫などとも通じるところを感じました。

映画中での「愛のワルツ」
魂を宿し・・・つまり人間の女と化したマネキンと主人公が愛を交わすシーンで流れる音楽でした。なるほど、だから幸福に満ちた「愛」とは違う、美しさの中におどろおどろしい妖しさを湛えた音楽のように感じるのだな!と思いました。シーンに合わせた音楽の有りようと、それを見事に描いているノイマン氏の力量に感嘆しました。
サントラはそのシーンと共にこちらで聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=gQ7onkMPYn4

「愛のワルツ」のギターソロ版は後年セルシェル(Göran Söllscher)がドイツ・グラモフォン盤『Cavatina』で《Kärleksvals》として録音(リリース1984年)。この録音でギター界に広く定着しました。

楽譜について
ギターソロへの編曲はノイマン自身によるものと思われます。
今回の演奏においては現代ギター社刊「クラシックギター名曲てんこもりBOOK Vol.1」に掲載のもの(篠原正志先生の校訂)を使用し、少変更を加えています。

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2025年8月28日 (木)

練習曲op.6-8 / F.ソル(セゴビア№1)

Op68
https://youtu.be/ZUHdvNQh00Q

練習曲 op.6-8 アンダンティーノ ハ長調 (フェルナンド ソル 1778-1839)
Etude op.6-8 Andantino C-dur (Fernando Sor 1778-1839)

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

練習曲 op.6-8 アンダンティーノ ハ長調 3/4拍子
セゴビアが編纂した「ソル20のエチュード」ではこの曲が第1番とされており、数多ある練習曲の中でもギタリストや愛好家の間になじみ深い作品と言えるかもしれません。3声の厳格な対位法によって書かれており、気楽で庶民的なギターとはまた違った、美しい調和と気品というような一面を感じさせます。これらはソルがモンセラートの修道院で伝統的なスタイルの音楽を学んできたことの自負のようなものかもしれませんし、ギターという楽器に託した表現力への期待なのかもしれませんね。
6本弦のギターで3声のポリフォニーを扱うことは案外難しいものですが、耳を澄まし、よく響く教会で聴く賛美歌のような気分を持ってあたるように心がけています。

練習曲集op.6について
ソルの練習曲集op.6は1816年頃の出版で練習曲としては最初のものになります。ソルの場合、日本語訳で「練習曲集」とよばれるものに「Etude」とあるもの(op.6と29)、「Exercise」とあるもの(op.35)、「Leçons」とあるもの(op.31)の3種類があります。「Etude」は小品としての完成度を持つもの、「Exercise」は実務的あるいは技術的訓練のようなイメージ、そして「Leçon」は教育現場でのメソッド的な教材といった意味合いがあるようです。そんなこともあって「Etude」は取り組んでみるとどの曲も思いの外、技術的な難易度が高かったりします。イイ曲が多いのは確かなんですけどねぇ。。。ちなみにop.29はop.6の続編ということなのでしょう。番号が13-24となっています。

楽譜は
https://imslp.org/wiki/Category:Sor,_Fernando
上記リンクより「12 Etudes, Op.6」をご覧ください。

ソルは
カルッリやジュリアーニらと並んでギター黄金期といわれる19世紀初頭のヨーロッパギター界を代表するギタリスト・作曲家で後に「ギターのベートヴェン」と呼ばれることもあります。スペインのバルセロナに生まれ同地近郊のモンセラート修道院などで音楽を学び、後に(35歳ごろ)パリに亡命。以降はパリを拠点にヨーロッパ中で活躍しました。作曲家としてはオペラやバレエその他オーケストラ曲なども書いていますが、ギターへの強い愛情からか作品番号はギター曲のみにつけられており、独奏と二重奏で63番まであります。作風としてはハイドンやモーツァルトのような上品で古典的な気分のものが多く、またカルッリやジュリアーニがしていたようなオペラ序曲や流行り歌の気楽なアレンジなどはほとんど無いというあたりがソルの育ってきた音楽環境や標榜する音楽、さらには本人の性格といったものも表われているように思います。ソルはパリにて61歳で世を去り、モンマルトル墓地に埋葬されています。

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2025年8月23日 (土)

テレマンのカノン

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https://youtu.be/6P38SfTHleQ?si=-cSTlSrKQx6N4bha

6つのカノンソナタop.5より第1番~第2楽章アレグロ(テレマン~横尾幸弘編)
Allegro from 6Canonic Sonatas op.5-1-Ⅱ / G.P.Telemann TWV40:118-Ⅱ

テレマンのop.5は“6つのカノン カノンによる18によるメロディ”と題された曲集で3楽章構成の器楽曲(ソナタ)が6つ、計18曲が全て同度の単旋律によるカノンで作られているという、よくもまぁ、こんなものを作ったなというような、なかなかヘンタ・・・いや(笑)、挑戦的で凝った企画になっています。

原曲の楽器編成としては2つのフルート、あるいは2つのヴァイオリン、またはバス・ド・ヴィオールとあります。バス・ド・ヴィオールはヴィオラ・ダ・ガンバ(バス・ガンバ)のことかな。まあ「何の楽器でもどうぞ!」と思ってよいでしょうか。

カノンという形式はいわゆる輪唱のことで、シンプルで身近なものとしては「カエルの歌」とか「静かな湖畔」などが浮かびます。それぞれが同じ楽譜を奏でるだけなのですが、ずらして開始することによって綺麗なハーモニーが生まれるように作られています。有名なカノンとしてはパッヘルベルのカノンもありますね。あれは循環コードと言われる同じ和音進行を繰り返す中、3パートによるカノンが行われる名曲として広く親しまれています。
まぁ、同度のカノンでも「よくできてるな!」と感心しきりですが、技巧を凝らした複雑なカノンとしては同じメロディを音程を変えて使用するものや鏡で映したように上行下行を入れ替えたメロディを扱うものなど、「いったいどういう頭脳で作るのか」と思ってしまう幾何学パズルのような作品もあったりします。バッハはそういうの得意でしたね。

さて、今回のカノンはなかなか爽やかで良い曲でしょう(^o^)丿! やはり全く同じメロディを1小節ずらして演奏しています。収録の際は初めわたしがセカンドを弾いていたのですが、最終的にファーストを弾くことで落ち着きました。同じメロディを弾いていてもファーストとセカンドでは感じる和音が違うからだと思うのですが、ちょっとだけ景色が違って感じるところがなんとも不思議な気分で興味深かったです。

先に書いたように全部で18曲あるテレマンop.5ですが、どうもギターではこの曲が良く弾かれるような気がします。「テレマン カノン ギター」というようなワードで動画検索すると結構出てきます。日本では横尾幸弘先生の二重奏曲集に収録されたことで馴染みがあるのかもしれません。山下和仁さんと紅弓さんによる父娘デュオもありました。

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2025年8月16日 (土)

『第三の男』 (A.カラス作曲~石田忠編)~むさむらギターサークル

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https://youtu.be/l8_wsbtveS4

昨日はむさむらギターサークルの指導日だったのですが今期のレパートリーを一曲収録してきました(^^)/ 昨年あたりからこうした演奏動画収録も練習の励み&活動のひとつとしています。
こちら、むさむらギターサークルは小さな講習会をきっかけに今年から新しく女性メンバーが一名加わり、練習も少し華やいだ気がします。

2025年8月15日収録
『第三の男』 (A.カラス作曲~石田忠編)
The Third Man / Anton Karas 1906-1985

1949年に発表されたイギリス映画「第三の男」の主題曲。
映画の登場人物の名前から「ハリー・ライムのテーマ(Harry Lime Theme)」とも言われています。
作曲のアントン・カラスはウィーンの名ツィター奏者でこの曲は映画公開後大ヒットとなりました。
今回の楽譜は横須賀を拠点に活動され、ギターアンサンブルにも造詣の深い石田忠先生による3パートのアレンジ。弾きやすく、響きもよいので楽しく練習できました。

楽譜
「ギター・アンサンブルレパートリー(3)日本ギター合奏連盟編」(現代ギター社刊)

東京都武蔵村山市で活動する“むさむらギターサークル”では一緒に演奏するメンバーを募集しています。

むさむらギターサークルHP
https://musamura-guitar.jimdofree.com/

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2025年8月14日 (木)

アンチェインド メロディ / アレックス ノース~竹内永和編

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https://youtu.be/nzSoWPNoeko

アンチェインド メロディ / アレックス ノース~竹内永和編
Unchained Melody / Alex North~arr.Noriyasu TAKEUCHI

刑務所を題材としたアメリカ映画「アンチェインド(1955年)」の主題歌。後に映画「ゴースト/ニューヨークの幻(1990年)」にて同曲のライチャス・ブラザーズが録音したバージョン(1965年)が主題歌に採用されリバイバルヒットしました。タイトルの「アンチェインド」は鎖で繋がれていない=脱走を意味しているということですが物語の本質は「物理的な鎖(チェイン)」だけでなく、「心の鎖(未練、罪悪感、愛情)」にも焦点が当てられており、この主題歌は「愛する人への切ない思い、離れている辛さと再会への願い」という囚人の心情を象徴しています。
「アンチェインド メロディ」は様々な言語で500種類を超えるバージョンで録音され、20世紀で最も録音された曲のうちのひとつだそうで、そんなデータからもこの曲の良さ、メロディの力を感じます。

今回の楽譜ははじめにスローでAメロを切なくたっぷりと奏でたのちに、なじみ深く印象的な三連符の伴奏を伴ったコーラスへと続きます。どちらも穏やかな竹内さんの手を感じる弾きやすいアレンジですが、冒頭のスロー部分で集中力を保って弾き切るというあたりが仕上げに向けてのコツかなと思いました。

楽譜
「ギターソロ映画音楽名曲集 1(編曲/竹内 永和)」現代ギター社

ギター演奏:長谷川 郁夫
指頭奏法
Guitar:Ikuo HASEGAWA
playing the guitar without using nails.

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